必須元素に現れる九星気質

§元素と九星の結びつき

 

九星とは光であり、波動であり、電磁波である。すべての物質は特有の波動を持ち、その波動が九星の気質となって現れる。同様に元素も特有の波動を持ち、その特徴が九星の気質となって現れる。中でも必須元素は九星の気質が比較的明確に出ており、化学的性質や生体での働き方に着目すると凡そ九星の傾向が見えてくる。これらの元素の気質を解明することにより気学が科学として認識され、ひいてはその見識が物理、化学、生物学、医学、農業などを中心として、幅広く既存の学問に応用され活かされていくものと考える。

元素はすべて九星に置き換えることができるが、すべての元素が一つの九星の気質だけを持つとは限らない。元素の中にはカルシウムやマグネシウム、カリウムのように九星の気質を純度高く持つ元素もあるが、ナトリウムや塩素のように二つの九星の気質を兼ね備える元素もある。これは元素の気質を複数持つと見ることもできるが、主たる元素の気質が親近性のある気質と連携して動くため、そのように見えるのかもしれない。その真相はいまだ明らかではないが、今後の課題として検証を続けていきたい。

 

 

 

 

§元素同士のバランス

 

宇宙は陰陽五行というエネルギー循環の法則によって動く。陰陽とは回転するものに生じる両極のバランスであり、五行とは四行すなわちエネルギーのアップダウンにおける四つの起点と土による陰陽転換のしくみである。地球に存在するすべての生命体はこの陰陽五行の法則の元に動く。元素の働きは他の元素の働きを時に牽制し時に補い合い、相生と相剋によってバランスを築く。また自然界に存在する化合物にも元素の特徴が備わり、その結びつき方によって単体の元素にはない多様な性質が現れる。元素は九星の気質を持つことでその気質の強弱を使い分けながら陰陽五行のしくみの中でバランスを築く。

自然界の偶然性は陰陽五行のバランスの中で生じる。このバランスは人が手を加えて作れるものではない。陰陽五行は循環の中で対立と相補性のバランスを取るしくみであり、バランスが上手く取れないものはエネルギーの過不足を均整化していく中でいずれ消滅する。エネルギーの過不足は様々な形で反動エネルギーとして現れてくるが、気学が捉える反動エネルギーは単なるマイナス現象ではなく、バランスを取り戻すための調整現象と考える。

ストレスからもたらされる病気においては特定の九星のエネルギーが過剰もしくは欠乏しており、他の九星との連携が著しく崩れている。その要因は外的環境からもたらされるものもあるが、内実は自分自身が持つ波動エネルギーの偏りから発生していると考えられ、その偏りが九星の偏りとなり、九星の偏りが特定元素の本質的な働きを損ねているものと考える。我々が持つこだわり・恐れ・不安などの強いマイナスエネルギーは、特定元素の動きに影響を与え、シグナル伝達、神経伝達、免疫、ホルモン分泌など代謝全般に影響を及ぼし体に異常を来す。

元素と九星の結びつきを把握すると、病気の発生する原点にどの気質が要因しているか、また暦によって本命月命の弱点と暦の年盤月盤の障害の推移とを照らし合わせながら、症状の改善と悪化、病気の発生要因、発生時期、悪化時期、回復時期など、その後の経過を推し量ることができるようになる。元素を九星で把握することの意義は大きく、その成果は医学のみならず科学全般に貢献するものと考える。

 

 

 

§元素が持つ九星の傾向

 

必須元素を九星に当てはめていくと、九星の意外な特徴に気付かされると同時に、九星同士の結びつき方についても新たな知見を得ることができる。また五行の役割についても科学の視点からより深く理解することができる。

  

 

〔硫黄の特異性〕 

 

元素を九星に置き換える過程ですぐに気付かされることは、五行の土気を明確に持つ元素が硫黄以外存在しないということである。気学から捉えるとそもそも陰陽が混淆し気質が明確化しない土は元素として現れにくいという理由があるかもしれない。その中で硫黄のみが五黄土星の気を含む特異な元素として姿を現わす。五黄は他の九星を一手に動かす力を持ち、陰陽五行の循環をもたらす原動力となる。硫黄は五黄の影響力と支配力を持つ可能性を秘める。

硫黄は五黄土星の気質を持ちながら九紫火星の気質を兼ね備えるようにも見える。そもそも五黄は中宮の九星として他の九星の気質を闊達に利用する。このため硫黄に他の九星の働きが含まれるように見えることは決して不思議ではない。中でも五黄の定位である中宮と九紫の定位である離宮の結びつきは特に強く、周囲を牛耳る五黄でさえ九紫の影響を強く受ける。五黄はエネルギーの成就と破綻を繰り返す王様的存在であり、硫黄はその五黄の特異性を発揮する唯一の元素として注目する必要がある。

  

 

〔炭素という元素の存在感〕 

 

七赤金星の気質を持つ元素についても意外な発見があった。この気質を明確に持つ元素は実に炭素のみであった。七赤は変化変容をもたらす働きがあり、多種多様なものを集め、集合体となる特徴がある。また五行の金にはエネルギー供給の役割がある。七赤は衣食住を満たし豊かさを提供する気として普遍的に存在する気である。七赤は生命体にとって最も身近な気で生体においても重要な働きがあるため、数多くの元素に七赤の気質が含まれていてもおかしくはない。ところが実際は七赤の気質を純度高く持つ元素は炭素のみである。七赤の多様性を示す元素は他にも数多くあるが、エネルギー源としての七赤の役目を完璧に果たす元素はやはり炭素しかない。七赤の役目を総合的に果たす元素は炭素しかないという事実を我々は注意深く受け止めておくべきであろう。一方七赤には物質の劣化や変性をもたらす働きがあり、この気質がプラスにもマイナスにも働くことも知っておく必要がある。

  

 

〔九紫火星の気質を持つ元素〕 

 

九紫火星の気質を持つ元素はマグネシウム、リン、硫黄、ヨウ素の四種類である。中でも九紫の気質を純度高く持つ元素はマグネシウムとヨウ素である。九紫は気学において規範を作る最も高い地位のエネルギー体である。従って九紫の気質を持つ元素は必然的に限定されるようになる。五行の火である九紫火星は五行の水である一白水星と対極の位置にあるため、九紫と一白は最も強く相剋する。この視点から一白を代表する元素と強く拮抗する関係にあることが、九紫の気質の含有を識別する一つの判断基準となる。一白を代表するカルシウムはマグネシウムと拮抗することが良く知られている。この関係性は必然的にマグネシウムが九紫の気質を持つことを明示する。また九紫は知性の発達や精神性を高める働きがある。この気質が欠如すると知性および精神の発達に直接的な影響を及ぼす。マグネシウムとヨウ素の欠如は知性や精神に影響を及ぼすことが分かっている。生体に及ぼす影響を鑑みても、二つの元素は九紫の気質を持つと断定できる。

  

 

〔元素における一白水星と三碧木星の影響力〕 

 

総合的に元素に含まれる九星の気質で最も多いものは一白水星である。一白水星と三碧木星は密接な関係性を持ち、代謝の主要な働きを司る。一白の気質を持つ元素が最も多いという傾向は理論的にも納得のいく結果となる。但し三碧が中宮に同会すると一白水星は震宮に同会し暗剣殺という不安定化したエネルギーを伴う。この暗剣殺は五黄土星の反動エネルギーが対冲の九星に生じたものであり、一白のエネルギーを揺さぶり、その気質の弱点と欠点を引き出す。一方震宮の一白水星は暦のタイミングにより天道という九星の気質を活性化させるエネルギーを伴うことがある。とかく震宮の一白はプラスマイナス双方の力を発揮するためその方向性を読みづらい。震宮の一白の用い方には用途、量、頻度の調整が適宜必要になってくる。このことが一白または三碧の気質を持つ元素の扱いにくさとなって現れる。

 

  

〔元素において希少な四緑木星〕 

 

五黄土星、七赤金星、九紫火星に次ぎ、四緑木星の気質を持つ元素も少ない。四緑木星と三碧木星は五行の木に属しエネルギー的に同じ方向性を持つため、四緑の元素は三碧の元素の気質を同時に持つような傾向が現れる。四緑は柔軟性をプラスの特徴として発揮するが、しばしば曖昧性が現れるため、元素の気質としては捉えにくく扱いにくい。四緑の気質を特定する決め手となるのが六白金星と拮抗する気質である。四緑が定位とする巽宮と六白が定位とする乾宮は対冲関係にあり、対立と相補性のバランスを取る。鉄は六白金星の気質を最も強く現わし、亜鉛は鉄と拮抗する。この経緯から、亜鉛には四緑の気質が含まれるものと推測できる。四緑は拡張性・拡散性に富み、細部に浸透する気質を持つ。

  

 

〔エネルギーとしての六白金星〕 

 

六白金星の気質を持つ必須元素の代表として掲げられるものは酸素、鉄、ナトリウムである。六白は乾宮を定位とし、光を象意とする九星である。六白には普遍性と平等性の象意がある。太陽は六白の気を体現し、無尽蔵に地球にエネルギーを提供する。従って六白の気質を持つ元素は無尽蔵型のエネルギーとなる。また光には陰気を消滅させる働きがあり、これが六白の殺菌力および免疫力となって現れる。

  

 

〔元素を後天図から捉える〕 

 

後天図の理論では縦軸横軸のラインに位置する四つの宮がエネルギー生成の柱となる。すなわち縦軸である坎宮(一白水星)・離宮(九紫火星)と横軸である震宮(三碧木星)・兌宮(七赤金星)の四つの宮がエネルギー生成の中心的役割を担う。このように見ると元素もこの四つの九星の気質を持つものが主要な働きをすることになる。一方後天図の斜めに位置する巽宮(四緑木星)、乾宮(六白金星)はこれらメインの宮と九星を補完する役割を担う。巽宮と乾宮には主従関係があり、動き方の規則性が明確に定められている。この関係性に当てはまる元素が鉄と亜鉛である。また気学では艮宮・中宮・坤宮を変化ラインと呼び、三つの宮はエネルギー転換と調整を行う。これは土の陰陽転換の働きによるもので、この三つの宮に同会する九星は何らかの形で環境変化をもたらされる。またこの三つの宮は連携して動く性質があり、特に一白・四緑・七赤がその役目を安定的に果たす。一方三碧・六白・九紫のグループは連携を苦手とするため、変化ラインに同会すると暦の特定のタイミングで気の断絶をもたらす。これらの特徴もそれぞれの九星の気質を持つ元素に現れるものと推察する。

 

  

〔元素の色と九星の色〕 

 

波動の特性は必ず何らかの形に現れる。それは物質化したときの形であったり、色、臭い、味であったりする。九星にも色があり元素にも色がある。元素は固体・液体・気体あるいは温度によって色が変わるため、どの色が決め手になるか分からない。但し色も波動を現わしているのであるから元素が現わす色に何らかの手掛かりがあることは確かであろう。例えば硫黄の固体は黄色で、化学的性質から見ても典型的な五黄土星の気質を現わす。一白水星の気質を持つカルシウムは固体で銀白色となるが、炭酸カルシウム(石灰石)になると白になる。鉄は固体で銀白色であるが、温度によって赤黒から黄色を経て白色に近づいていく。鉄を含むヘモグロビンは血液を赤黒色にする。九紫の気質を持つヨウ素はデンプンに反応して紫色になる。マグネシウムは銀白色で九紫の色である紫が表に出ないが、マグネシウムを含む肥料である苦土は苦味があり、これが九紫の気質の決め手となる。元素の九星特定は必ずしも色だけで判別することは出来ないが、色によって九星の片鱗を見せることはあり得る。以下参考までに九星の色を記しておく。

 

 

一白水星:白・黒

     *白は何物にも染まらない気質。黒は坎の穴と地下の象意。

三碧木星:紺碧

四緑木星:緑

五黄土星:黄

六白金星:白または赤黒 *白は光の色。赤黒は鉄の色として現れる。

七赤金星:橙・茜・オレンジ

九紫火星:紫

 

注:二黒土星と八白土星は土色と位置づけするが、

      該当する元素が存在しない。

 

 

 

§必須元素の役割

 

必須元素は総じて九星の気質を明確に現わす。一方、それ以外の元素は周期表の上位から下位になるにつれ、元素の特質と九星の気質が結び付きにくくなる。すなわち必須元素とは九星の気質を明確に持つが故にその働きの重要性が高い元素と位置づけすることができる。

基本的な方向性として元素は土以外の気質を持つもので構成される。なぜならエネルギーの明確な方向性は四行すなわち木火金水に現れるからである。木は上昇・拡張のエネルギーであり、火は上昇の頂点で離合・燃焼・気化を司るエネルギーである。また金は下降のエネルギーで変性・合成・固体化を担うエネルギーであり、水は下降エネルギーの最下点で結合・収縮・圧縮・凍結をもたらすエネルギーである。五行の土は上昇と下降の切り替えを行い、上昇と下降を合わせ持つエネルギーであるため常時不安定である。土気はエネルギーを生み出し、現象界においては成就・破壊・浄化・再生・解毒の働きとなって現れる。このような不安定気質は生体に含まれる元素としては非常に扱いにくい。それだけに五黄土星の気質を旺盛に持つ元素が硫黄のみであることは生命にとって都合がよいかもしれない。

多くの元素は五行の水と木の気質を持ち、循環の推進と発展を目指す。これに対し火・金は循環の秩序化と安定を目指す。

 

 

 

§人体における元素の重要性

 

人体は自然界から自由に供給できる空気、水、土に含まれる元素から成り立っている。呼吸に際して空気を構成する元素、土においては食することにより自然に入ってくる元素である。食については植物がポイントなる。植物に含まれる元素は炭素、酸素、水素が全体の90%を占め、人体においては酸素、水素、炭素、窒素が全体の約97%を占める。人体に含まれる神経伝達物質やホルモンもこの三元素または四元素を基本として構成される。また構成比は小さいものの人体によって主要な働きを担う元素もある。例えば一白水星のカルシウム、三碧木星のカリウム、四緑木星の亜鉛、五黄土星の硫黄、六白金星の鉄・ナトリウム、九紫火星のマグネシウム・ヨウ素などがそうである。元素の重要性は構成比の大小だけでは図れない。気学が捉える元素の重要性は九星の気質を含む純度であり、その純度が高ければ高いほど重要な役割を持つことになり、必然的に陰陽五行の循環とバランスに対する貢献度は高くなる。

 

 

 

§元素における九星気質の現われ

 

九星の気質を科学の視点から捉えると以下のような気質にまとめられる。これは九星が持つ基本的気質であるが、九星と元素を結びつけることで元素の役割を総合的に理解することができる。そこには陰陽五行というエネルギー循環の法則があり、この法則に沿ってすべての元素は動いているのである。

 以下掲げる元素と九星との対応は、その九星の気質を純度高く持つ元素である。これらは現時点での研究成果によるものであり、今後の研究成果によって部分的に変更が生じる可能性がある。この点もあらかじめ言及しておきたい。

 

 

 

一白水星:Ca

⇒引力 結合 統合 流動 信号 共振 同期 収縮 冷却 情感 

三碧木星:H,K 

⇒振動 強靭 成長 促進 活性 即時 急進 直進 揮発 

四緑木星:Zn      

⇒浮力 緩徐 拡張 拡散 調整 整理 情報伝達 複製 

五黄土星:S        

⇒陰陽混淆 エネルギーの生成と崩壊 解毒 代謝

六白金星:O,Fe

⇒完全 充満 硬化 堅固 無窮 普遍 高熱 

   エネルギーの蓄積と放出 

七赤金星:C

⇒変性 変容 劣化 軟化 欠損 多様 汎用 適応 適量 合成

九紫火星:Mg,I

⇒斥力 離合 分離 均衡 間隔 秩序 明解 知性 理性 

二黒土星:該当元素無し。五黄の気質に部分的に含まれる。

     ⇒受容 解体 消化 再生 休止 終了 惰性 反復 無反応   

八白土星:該当元素無し。五黄の気質に部分的に含まれる。

     ⇒繋ぎ 蓄積 増殖 分岐 転換 交換 抑止 境界 

 

 

 

以下は九星を人の能力から捉えた象意である。

 

一白水星:記憶力 統合力 創造力 同調力 洞察力 親和力 計画性

二黒土星:持続力 忍耐力 緻密性 堅実性 献身性 母性

三碧木星:実行力 決断力 即効性 勇敢さ 発想力 アイディア  

四緑木星:忠実性 従順性 柔軟性 拡散力 表現力 整理力 情報力 

五黄土星:現実化 原動力 支配力 破壊力 復活力 ゼロからの創生 

六白金星:普遍性 公平性 潔白性 篤実性 堅実性 保守性 責任感

七赤金星:コミュニケーション力 変容力 適応力 応用力 多様性 利便性

八白土星:継承力 育成力 技術力 転換力 父性

九紫火星:分析力 識別力 発見力 理解力 判断力 指導力 先見性

 

 

 

 

 

 

§必須元素と九星の対応

 

 以下必須元素と九星との対応を掲げる。これらの元素は必須元素、微量必須元素と呼ばれるものである。この中には一部対象に加えない元素もあるが、その働きが重要と考えられるものは付け加えた。

*各元素にリンクのページをつけ、その特徴を詳述。

 

カルシウム(Ca    ⇒ 一白水星

アルミニウム(Al  ⇒ 一白水星

ニッケル(Ni    ⇒ 一白水星

マンガン(Mn    ⇒ 一白水星

モリブデン(Mo    ⇒ 一白水星  

バナジウム(V   ⇒ 一白水星

フッ素(F     ⇒ 一白水星

塩素(Cl      ⇒ 一白水星(三碧木星)

セレン(Se     ⇒ 一白水星(三碧木星) 

クロム(Cr     ⇒ 一白水星(三碧木星)

ヒ素(As      ⇒ 一白水星(三碧木星)  

ホウ素(B     ⇒ 一白水星(六白金星)

コバルト(Co    ⇒ 一白水星(三碧木星・六白金星)

ケイ素(Si     ⇒ 一白水星(三碧木星・六白金星)

臭素(Br                 一白水星(三碧木星・六白金星)

水素(H      ⇒ 三碧木星

窒素(N      ⇒ 三碧木星

カリウム(K    ⇒ 三碧木星

亜鉛(Zn      ⇒ 三碧木星(四緑木星)

銅(Cu       ⇒ 三碧木星(四緑木星)

リン(P      ⇒ 三碧木星(九紫火星)

硫黄(S      ⇒ 五黄土星(九紫火星)

酸素(O      ⇒ 六白金星

鉄(Fe        ⇒ 六白金星

ナトリウム(Na    ⇒ 六白金星(一白水星)

炭素(C         ⇒ 七赤金星

マグネシウム(Mg   ⇒ 九紫火星

ヨウ素(I      ⇒ 九紫火星

 

 

 

§震宮の一白水星

 

一白水星は生体においては代謝全般に関わる重要な役割を果たす。特に震宮の一白水星が生体へもたらす影響は広範囲に及ぶ。一方で震宮の一白水星は暗剣殺という不安定化したエネルギーを伴うため、その働きは総じて予測しづらい。三碧木星と一白水星との関係がアンバランスになる原理は、一白(水)の流動性が震宮の強い振動に揺さぶられ不安定化することに起因する。

震宮に属する最も重要な臓器は肝臓であるが、一白水星が入ることにより一白を意味する腎臓、泌尿器、生殖器、血液、ホルモン分泌等の機能が震宮特有の環境によって揺さぶられる。ホルモン分泌を九星に置き換えるとエストロゲンなどの女性ホルモンは七赤金星が担い、テストステロンなどの男性ホルモンは三碧木星が担う。一白はホルモン生成のバックボーンを担い、三碧と七赤のバランスを取る働きをする。

暗剣殺とは五黄土星の対冲にある九星に生じる反動エネルギーである。五黄土星は陰と陽の両極が混淆するエネルギー体であるから、暗剣殺も五黄の両極に振れる傾向が現れる。すなわち一白水星暗剣殺は一白に関する反応が両極に振れるエネルギー状態を意味する。陰陽混淆とは全く異なる方向へ進むエネルギーの混淆であり、ここに成就と破綻が生じる。この混淆はエネルギーが過剰になる時には障害が生じ、エネルギーが制御状態にある時はむしろ未解決のエネルギーを決着し、両極に向かうエネルギーを上手く統合することができる。

 暗剣殺は未解決エネルギーの統合過程において出てくる障害であるが、これ自体を障害のみをもたらすエネルギーとして捉えることはできない。それは震宮の一白水星には暦に従い天道という九星の能力を活性化させるエネルギーを伴うからである。これにより一白水星は潜在能力を開花させ、予測できない様々な環境変化に上手く対処できるようになる。震宮の一白水星が代謝全般を制御する働きがあることは、この観点からも理解することができる。

 一白水星の気質を持つ元素に過不足が生じると、生体に様々な障害を及ぼすことを本論考では記述している。その要因をここでは総じて震宮の一白水星の不安定化と考えている。但し、この見方は三碧木星を命運に持つ人に特別現われる症状と考えているのではない。気学的に重要な観点は、三碧木星のエネルギーが旺盛になる時は、気学的な構造として一白水星が同時に不安定化するということである。三碧木星過剰の形としては中宮同会があるが、その他にも十二支との同会により三碧木星のエネルギーが過剰になる状態もある。気学から捉えられることは、三碧木星の過不足状態が常に一白水星の不安定化に結びつく構造的要因を持っているということである。それだけに外界の影響を直接的に受ける震宮の一白水星は生体の恒常性に大きな影響を及ぼし得ることを言及しておきたい。

 

 

参考文献

 

当論考を記述する上で参考にした主な文献は以下の2点である。

・講談社「元素111の新知識」第2版

・とうほう「新食品成分表FOODS2023

医学に関する記述においては厚生労働省など関係省庁の見解をベースとし、さらに公立および民間の研究機関や医療機関の論文などを参考にした。また元素の物理的性質については、大学・公立の研究機関の論文を優先して参照し、必要に応じて化学工業関係の民間会社による記述やデータを参照した。

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修