亜鉛 Zinc Z

 亜鉛は三碧木星及び四緑木星の気質を持つ。単体の亜鉛は青白色の金属である。気学では青を三碧の色とする。亜鉛は鉄・銅と拮抗する。鉄は六白金星の気質を旺盛に持ち、六白は四緑と対冲の関係になるため亜鉛と拮抗する傾向が現れる。対冲の関係は何れか一方のエネルギーが過剰になると対峙する側から反発のエネルギーが生まれ、双方のバランスが取れている時は相補関係を築く。四緑は六白の働きを補助する役目を担うため、亜鉛が欠乏すると鉄欠乏性貧血を招く。

 一方銅は六白金星の気質をもたないが亜鉛と拮抗する。これは同じ三碧木星の気質を持つもの通しによる競合と考える。亜鉛と銅は同じ吸収経路をたどるため、亜鉛の過剰摂取は銅欠乏を招く。三碧は競争意識と縄張り意識が強いため、三碧の気質を持つ元素同士は拮抗する可能性がある。

 亜鉛は生体において鉄に次いで多く存在する。生体に含まれる構成比としては筋肉(60%)、骨(2030%)、皮膚・毛髪(8%)、肝臓(46%)、その他膵臓、脾臓、腎臓、消化管などに存在する。また前立腺、海馬、網膜にも高濃度に存在する。皮膚・毛髪は四緑木星に属するものであり、また視神経や網膜も四緑の気質を持つため、亜鉛が三碧のみならず四緑の気を含むことがここからも明らかになる。

 

 

〔耐食性〕

 亜鉛は鉄よりイオン化傾向が強いため、傷がつき水がつくと鉄の代わりに亜鉛が溶け出す。この性質を利用して亜鉛は耐食性のあるトタンに用いられる。亜鉛と鉄は四緑木星と六白金星の関係性にそのまま当てはまる。四緑は六白の働きを補い六白を立てるように動く。

 

 

〔亜鉛欠乏〕

 亜鉛が欠乏すると鉄欠乏性貧血、皮膚炎、脱毛、味覚・嗅覚障害、易感染症、創傷治癒遅延、骨粗しょう症、性腺機能低下症、不妊症、小児では身長体重の増加不良などを引き起こす。これらの症状は総じて震宮における一白水星不安定化の影響が大きい。

 一白水星と三碧木星は相生で密接な関係性を持つが、震宮に同会する時の一白はエネルギーが不安定化するため三碧とのバランスを崩しやすい。三碧は骨、関節、腱、筋肉などの強靭性を司り、四緑木星は腸、皮膚、毛髪、嗅覚、毛細血管、神経伝達などの調整を司る。亜鉛は腸管粘膜の維持に必須であるため、下痢、潰瘍性大腸炎、過敏性腸症候群などの症状が現れるときは、亜鉛の欠乏を疑う必要がある。

 

 

〔遺伝情報〕

 亜鉛はDNARNAの合成に関与し、細胞の発生分化を司る遺伝情報にも関わる。四緑木星には模倣と転写の働きがあるため、DNARNAの合成に関わる。

 

 

〔遺伝子発現〕

 亜鉛には遺伝子発現の働きがある。遺伝子の情報を一白水星とし、三碧木星は震宮における顕現作用により一白の隠れた能力を開花させる。

 

 

〔免疫力〕

 亜鉛は微量元素の中で最も免疫に関与すると言われる。亜鉛欠乏はT細胞の形成を阻害するため免疫力低下に繋がる。この場合亜鉛は三碧木星または四緑木星、T細胞は六白金星の働きと考える。免疫力は同化力の一白水星、攻撃力の三碧木星、防御力の六白金星、識別力の九紫火星の働きによって成り立つ。三碧の不安定化は震宮における一白の働きを不安定化させる。三碧と一白は免疫や代謝において連携して動くため、三碧に関与する器官や部位の不調は即一白の器官や部位の不調につながる。三碧と六白は本来協働すべき組み合わせにあるが、しばしば連携が崩れ、本来の働きに支障をきたすことがある。また四緑と六白の連携が崩れても互いの特性は正常に機能しなくなる。

 

 

〔創傷治癒能力の促進〕

 亜鉛は皮膚の傷を治し皮膚を正常な状態に保つ働きがある。この場合、傷の止血は震宮の一白水星が担い、三碧木星及び四緑木星の気質を持つ亜鉛は細胞の再生を担う一白と協働し、傷の修復と皮膚の新陳代謝を行う。 

 

 

〔活性酸素消去作用〕

 亜鉛は肝臓で働く抗酸化酵素SODを活性化するため、活性酸素の除去を促進する。気学では酸素を六白金星とし、活性酸素を六白金星の不安定化した状態と考える。特に坎宮に同会する六白金星は一白水星の過剰によるストレス下にあり、活性酸素発生による酸化ストレス状態を伺わせる。三碧木星と四緑木星は一白を制御することにより、六白不安定化による酸化ストレスを抑制する。震宮における一白は活性酸素を抑える酵素SODの働きとして見ることができる。

 

 

〔キレート〕

 抗生物質など特定の薬剤は亜鉛をキレートする。キレート作用とは化学物質が金属イオンを包み込むような形で結合することであり、吸収されにくい養分をアミノ酸や有機酸によって挟み込んで吸収されやすい形に変えたり、有害物質を無害化したりすることをいう。亜鉛をキレートする薬剤は亜鉛排泄を促進し亜鉛欠乏を招く要因となる。亜鉛を三碧木星とすると、三碧木星を制御するのは震宮の一白水星である。一白は易の坎より派生した気である。坎の形はものが圧縮凝縮する形であり、外側の陰爻側が中の陽爻を挟み込むキレートの形でもある。この場合、薬剤の一白が三碧の亜鉛をキレートし、排泄を促進しているものと考えられる。これらキレート、解毒、薬剤の働きは震宮における一白水星の働きと考える。

 

 

〔解毒作用〕

 亜鉛は体内に溜まった有害ミネラルを体外に排出する際に利用される。特にマンガン排出機構に関与すると考えられている。マンガンを一白水星の元素と見なすと、震宮の一白水星は三碧木星の亜鉛による代謝解毒の形と考えることができる。解毒は主として肝機能を司る三碧木星と震宮の一白水星の連携によって成される。

 

 

〔亜鉛を含む食品〕

 亜鉛を多く含む食品には魚介類、肉類、藻類、豆類、種実類などがあり、牡蠣に最も多く、その他かぼちゃの種、ココア、レバー、緑茶、えんどう、大豆、甘海苔にも多く含まれる。また主食である米、小麦にも微量に含まれる。米の白色は一白および六白の象意であり、種は一白、収穫量が多く貯蔵保存が可能なものは六白の象意となる。肝臓は震宮の臓器であるから、三碧木星および一白水星の元素が溜まりやすい。

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修