コバルト Cobalt Co
コバルトは常温常圧では銀白色の強磁性体であり、コバルト塩化物は組成によって様々な色に変化する。コバルトブルーと言われるコバルトの色は三碧木星の紺碧色に該当する。色は九星の気質を特定する重要な手掛かりとなるが、アルミン酸コバルト(CoAl2O4)を主成分とするコバルトブルーは他の元素の気質を引き出した可能性もあり、これをもってコバルトの原色と捉えることは出来ない。コバルトの化学的性質や生体への影響を考察すると、一白水星および六白金星の気質を持ち、特に一白の気質が強いと判断できる。気学的な見解では三碧と一白、六白と一白が結び付くパターンはあり得るが、三碧と六白が同じ元素の中で結び付く可能性は考えにくい。三碧と六白は気学でいう相剋の組み合わせに当たり、エネルギーとしては三碧の上昇に対して六白は下降へ向かう。また連携度を示す坤宮と艮宮においても二つの九星は不安定な組み合わせとなる。総合的には六白に親近性を持つ一白の元素として掲げておく。
〔酸化被膜〕
コバルトは酸化被膜を作り錆びにくい性質がある。酸素を六白金星と見なすと、六白に最も結び付きやすいのは一白水星である。一白が六白に対し被膜を作る形は六白が中宮にある時の離宮の一白に現れる。離宮の一白は六白を保護する膜の役割を果たし、六白とともに腐食に強い金属を作る。
〔強磁性〕
コバルトは鉄とよく似た性質を持つ。このことは九星の特定に重要な手がかりとなる。鉄は六白金星の気質を最も純度高く持つ元素である。鉄は強磁性であるが高圧下においては磁性を失う。一方コバルトは高圧下でも磁性を失わない大きな帯磁率を持つ常磁性である。気学では磁力それ自体を一白水星の働きと考え、磁化しやすい物質を六白金星と考える。
〔コバルト磁石〕
コバルトは磁石の成分としても利用される。ネオジム磁石と比較して錆びにくく高温に強いという特徴がある。熱や火力を最も強く抑制するのは一白水星(水)である。六白には兌宮(七赤金星)に近い六白と坎宮(一白水星)に近い六白がある。錆びやすく変性しやすいのは七赤に近い六白である。この意味でもコバルトは六白に親近性を持つ一白の元素と考えられる。コバルト磁石の用途としては車・OA機器などのモーター、音響設備、発電機などがある。これらの用途に三碧木星と一白水星の連結象意が現れる。
〔ビタミンB12〕
コバルトはビタミンB12に含まれる。ビタミンB12の一つであるシアノコバラミンの構造式はC63H88CoN14O14Pである。ビタミンB12は赤血球を産生し貧血を防ぐ働きがある。また神経機能、DNA合成に必須の元素である。造血細胞の異常やビタミン・鉄不足により赤血球産生が低下すると貧血が起きる。赤血球を一白水星、鉄を六白金星と捉えると、一白の赤血球は六白の鉄に支えられて成り立つ。一白と六白はこのように切っても切れない関係性を持ち、一白は六白不足で自らのエネルギー源を失う。コバルトは腸管から吸収され、骨、膵臓、肝臓に蓄積される。骨の成分は三碧木星(繋ぎは八白土星)、膵臓は一白水星、肝臓は三碧木星の気質に由来する。
〔過剰摂取による生体への影響〕
コバルトを人に経口投与し続けると、食欲不振、吐き気、耳鳴り、難聴、神経障害、甲状腺腫、ヨウ素の取り込み阻害などの副作用が現れるとの報告がある。また過剰摂取すると多血病・甲状腺腫また心筋症を発症するとの指摘もある。これらはいずれも震宮における一白水星過剰の弊害と考える。尚、ヨウ素は九紫火星の元素であるから、コバルトの一白水星と強い相剋を生じ、取り込みを阻害することが考えられる。
〔生殖毒性〕
コバルトは生殖毒性があることが動物実験において示されている。震宮の一白水星は生殖機能に対しプラスにもマイナスにも働く。一白の気質を持つ元素は限度を超えて摂取すると毒性が現れる。
〔カルシウムイオンとの競合〕
水生環境においてコバルトイオンは魚のえらと水の接触面でカルシウムイオンと競合するとの考察がある。カルシウムは一白水星の気質を代表する元素であり、魚が活動する震宮の環境においては同じ一白の気質を持つコバルトと競合する可能性がある。
〔窒素固定〕
コバルトは窒素固定細菌含有の根粒を持つマメ科植物にとって必須の元素であることが分かっている。窒素は三碧木星の元素であり、三碧の能力を地上で最もよく引き出すのは一白水星である。窒素固定は窒素からアンモニアなどの窒素化合物を合成することから、震宮における一白水星は窒素固定細菌によるアンモニア合成を現わし、さらにマメ科植物の窒素固定に寄与するコバルトの働きを現わすものと考えられる。
〔コバルトを含む食品〕
コバルトを含む食品には魚介類、藻類、肉類、卵、乳製品などがある。しじみ、あさり、甘海苔、レバーに多く含まれる。
浅沼気学岡山鑑定所監修

