カルシウム Calcium Ca

 カルシウムは一白水星を代表する元素である。以下カルシウムと一白水星の働きに整合性が現れる生体反応を掲げる。カルシウムは生体において非常に多様な働きを持つ。これは一白の定位である坎宮が他の九星を統括する位置にあることからも説明できる。一白の基本的な役割は統括、統合、記録、収縮、圧縮、同化、同調、発生、流転、伝達である。カルシウムの働きは多岐にわたり、筋収縮、骨石灰化、細胞分化、細胞増殖、ホルモンや神経伝達物質等の分泌、血液凝固、心拍リズムの維持、細胞死、神経伝達、シグナル伝達、シナプス可塑性、記憶、免疫、遺伝子発現などがある。

 これらの生体反応は坎宮および一白の気質からもたらされる。特に一白は震宮において代謝の働きを司るため、最も広範囲な影響力を持つ元素の一つとなる。またカルシウムは体内においてイオン化し、磁界の影響によりイオン濃度の変化が現れると言われる。このことはカルシウムが鉄同様に地球の電磁場環境の変化を受け、生体に方位作用をもたらすことを示している。

  

 

〔骨の成分〕  

カルシウムは骨を構成する元素のひとつである。カルシウムの白色は一白の色となり、固まる性質は一白の凝固・結合の気質からもたらされる。骨は三碧木星の強靭さと八白土星の繋ぎによって成り立つ。三碧および八白は代謝を司る震宮および兌宮において一白と密接な関係を築く。カルシウムの過剰摂取は動脈の石灰化を招き心臓病のリスクを高めると言われる。一方、カルシウムが欠乏すると副甲状腺ホルモンが分泌され骨のカルシウムが溶け血中のカルシウムが過剰になり動脈硬化のリスクが高まる。カルシウムは過剰も欠乏も同様に動脈硬化と心臓病のリスクを高める。カルシウムの過不足が及ぼす影響は、一白と六白の関係性から説明することができる。

一白水星の力が過剰になると六白金星は沈着し、一白の強いストレスを受ける。一白と六白は非常に強い拘束関係にあり、一白の過不足は六白金星暗剣殺を招き、一白および六白双方の働きを阻害する。従ってカルシウムの過不足は六白金星暗剣殺による沈着化(石灰化)とエネルギー減退を招き、動脈硬化や心臓病のリスクを高める。

  

 

〔シグナル伝達〕 

 シグナル伝達は一白水星の最も重要な働きの一つである。カルシウムのシグナル伝達は受精、発生、筋収縮、心臓の拍動、血圧制御、ホルモン分泌、神経伝達、シナプス可塑性、免疫反応、アポトーシスなど生命活動の中枢機能を担う。カルシウムによるシグナル伝達はカルシウムイオン濃度の変化によって細胞機能を制御し、細胞質中の局所で生じたカルシウムシグナルは波状に広がり細胞全体へ伝播する。このカルシウムウェーブは一白の特性をよく現した生体反応として捉えることができる。

 一白は情報伝達の中心的役割を担う。一白の定位である坎宮は全体への指令を行う司令官の位置にある。一白は指令を発信し、坎宮はこの指令に対する末端の反応をフィードバックし、身体機能の統合を図る。後天図と脳の構造には相関性があり、各宮の働きは凡そ脳の構造に当てはめて考えることができる。小脳や視床下部には坎宮の基本的働きと機能が備わる。 

  

 

〔免疫反応〕  

シグナル伝達を担うカルシウムイオンは免疫細胞の生理機能に重要な役割を果たす。外来抗原の刺激により細胞質内のカルシウムイオン濃度が上昇すると言われる。外来抗原に対する反応を最もよく現わすものが震宮の一白水星である。震宮は外界にいち早く接する場所であり、一白はその反応を受け持つ。震宮の一白は暗剣殺という不安定化したエネルギーを伴うと同時に、天道のように一白の能力を活性化させるエネルギーを伴うこともある。震宮の一白には過剰反応や情報の混乱が起こり得るため、免疫の過剰反応に繋がり得るものと考えられる。

 

  

〔筋肉収縮〕 

 収縮は一白水星の作用であり、筋肉は収縮の一白水星と弾力性の三碧木星との連携によって動く。一白と三碧は生体において密接な繋がりがあり、一白は総じて三碧の動きを制御するように働く。またカルシウムは一白水星、マグネシウムは九紫火星の気質を持ち、カルシウムは収縮、マグネシウムは弛緩に働き、筋肉の動きを制御する。一白は体においては拘束、心においては緩和に働く傾向があり、九紫は体においては緩和、心においては拘束に働く傾向がある。

  

 

〔細胞分裂・分化〕

 細胞及び細胞分裂のしくみを一白水星の働きとする。一つのものが内部分裂する形を一白の働きとし、一つのものが外部に分離分裂する形を九紫火星の働きとする。

  

 

〔ホルモン分泌〕  

 分泌は一白水星が担い、分泌器官の働きやその外形的しくみは七赤金星が担うものと考える。

  

 

〔遺伝子発現〕  

 記憶及びプログラミングは一白水星の働きである。一白が定位とする坎宮には記憶を圧縮して保存する機能がある。また坎宮には秘匿の意味があり、一白が外部への開示を意味する震宮に同会すると、その隠れた能力が開花する。震宮における一白は遺伝子発現を促していると考えられる。

  

 

〔血液凝固〕  

一白水星には凝固作用、圧縮作用がある。カルシウムは血液の凝固因子として働く。一方、一白水星暗剣殺は逆転の気質を持つため、条件によっては出血を抑止する凝固作用が凝固抑制に傾くことが予測できる。その事例として一白の気質を持つアルコールは血液凝固を抑制する。

 

 

〔カルシウムパラドックス〕 

カルシウムパラドックスはカルシウムの欠乏がカルシウム過剰に反転する生体反応である。カルシウムが不足すると副甲状腺ホルモンの働きにより血中カルシウム濃度が上昇する。また血中のカルシウム濃度が低下すると低カルシウム血症となり痙攣を起こす。この反応は震宮における一白水星特有の生体反応と考えられる。一白水星暗剣殺は五黄土星の対冲に発生する九星の反動エネルギーであり、上昇と下降、過剰と欠乏の両極に振れる。また一白水星は規則的且つ計画的に信号を送り、三碧木星は衝動的な反応を起こす。痙攣は規則性の一白と衝動の三碧の気が震宮で同会することによって起こる混乱であり過剰反応と考えられる。

  

 

〔細胞死〕 

 カルシウムは細胞死に関与する。一白水星が過剰となると六白金星のエネルギーが失われる。この場合の六白はATPあるいはシトクロムCに含まれる鉄と考えられる。細胞死にはアポトーシスとネクローシスがあるが、いずれの形態でも一白の気が関与する。アポトーシスは不要になった細胞やストレス刺激を受けて損傷した細胞を自滅させるしくみであるが、ストレスで細胞が損傷するとATPを産生するミトコンドリアへカルシウムイオンが流入しアポトーシスが誘導される。その際ATP喪失はアポトーシスを完結させる条件となる。 

 一方でミトコンドリア内のカルシウムイオンは細胞死のみならずATP産生にも寄与する。カルシウムは細胞を活かす方向にもアポトーシスを誘導する方向にも働くことになる。気学が捉える一白水星(カルシウム)と六白金星(ATP)との関係には二面性があり、一白過剰による六白のエネルギー抑制の形と、一白と六白との安定的な共助関係がある。アポトーシスにおけるATP喪失は六白金星暗剣殺と考え、またATP産生に寄与するカルシウムイオンの働きは一白と六白の共助関係に当たるものと考えられる。さらに震宮の一白水星暗剣殺もアポトーシスの制御に関わるものと考えられる。一白と六白の関係性は暗剣殺を含むため、陰にも陽にも働くという二面性が現れる。 

 細胞死を易で捉えると、坎(一白水星)は坤(二黒土星)より生まれ、坎の枯渇は坤の無となる。坤はエネルギーが枯渇した状態を現わす。坎のエネルギーが消滅すると坤の細胞死に至る。プログラム、指令、応答、シグナル伝達、ストレス制御は一白の働きである。その他一白の気質を持つ塩素も細胞死に関わる。

 

   

〔鎮静作用〕 

カルシウムにはストレスを和らげる鎮静作用がある。一白水星の過剰をストレスの状態とし、一白の気が十分にあると心身は安定する。興奮や緊張状態を三碧木星の過剰状態とし、これにブレーキをかける役割が震宮の一白水星にはある。

  

 

〔記憶〕 

カルシウムはシナプス可塑性に関与し記憶と学習を司る。また血液中のカルシウム値と認知障害には関連があると言われる。一白水星にはシグナル伝達、記憶、アポトーシスの働きがあるため、一白の不足や欠乏は認知症を引き起こす関連要因となる。同様に一白の気質を持つ水、糖、インスリンの不足も認知症を引き起こすリスク要因となる。 

 

 

〔磁界とカルシウムイオンの動き〕 

カルシウムイオンは磁界により濃度に変化が現れると言われる。カルシウムは一白水星の伝達機能を最も強く現わす元素でもあるから、磁界の変化がカルシウムイオンの動きに干渉し、シグナル伝達に影響を及ぼすことは十分想定できる。一白が外界の環境条件に最も影響を受けるのは震宮であるから、震宮の一白はカルシウムイオンの濃度変化が最も現れやすい状態であると推測できる。

 

 

〔統合失調とカルシウムとの関係〕 

坎宮および一白水星の働きには統合の働きがある。一白が中宮にある時、離宮には五黄土星、坎宮には六白金星が暗剣殺を伴い対峙する。坎宮は主観的認知を担い、離宮は客観的認知を担う。二つの宮の不安定化は主観と客観のバランスを崩し、正常な判断力を揺るがす。カルシウムは一白の気質を持つため、カルシウムシグナルの異常は脳の統合機能に影響を及ぼす。一白には統合、指令、計画、創造の機能があるため、一白が過剰になると指令が頻繁化し、受け取り側が混乱する。また離宮は理性と判断力を司るため、一白の過剰により離宮が不安定化すると、非現実的な構想・空想・妄想が出やすくなる。

  

 

〔睡眠〕 

 坎宮は十二支の子に当たり、子の刻は午後23時から午前1時に該当する。坎宮を定位とする一白水星にはエネルギー減退、沈着、鎮静の働きがあり、物理的には左回転の収縮エネルギーとなる。カルシウムは睡眠を誘う働きがあるとされるが、これは坎宮および一白の働きによるものと考える。

  

 

〔カルシウムを多く含む食品〕 

 カルシウムは多くの食品に含まれる。乳製品では牛乳、ヨーグルト、チーズ。野菜ではかぶ、しそ、バジル、パセリ、みずな、モロヘイヤ。海藻ではひじき、青海苔、昆布。魚ではいかなご、いわし類、ししゃも。豆類では豆腐、厚揚げがある。一白水星の特徴をよく表す食品として牛乳が掲げられる。牛乳および乳製品は震宮における一白水星の性質をよく現わしているため、摂取量や頻度によってプラスマイナス双方の作用が現れる。

 

 

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修