モリブデン Molybdenum Mo
モリブデンは銀白色の硬い金属である。高融点で優れた機械的特性がある。人体においては肝臓と腎臓に多く分布し、尿酸や糖質脂質の代謝、造血の促進を補助する。毒性が低く、人体に蓄積されることはない。耐熱性の高さは坎宮の象意である。また母乳、牛乳に多く含まれ、造血作用もあることから一白水星の元素であることが伺える。
〔銅の代謝〕
モリブデンは銅と拮抗し銅の排泄作用がある。銅は三碧木星の気質を持つ。モリブデンを一白水星の元素と捉えると、銅との拮抗は同じ三碧同士の拮抗ではなく、一白と三碧が代謝の過程で制御し合う拮抗と考える。
〔鉄の代謝と造血作用〕
モリブデンは肝臓にある鉄の運搬を助け、鉄の利用効率を上げることで造血を促す。鉄は六白金星であり、六白を引き付ける力が強いのは一白水星である。モリブデンを過剰に摂取するとヘモグロビン形成に必要な銅が不足して貧血になる。一白の過剰は三碧木星および六白金星のエネルギー減退に繋がる。
〔糖質と脂質の代謝〕
モリブデンは糖質と脂質の代謝を助ける役割があると言われる。この働きは震宮の一白水星が担う。
〔酵素での働き〕
モリブデンは重要酵素の活性部分に存在し、微生物が持つ窒素固定を行う酵素ニトロゲナーゼにも含まれる。ニトロゲナーゼは窒素をアンモニアに変換する反応を触媒する。窒素は三碧木星の気質を持ち、アンモニアは震宮における一白水星の気質を持つ。震宮における一白は代謝の様々な働きに関わる。
〔潤滑剤〕
モリブデンは耐摩耗性・耐荷重性があり潤滑剤として用いられる。耐摩耗性は震宮における一白の耐極圧性と潤滑性とのコンビネーションから生まれる。気学では間隔・分離の働きは九紫火星が担い、結合・圧縮は一白水星が担い、余裕と遊びを作る働きは七赤金星が担う。総じて潤滑の働きは一白と七赤が担う。二硫化モリブデンは耐極圧性に優れる。耐極圧性は一白の象意である。
〔不凍液〕
モリブデン酸ナトリウムは不凍液の原料となる。不凍液は震宮における一白水星の流動性を利用したものであり、これは一白の本来の気質である凍結・凝固作用を震宮において逆転させた形である。震宮の一白には血液の血小板による凝固とその逆転現象である出血の双方の症状が現れる。
〔モリブデン過剰〕
モリブデンを過剰に摂取した牛は体重が低下し、貧血、授乳不良、不妊、骨粗鬆症などが起きる。これらの諸症状は一白水星の気質すなわち造血、受精、分泌、骨形成に由来するものであり、一白水星過剰または一白の不安定化により発生する症状と判断する。尚、一白の過剰による障害は一白水星暗剣殺や一白中宮による六白金星暗剣殺および乾宮の一白と坤宮の六白とのアンバランスが考えられる。
〔モリブデン欠乏〕
モリブデンは通常の食事から摂取できるので不足することはないと言われる。長期間完全静脈栄養を受けてモリブデンが不足している患者には尿酸の代謝異常、神経過敏、昏睡、頻脈、頻呼吸などの症状が現れる。一白水星の欠乏および不安定化は一白の働きである心拍、血流、睡眠、代謝に障害を及ぼす。
〔モリブデンを含む食品〕
モリブデンは種実類、穀類、豆類、調味料に多く含まれる。品目としては大豆、あずき、えんどう、納豆、レバー、青海苔、ごま、白米、からし、しょうゆ、そば、味噌などがある。肝臓は三碧木星の定位である震宮の臓器であり、三碧が中宮に同会すると震宮に一白水星が同会する。従って肝臓には一白の元素が集まりやすい。
浅沼気学岡山鑑定所監修

