ヒ素 Arsenic As
ヒ素には毒性があり、歴史的には毒薬として用いられてきた経緯がある。単体ヒ素は灰色、黄色、黒色三種の同素体がある。また化学的性質はリンに似ていると言われる。ヒ素はヒジキなどの海産物に多く含まれるが、通常は肝臓で解毒され尿として排出される。但し一定量以上のヒ素およびヒ素化合物への曝露は生体に強い毒性をもたらす。ヒ素の性質は一見五黄土星の特徴を伺わせるが、五黄の気を旺盛に持つ硫黄はヒ素のような毒性を持たず、またヒ素は硫黄のような解毒作用を持たない。
ヒ素はリンと化学的性質が似ていることから三碧木星および九紫火星の気質を持つことが予測されるが、九紫は知性精神性を担う気であるから、九紫の不足があれば何らかの形で発達障害や精神障害が現れる。
毒性は震宮の一白水星において現れやすいが、兌宮の九紫火星にも毒性が現れる。兌宮の九紫火星暗剣殺による障害は、兌宮の特徴である食を通しての害が多く、また化学薬品、農薬などの人工物の影響も考えられる。
ヒ素は九紫火星の特徴を伺わせる性質が現れることもあるが、以下の特徴を精査すると総合的には一白水星の気質が強い元素と考えられる。
〔発育障害〕
草食動物はヒ素が欠乏すると発育障害が出ると言われる。また動物の飼育でヒ素が欠乏すると成長の遅れとともに受精および妊娠の確率が低下し、乳汁の産出量の低下があるという。これらの症状は一白水星の機能の低下と見る。発育、成長は三碧木星が促進し、受精・妊娠・乳汁分泌は一白水星が担う。震宮の一白水星は量・用途・頻度を誤ると毒性を発揮し成長を阻害することがある。
〔発達障害〕
ヒ素は発達障害をもたらす重金属の一つとして掲げられている。発達障害をもたらすという点では九紫火星の過不足も推測されるが、一白水星と九紫火星という両極の気質が同じ元素に含まれることは原理的に考えられない。但し化学薬品や農薬のように人工的に作られたヒ素化合物による害は兌宮の九紫火星暗剣殺の作用によって引き起こされるものと考える。
〔生殖毒性〕
ヒ素汚染飲料水の経口曝露による生殖毒性が報告されている。生殖に関する障害は総じて一白水星の過不足による影響と考える。
〔殺鼠剤〕
ヒ素は殺鼠剤として用いられている。震宮の一白水星は三碧木星の動物をおびき寄せる薬剤と見なすことができる。
〔ヒ素の中毒症状〕
ヒ素の中毒症状としては、吐き気、嘔吐、不整脈、毛細血管拡張、四肢脱力、筋反射不全、筋委縮、痙攣、皮膚角化が掲げられている。これらの症状は震宮における一白水星特有の症状として捉えることができる。またヒ素中毒の中に肺水腫が現れることがあるとの報告があるが、これは一白水星の過剰による六白金星暗剣殺の障害も含まれる。六白金星暗剣殺は心臓、肺に最も強く症状が現れる。これらの症状を総括すると、ヒ素は九紫火星ではなく一白水星の気質に属するものと考えられる。
〔鉄とヒ素〕
無機態のヒ素は土壌中に存在する鉄の水酸化物によく吸着すると言われる。鉄を六白金星と考えると、一白水星は六白金星を吸着し沈下させる働きがある。一白水星中宮による坎宮の六白金星暗剣殺と、六白金星中宮による離宮の一白水星との関係では大きな違いがある。一白より六白の力が旺盛である時は双方の能力が比較的バランスよく発揮され、六白より一白の力が旺盛になると、六白は一白のストレス下に置かれエネルギーを喪失する。
〔ヒ素を含む食品〕
一般的に無機ヒ素は有機ヒ素よりも毒性が強いと言われている。日本人が摂取するヒ素のほとんどは魚介類、野菜、海草類、米から得られている。有機ヒ素を含む食品には海草類や魚介類がある。また無機ヒ素の摂取量については米が約3分の2を占め、その他ではヒジキや野菜に多いと言われる。米を主食にすることによる健康への害については内外で意見が分かれるが、関係省庁の総合的な見解としては、バランスの取れた食生活であれば問題ないとの見解がある。震宮の一白水星暗剣殺は日常的に頻繁に接する環境を示しており、その頻度や量が許容量を超えると毒性が現れる。
浅沼気学岡山鑑定所監修

