369の過剰が及ぼす神経学的考察
癇癪とパニック症に見る369の波動的特徴
〔九星における三つのグループ〕
九星の特徴は年盤・月盤上の遁甲において四季の推移とともに明確に現れる。九星と十二支が織りなす気のパターンは三十六通りあり、寅の八白土星を始まりとして、卯の七赤金星、辰の六白金星と移行し、丑の九紫火星を最後にして再び寅の八白土星へと戻る。
この九星と十二支の循環の中で九星は生(せい)旺(おう)墓(ぼ)の三つのエネルギーパターンを作る。生は創成を司り、旺は創成したエネルギーを旺盛にし、持続継承の軌道を作る。墓は古いエネルギーを終わらせ、新たな気の入れ替えを行い、再び生の創成へと回帰させる。
この三つのグループとは生に属する258(二黒土星・五黄土星・八白土星)、次に旺に属する147(一白水星・四緑木星・七赤金星)、最後に墓に属する369(三碧木星・六白金星・九紫火星)である。
この中で369は丑辰未戌がもたらす土用とともに艮宮に同会し、陰陽の転換を確実にする。369に共通する特徴はすべて光をもたらすエネルギーであること。このエネルギーは強く明確な動エネルギーをもたらし、光を照らして鬱屈した状態を解消し物事の停滞を終わらせる。
その気性は時に激しく周囲を揺さぶり有無を言わさない。369の妥協を許さない気性は十二支の過剰なエネルギーと重なると特徴的な反応が生じ、強硬かつ急疾となる。
九星のグループ分けは個々の九星の特徴を掴むうえでも大いに役立ち、その全体像を理解する上でも大きな手立てとなる。
〔癇癪を起こす369のエネルギー〕
369のエネルギーが過剰となって起こる生体反応の一つに癇癪がある。ここでの癇癪は抑制しがたい突発的な怒気と定義する。癇癪を起こすエネルギーは気学的には次のような状況で発生すると考えられる。369の気が暦のタイミングで一時的に著しく偏る時。あるいはエネルギーが著しく偏るところに369が同会する時。そしてこれら369の偏る状態が本命月命日命の同会によって重なる時である。
369の中で特に癇癪を直接的に引き起こすエネルギーは三碧木星と九紫火星である。エネルギーの偏りとは年月日の十二支による旺盛なエネルギーとその反動によってもたらされる破である。特に破は気の流れに逆行するエネルギー体であるため、同会する宮と九星の働きを阻害し、その障害が明確に現れる。従って三碧木星と九紫火星が破に同会すると、三碧木星あるいは九紫火星のエネルギーが不安定化することによってその弱点が具体的に引き出され、癇癪を引き起こすものと考えられる。癇癪はよく人の性格で見られる“切れる”気質とともに現れる。
369の波動的特徴を把握することは生体反応への影響を理解する上で非常に役に立つ。三碧木星は易の震より発し、震は雷を象意とすることから雷動すなわち突発的な神経反応を生み出す。六白金星は易の乾より生ずる。乾は光を象意とし、熱エネルギーが充満した状態を現わし、人においては硬直・威圧として現れる。九紫火星は易の離より発し、火を象意とし、燃焼・炎症・解離を司る。
三碧木星はエネルギー的に激しい振動や揺さぶりがあり、このエネルギーが不安定化すると瞬間的な驚愕・逃避・攻撃反応を引き起こす。九紫火星は異質なものを分離し、炎症を招いて繋がりを断ち切る。三碧木星は電気的現象であり、九紫火星は燃焼あるいは炎症を伴う現象である。破はこれら二つの気の正常な働きを阻害し、神経の過剰反応を引き起こす。
例えば自分のペースで仕事ができない状況、自分の作業のペースを外的環境や他人から崩される時、仕事の切れ目が合わない時。こうした時はストレスが過剰にかかり、作業をやめさせようとする方向性と無理をして作業を続けようとする気がバッティングし、電気的なショートが起きる。369はこの仕事の継続性、連携性、切れ目の作り方に弱点がある。
〔エネルギー欠乏状態が招く身体症状〕
癇癪は369の波動が関与する一方、癇癪を招くもう一つの視点としてエネルギーの欠乏状態がある。このエネルギーの欠乏状態が最も顕著に現れるのは二黒土星の破である。以下、二黒土星の持つ気質について易の理論を用いて解説する。尚、一白水星中宮による坎宮の六白金星暗剣殺もエネルギー不足を現わす。六白金星暗剣殺は六白金星が持つエネルギーを喪失・減退・生成不足に反転させる。この六白金星のエネルギーと一白水星の水気が枯渇した状態が二黒土星の破である。
二黒土星は土気の象徴である。五行の土には大きく二つの働きがあり、一つは物事を解体し無にすること、そして無から生命を生み出すことである。生成と解体である。この二つの働きは暦の特定のタイミングで過剰または欠乏に傾く。
二黒土星の破は同会する宮の象意からエネルギーの欠乏状態、その宮の働きを中断あるいは無にする状況が強く現れる。二黒土星の欠乏状態はすぐさま反動エネルギーとなり、これを補おうとする反応が起きる。この欠乏状態を補う反応としてエネルギーが過度に引き寄せられる。そのエネルギーの筆頭として掲げられるものが一白水星、三碧木星、六白金星のエネルギーである。
陰陽の法則は極まると逆に転ずる。従って欠乏状態はすぐさま満たそうとする動きに転ずる。但しその補おうとするエネルギーがコントロールできず、急速かつ過多に傾く。つまり欠乏が渇望に変わり、過剰にこれらのエネルギーを取り入れてしまうのである。その一つとして一白水星が掲げられる。
一白水星の原型である八卦の坎は水を象意とし、水は生命維持の根幹を担う。生命はエネルギーの欠乏が許容量を超えるとまずもって一白の水気を補おうとする。一白に属するものとしては水のほか糖分、脂肪、アルコールなどがあり、エネルギーの欠乏状態があると生命の危機と見なし、一白のエネルギーを本能的且つ反射的に取り戻そうとする。但し一白の水気は一定のところにとどまらず流転する気質を持ち、過剰になると毒性を発する性質を持つ。一白の過不足は一白水星暗剣殺または六白金星暗剣殺という気の不安定状態を招き、代謝および免疫に様々な障害を及ぼす。
三碧木星の原型である震は雷を象意とする。雷は静寂を破り、強烈な光と雷鳴と振動をもたらす。二黒土星破をエネルギー欠乏と見なすと、枯渇したエネルギー場に一気に巨大なエネルギーをもたらすものが震すなわち三碧木星である。二黒土星の破が引き出す癇癪は三碧木星への過剰な転換が大きいと考えられる。
六白金星の原型である乾は光を象意とする。乾は陽の極まりであり坤は陰の極まりである。陽が極まれば陰に転じ、陰が極まれば陽に転ずる。乾が極まれば坤に転じ、坤が極まれば乾に転ずる。エネルギーが欠乏した二黒土星は六白金星のエネルギーを必然的に求める。但し六白金星のエネルギー過剰および不安定化は動脈硬化などの血管疾患や活性酸素による酸化ストレスを招く要因となる。
これらの気の転換に関しては易の理論から考察することができる。易の六十四卦は乾為天に始まり坤為地となる。乾の天気と坤の地気が定まると地球の気象が動き始める。その最初の形として水雷屯が配置される。この形の推移に地球の気象の法則が現れる。乾の極まりは坤となり、坤の極まりは坎(水・生命)および震(雷・振動)へと移行する。無の坤は生命の源である坎水を生み出し、震の雷鳴によって生命を吹き返すのである。すなわち二黒土星のエネルギー欠乏状態は生命の鼓動(パルス)を生み出す一白水星へ転換し、静止状態を一気に動に転ずる三碧木星へ転換することを易は教えている。
この理論は気学論考「必須元素に現れる九星気質」から裏付けすることができる。必須元素で最も多い気質である一白水星の気を最も純度高く持つ元素としてカルシウムが掲げられる。カルシウムは生命の最初の鼓動を生み出す気であり、シグナル伝達を担う。六白金星の気質を持つ元素としてはエネルギー源である鉄、酸素、ナトリウムが掲げられる。また三碧木星の気質を旺盛に持つ元素としてはカリウム、窒素、亜鉛、リンなどが掲げられ、これらの元素は成長と生体維持のための必須元素となる。エネルギー欠乏状態を至急補うために一白水星、三碧木星、六白金星のエネルギーを補おうとする生体反応は気学および易学の理論と整合性を得ている。
☰ → ☷
乾 坤
陽気が極まれば陰気に転ずる
䷀ → ䷁ → ䷂
乾為天 坤為地 水雷屯
乾は坤に転じ、坤は坎(上卦)と雷(下卦)に転ずる
〔369の過剰とパニック症〕
369によるエネルギーの変調はパニック症の発症にも関与するものと考えられる。この変調は十二支の旺盛なエネルギーとその対冲に現れる反動エネルギーすなわち破によってもたらされる。特に破は同会する九星の欠点を引き出す力が強い。この経緯から暦の特有のタイミングで369と破が重なると、脳の神経伝達に支障を来し、特有の過剰反応が起きると推測できる。
パニック症状は扁桃体の過剰反応が要因の一つと言われるが、扁桃体を動かす特有の宮(波動域)に369が同会しさらに破を伴うと、電気的ショックが起き、突発的な神経症状が現れやすくなると気学からは判断できる。これは本命月命日命の組み合わせが発症の臨界点を大きく左右する。例えば本命月命日命のいずれかが暦のタイミングで同会し、その宮に破が及ぶと、負荷のかかる作業やストレスのかかる状態に陥ることによって、発症の臨界点を容易に超えるものと推測できる。
パニック症はストレス要因と環境要因、遺伝的要因があると考えられるが、いずれにおいても気学的には人体の気の不安定な部分が地球の気象の不安定時に重なることによって発症が誘発されるものと考えられる。
パニック症状がよく起きる人のパターンとして、自分では抱えきれないものを背負っているということを気学からは指摘することができる。抱えきれないものは本命環境において宿命的に逃れられず抱えていることもあれば、自らのこだわりで偏ったことを執拗に続けていることもある。気の偏りはどこかで必ずエネルギーの均衡を図るためにそのずれを調整する。この調整の過程で突発的神経症状が起き、そこに369の過剰が絡んでいると考えるのである。
さらにパニック症が起きやすい気学上の構造的要因もある。それは震宮と兌宮に同会する九星と破との組み合わせによって現れる。震宮および兌宮は不特定多数の人との交流が発生する場であり、震宮は動きの活発化する宮、兌宮は休息とコミュニケーションの宮である。震宮は交感神経が活発化し、兌宮は副交感神経が活発化する。
この震宮にエネルギーの不安定化した258の破が同会し、休息をもたらす兌宮に動の369の破が同会すると、静と動のバッティングが起き、交感神経と副交感神経の切り替わりを混乱させる。この逆回転するエネルギーのぶつかりが369のエネルギーと相まって特有の突発的な神経症状を引き起こしていると考えることができる。
〔369の気学的な意味〕
369の一つの役目は著しく偏ったことや個人的に継承不能なこと、持続不能なこと、適応不能なことを確実に断絶させることである。こうした現象は人においては破談、決裂、離縁となって現れることが多い。これらの不本意な出来事が現れる時は無理をして続けていること、やり続けていることがあり、これを気の世界が断絶しようとしているものと気学からは指摘できる。
369と破が起こす神経症状はエネルギーの偏りが閾値あるいは臨界点を超えた時に発生する。それは暦の気象に大きな影響を受けていると気学からは指摘できる。これが制御不能な神経症状となって我々の目に現れるのである。これらの症状はその人の命運の最も弱いところに生じる。命運の弱いところは生まれながらに決まっており、命運の波動形として確定しているから容易には克服できない。
〔369の破が生じる宮〕
369の破が生じる宮は特定の場所に規則的に生じる。これは暦に掲載される年盤月盤日盤で確認することができる。このため、369が起こす障害は暦によって一定程度予見することができる。
ところで脳機能の配置は後天図の八宮の特徴に準ずるところがあり、八宮の気質に応じて脳が形成され、その機能が発揮されていると私は考えている。これは後天図が波動エネルギーの生成原理を現わしているからである。
①艮宮(丑)と乾宮(亥)における369の破
この理論に従うと艮宮の丑と乾宮の亥は脳の扁桃体の位置に該当するものと推測できる。艮宮の丑と乾宮の亥には369の破が一定の規則性をもって生じる。このことは特に本命または月命の丑または亥に破を持つ人(本命または月命が巳または未の人)は、369のエネルギー変調による神経症状が起きやすいと推測することができる。丑と亥に共通することは他の人に変われない状況、特定の個人への継承と責任が指定されていることである。それは特定の人にストレスが過剰にかかる状況を示している。
艮宮は継承を司る宮であり、丑はその最もコアな部分を引き継ぐ。乾宮は責任を取る宮であり、特に亥は最終責任者の波動となる。こうした逃れがたく硬直化した状況が特定の暦のタイミングで369の過剰と重なり、様々な神経過剰反応を引き出しているものと考える。
369の中宮は当然369のエネルギーが旺盛になり、且つ坤艮に並ぶために気の不安定化は一層増す。さらに丑は左偏桃体の位置に該当すると考えるため、破はパニック症を引き起こす引き金となる。坤艮における369の破は連携と継承の中核の部分で不安定要素を抱えており、これは神経系統の断絶を生み出す大きな要因になると考えられる。
また258が中宮に同会すると、369が乾宮に同会し、巳の年月に亥の破が生じる。亥は右偏桃体の位置に該当すると考えるため、丑の破同様にパニック症を起こす引き金となる。
亥の対冲にある巳は神経過敏で決められたことを執拗に守り、自分のノウハウに沿って動こうとする。丑は自分の立場を譲らず、旧体制を維持することに拘る。巳と丑の融通性不足と369の柔軟性不足の気質は神経系統の反応を硬直化させる要因となる。
②兌宮(酉)における369の破
兌宮における369の破は丑や亥とは異なり、特定の人に限定的に及ぶストレス環境ではなく、不特定で偶発性を帯びたストレス環境となる。震宮と兌宮を結ぶラインは空間の無限性と自由度を現わしており、日常生活の身近な自由空間を意味する宮である。このラインは偶然性突発性を帯び、予測できない出来事が起きうる。震宮はモティベーションを掻き立て行動を始める宮。兌宮は休息してくつろぐ宮である。369は交感神経を活性化させるエネルギー体であるため、兌宮に同会すると自立神経は休息から一気に活動モードに切り替わる。兌宮の破はこの逆行するエネルギー状態を現わしている。
卯の年月に147が中宮に同会すると兌宮の369に破が及ぶ。尚、震宮と兌宮は脳の側頭葉の位置に当たるものと考えられる。
③坎宮(子)における369の破
さらに坎宮においても369の破が生じる。坎宮は生誕の宮。思いは現実化するというのが現象世界であるが、その最初の思い、微細な鼓動は坎宮より生ずる。坎宮は脳機能では小脳あるいは視床下部の深部に当たると考えられる。このためこの宮の破も重要な神経障害が起きうるものと推測できる。特に六白金星は坎宮に同会すると暗剣殺を伴い、さらに一白水星中宮による午の年月日には破を伴う。このため破の障害がより強く顕現する。一白水星中宮によって現れる六白金星暗剣殺はエネルギー減退を現わし、人においては不安症状や鬱症状を引き出すもとになる。
年盤月盤において369の破が生じる宮は兌宮、乾宮、坎宮、艮宮、坤宮となり、八宮の内五つの宮に369の破が生じる。兌宮における369の破は卯の年月に147が中宮に同会する時に生じ、乾宮の破は巳の年月に258が中宮に同会する時に生じ、坎宮の破は午の年月に147が中宮に同会する時に生じ、艮宮・坤宮の破は丑または未の年月に369が中宮に同会する時に生じる。尚、日盤は九星と十二支との組み合わせが年月盤のパターンと異なるという点を把握しておく必要がある。
〔369が破を伴う宮の時間帯〕
気学論考「八宮における九星の時間帯別象意」で考察したように、時間帯によって九星の働き方と役割は変化する。369が破を伴う宮の時間帯は以下のとおりである。369の破は実質的には未、酉、亥、子、丑の破に同会することによって現れる。
・未の時刻:午後1時から3時 丑の六白金星→三碧木星破(坤宮)
丑の九紫火星→六白金星破(坤宮)
丑の三碧木星→九紫火星破(坤宮)
・酉の時刻:17時から19時 卯の一白水星→三碧木星破(兌宮)
卯の四緑木星→六白金星破(兌宮)
卯の七赤金星→九紫火星破(兌宮)
・亥の時刻:21時から23時 巳の二黒土星→三碧木星破(乾宮)
巳の五黄土星→六白金星破(乾宮)
巳の八白土星→九紫火星破(乾宮)
・子の時刻:23時から深夜1時 午の七赤金星→三碧木星破(坎宮)
午の一白水星→六白暗剣殺破(坎宮)
午の四緑木星→九紫火星破(坎宮)
・丑の時刻:深夜1時から3時 未の九紫火星→三碧木星破(艮宮)
未の三碧木星→六白金星破(艮宮)
未の六白金星→九紫火星破(艮宮)
上記の通り、三碧木星、六白金星、九紫火星を命運に持つ人は、この時間帯に破との同会により神経症状が不安定化しやすい。一方、卯・巳・午の時間帯も十二支の旺盛なエネルギーによって特有のストレスがかかることが予測される。但し卯・巳・午は破を伴う形で369と同会しないため、直接的な障害は逃れるものの、対冲に369の破を抱えるためにエネルギー的には不安定要素を抱える。尚、未は丑の対冲に位置し丑を刺激するため、神経症状の誘因が予測できる。
・酉の対冲である卯の刻(午前5時から7時)
・亥の対冲である巳の刻(午前9時から11時)
・子の対冲である午の刻(午前11時から午後1時)
〔369の破が生み出す二つの環境不適応型〕
369の破が神経障害を及ぼす主要因と見なすと、その宮の象意から次の二つの環境的傾向が現れる。一つは継続環境不適応型。もう一つは突発的環境不適応型である。継続環境不適応型は丑・未の破と巳・亥の破によって現れ、突発的環境不適応型は卯・酉の破によって現れる。
〔継続環境不適応型〕
継続環境とは家族や組織において決まった役目や役割があり、動き方や対応が一定程度決まっている人間環境である。この環境では連携が求められ、坤宮艮宮の関係においては利害を超えた家族関係が生じ、世代継承を行う。また巽宮乾宮の関係においては主従関係が明確で役割に応じた責任が課せられる。369は継続環境が現れるこれらの宮に同会すると、一定の規則性をもって破を伴う。その中では巽宮に同会する時のみ宮の特性に適応し能力を発揮する。総じて369は家族的連携を求められる環境に弱く、また乾宮のように動きが硬直化する環境に弱い。
ここで坤宮艮宮の気学的な役割と特徴を述べておきたい。坤宮艮宮の丑寅はいわゆる鬼門と呼ばれるように、陰陽の転換が行われる。具体的には丑の陰から寅の陽への転換がなされるが、この境界が最も気の微細な部分であり、陰陽転換の障害が起きやすい。
坤宮艮宮に258が同会すると、土の受容性と不干渉性が現れ、147が同会すると連携性と持続性が生まれる。従って現実的な坤艮の継承は258ではなく147の同会によって確実性が増す。土の受容性においては無償の扶養と犠牲が生まれる。土の不干渉性は自らの意思を持たず、利害に絡まないという気質となって現れる。実はこの気質が坤艮の家族性を生み出している。その一方で坤艮は継承を行う宮でありながら、土はその不干渉性によって継承力に問題を抱える。特に丑と未は特定の個人に継承を行う。ここでは引継ぎや進退の決定において不可避な環境が出てくる。
〔突発的環境不適応型〕
一方、卯と酉が位置する震宮および兌宮は人間関係の束縛がなく自由意志で動くことのできる空間である。この環境は自由空間であるだけに不慣れな場所や初めてのことへの対応が求められる。継続環境は慣れることで時間とともに突発的な対応を求められる場面が少なくなっていくが、その分決められた対応が求められるというストレスがある。これに対し震宮および兌宮に現れる突発的環境は動き方の自由は確保されるが、すべてにおいて自分の判断と決断が求められ、連携による保護が得られにくいというストレスがある。
二つの環境タイプは九星によって分類でき、258および369は継続環境不適応型に属し、特に369はその特徴が顕著に現れる。これに対し147は突発的環境不適応型に属し、家族や仲間と連携して動く環境は得意である反面、単独の判断や決断が求められる環境に弱いという特徴が現れる。147は総じて慣れ親しんだ環境で家族や仲間と連携して動くことに長ける。従って慣れない環境に単独で入ると不適応反応が生じやすい。
147が中宮に入ると兌宮に369が同会する。特に卯の一白水星・四緑木星・七赤金星の時は兌宮の369に破が生じる。すなわち369は兌宮の環境に元来弱いということが気学から指摘できる。兌宮は時間でいうと17時から19時で、帰宅あるいは夕食の時間帯となり、身体及び精神が休息に入る時間帯である。これに対し369は動のエネルギーであり、交感神経を活性化させるエネルギー体であるから、兌宮の持つ環境に逆行するエネルギー形態となる。
369の破という視点で捉えると二つの環境不適応型が現れる。369の過剰なエネルギーがパニック症の発症を誘発する主要な原因と見なすならば、以上の二つの環境に対する不適応反応が発症の背景にあると読み取ることができる。二つの環境不適応型は369を命運に持つ人だけではない。上記に示した通り、147を命運に持つ人は兌宮(酉)に369の不安定要素を抱えやすく、258を命運に持つ人は乾宮(亥)に369の不安定要素を抱えやすいことを指摘しておく必要がある。
以上の二つの環境不適応型に加え、坎宮の369についても言及しておきたい。坎宮は地下、水面下の意味があり、ここに光を放つ369のエネルギーが同会すると、光が持つ本来のエネルギーは隠され、能力を発揮できなくなる。雷光を意味する三碧木星は地上で活発に動くことによってその能力を発揮する。太陽光を意味する六白金星は地上にあって初めて生命をはぐくむ光を届けることができる。地下に潜った六白金星が暗剣殺を伴う意味は光のエネルギーが失われ、本来の役目を発揮できなくなることを現わしている。火を象意とする九紫火星の光も同様、地下ではその力を発揮できない。
369のエネルギーは生命の発育を促す役目があり、地上にあって初めて機能する。植物は光合成によってATPを生成する。坎宮における369の破はエネルギー生成の抑制と漏出の形と考えることができる。
坎宮における369の破も神経症状を引き出す可能性がある。特に午の一白水星中宮による六白金星は暗剣殺と破が重なるため、他の九星よりもより強い影響を被ると考えられる。六白金星のエネルギー抑制および減退は、鬱や不安症を引き出すことを気学からは指摘しておきたい。この経緯から坎宮における369の破が生体に及ぼす影響は、外界から直接的にもたらされる影響ではなく、自己のエネルギー不足からくる不安状態、自己肯定力の不足からもたらされるものと考えることができる。
〔258の破がもたらす神経症状〕
369同様258の破も神経症状を引き出す可能性がある。ここでは特に二黒土星によるエネルギー欠乏状態に焦点を当てたい。二黒土星の破はエネルギー欠乏状態による強い反動エネルギーを引き出す。このため一白水星、三碧木星、六白金星などのエネルギーを過剰に引き寄せやすい。 二黒土星のエネルギー欠乏状態は栄養状態の欠乏と過剰すなわち拒食と過食を招き、また二黒土星の本質である母性と庇護の欠如は育児放棄、ニグレクト、DVを招く要因となる。
二黒土星に破が生じる宮は艮宮、震宮、巽宮、離宮、坤宮である。この並びは艮宮の午前1時から5時、震宮の午前5時から7時、巽宮の7時から11時、離宮の11時から午後1時、坤宮の午後1時から5時の流れとなる。艮宮は新旧の交代または継承をなし、震宮から巽宮は成長を促進し、離宮は意識の覚醒を促し、坤宮は古く役に立たなくなったものを解体するとともに再生への道に繋げる。二黒土星の破はそれぞれの宮において、成長→覚醒→解体→再生という自然界の成長と衰退のリズムに障害をもたらす。改めて五つの宮の十二支破と九星の関係性を示しておく。
・申の八白土星→艮宮(寅)の二黒土星暗剣殺破
・酉の四緑木星→震宮(卯)の二黒土星破
・戌の三碧木星→巽宮(辰)の二黒土星破
・子の七赤金星→離宮(午)の二黒土星破
・寅の五黄土星→坤宮(申)の二黒土星破
申の八白土星
→坤宮五黄土星のエネルギー過剰と艮宮二黒土星暗剣殺破のエネルギー欠乏が対峙。
酉の四緑木星
→兌宮六白金星のエネルギー過剰と震宮二黒土星破のエネルギー欠乏が対峙。
戌の三碧木星
→乾宮四緑木星のエネルギー過剰と巽宮二黒土星破のエネルギー欠乏が対峙。
子の七赤金星
→坎宮三碧木星のエネルギー過剰と離宮二黒土星破のエネルギー欠乏が対峙。
寅の五黄土星
→艮宮八白土星のエネルギー過剰と坤宮二黒土星破のエネルギー欠乏が対峙。
〔癇癪をコントロールする〕
癇癪は通常それを起こした人とそれを誘発した人あるいは状況があると考えられる。例えば癇癪を誘発した人がある場合においては誘発した人がその癇癪を受け取ることになる。こうした状況を気学ではどのように解釈するのか提示しておきたい。
気の世界はその波動を共有するものが同じ現象を生み出すと考える。「同声相応同気相求」同じ声を持つもの通しは相応じ、同じ気を持つものは相求める。これは易経の言葉である。この通り波動が同じものは共鳴し、同じ出来事を引き寄せ共有する。従って、癇癪を起こした人も起こされた人も、お互いに同じ気を持ち同じ偏りの状況を共有していると考える。これは互いに相手の問題と考えるのではなく、お互いが持つ気の共鳴作用によって生じていると受け取ることができる。いずれにしても癇癪は起こした人も起こされた人も不快な気分になる。エネルギー的にも場の空気を乱すため、起こさないに越したことはない。
癇癪を起こさない方法はあるのだろうか。気学から指摘できることは、こうした気の反応は地球の気象と連動しているために自分の意識のみでは対応しづらいということである。それがいつ来るかはある程度暦で確認できるものの、その対応は心の準備があった場合でも状況的には困難な場合が多い。自分の持つ特有の気をコントロールするには、まず自分の命運の特性を知り、こういう気質があることを良く認識しておく必要がある。そのうえで起き得るタイミングやパターンを知り、反応の仕方を変えていくことである。反応の仕方は日々の気の持ち方である程度変えていくことはできる。
〔369と147のバランス〕
369の特徴はいずれも妥協を許さない気質であること、つまり柔軟性に欠けるのである。この気質に対峙し抑制するのが147である。147は総じて柔軟性を持ち緩和をもたらす気である。生体においては交感神経から副交感神経に切り替える流れを147が作る。また神経緩和に働くホルモンや神経伝達物質の働きも総じて147の気が関わっている。
147は家族的連携、チームの連携が上手く、同じパターンを構築し、物事を持続させる役目がある。連携は個々人の負担を均等化し、七赤金星の楽しみ、喜び、癒しをもって、人間関係のストレスを和らげる。こうした147の気質を良い方向で取り入れることは癇癪を起こさない有効な方法となる。
自分一人で抱えきれないものを持っているという傾向は、言い換えれば家族的連携に疎く、人と連携した作業をしていないということでもある。369は基本的に独立自尊型の運気であるために、総じて単独で作業を行う。これは369の良き気質でもある。その一方で、本来的に日常生活で日々持続する家事は自分一人で抱えきれないものが生じてくる。369が抱える問題はこうした連携できることを一人で抱え過ぎる点にある。
いずれの命運もどこかに弱点を持つ。それを気の世界は上手く連携することにより、一人の人や一つの個所に著しくエネルギーの偏りが生じないように変化と調整を企てる。369が起こすエネルギー的断絶はこのために起きている。不本意ではあるものの、癇癪やパニック症はいずれもエネルギーの過剰な偏りを知らせており、これを調整するための特有の生体反応であると気学からは指摘することができる。
〔147の生体における働き〕
147は369に対峙する波動グループであることをすでに述べた。369は交感神経を活性化させ、147は副交感神経を活性化させる。一白水星が現わす生体機能は様々あり、気学論考「震宮の一白水星と生体反応に関する気学的考察」において述べた。
一白水星の象意は水であり、水は情を司る。従って一白水星は感情の動きに直接関与し、シグナル伝達による情報の統括、ホルモンなどの分泌とその循環、代謝に携わる。糖代謝を行うインスリン、甲状腺ホルモン、副腎皮質ホルモン、オキシトシンは一白の代表的なホルモンになる。
四緑木星は総じて広範囲かつ細部にわたる調整を行う波動体である。神経伝達物質の働きは四緑木星の働きに該当する。セロトニンは一白水星と四緑木星双方の気質を持つ代表的な神経伝達物質となる。従って一白水星または四緑木星に不安定要素を抱える本命月命、例えば亥・巳の二黒土星、亥・巳の五黄土星、辰・戌の三碧木星を命運に持つ人は、セロトニンの分泌が先天的に不安定になりやすいと指摘できる。
七赤金星は摂取、消化、分泌、触媒、代謝など、生体が外部環境に上手く適応するための内部環境の調整および変性を司る。エストロゲンなどの女性ホルモンの働きは七赤金星が受け持つ。七赤金星は癒し、励まし、喜びをもたらす気であり、生体においては恒常性を保つためのホルモン分泌調整やタンパク質などの物質を変性する働きがある。
一白水星の気質を生み出す坎☵は穴の形また波動の広がる形を示している。坎はあらゆる物質の通過を制御し、意思伝達を司る。 四緑木星の気質を生み出す巽☴は生体内部での出し入れの形を示しており、物質を浸透拡散させ、これらすべての調整を行う。七赤金星の気質を生み出す兌☱は内外の出し入れの形を示しており、外界の環境に適応するための体内環境の変化変容を司る。
147は連携して動く気質を持ち、持続性を保つことから、生体の恒常性維持に最も貢献する。以下に147それぞれの気学的な働きを改めてまとめておく。
一白水星 発信・発生・同化・引力・結合・統合・統括・指令・管理
四緑木星 整理・調整・伝達・普及・浸透・拡散・誘導・複製・模倣
七赤金星 収集・分与・
〔自分の得意に意識ラインを切り替える〕
波動は同じ周波数に乗ずるとその情報にアクセスし、そのエネルギーを共有するという性質がある。この原理に従えば、自分の欠点や弱点に意識を向けるとその欠点や弱点が呼び寄せられ、波長の乱れとともにエネルギーは減退し、自分の得意なことに意識を切り替えると、得意なことが呼び寄せられ、波動は安定しエネルギーは拡張する。
人は往々にして自分の弱点を補いあるいは弱点を補ってくれる人を探し求める。これは誰しもが陥りがちな反応であるが、気学的には明らかにエネルギー喪失のマイナス反応と見なされる。なぜなら不足のエネルギーを補おうとすると不足のエネルギーに加担してしまうからである。不足は一時的に補ってもまた不足のエネルギー形態に戻る。これは命運の型がもたらすと同時に地球の気のパターンが必然的にもたらすものでもある。弱点や欠点を補うということは不足を延々と追いかけることを意味する。一方、自分が得意なことや喜びに意識を向けると、命運の良き特徴が生かされ、天の気と共鳴し、得意のエネルギーが活かされ拡張していく。
地球の気は常に安定ラインと不安定ラインの交錯を築いている。その安定ラインにエネルギー成就をもたらし、不安定ラインにエネルギー破綻をもたらす。人はこのいずれのラインに気持ちを寄せるかによって、自らが持つ生命エネルギーを活性化させるか不安定化させるかが決まる。
369がもたらす気の断絶は自分に合わないエネルギーに対する拒絶であり、ストレスと緊張を生み出す状況を続けさせないための反応である。そのために気の世界は明確な意思表示をする369を宛がい、不慣れな環境、継承不能な環境から我が身を切り離し、これを確実に転換させようとしているのである。
258がもたらすエネルギー欠乏状態は、不足を補おうとする逆回転のエネルギーを過剰に引き寄せる。二黒土星の破はエネルギーの欠乏であり、エネルギーの欠乏は庇護の欠如、母性の欠如となり、庇護・母性の欠如は自虐性、攻撃性を招く。二黒土星の破はエネルギー欠乏の反動として突発的な神経反応を生み出す可能性がある。これは二黒土星のみにその原因を求めるのではなく、対冲の十二支と九星とのエネルギーバランスの崩れも見なければならない。破は生体に直接的に障害を及ぼすエネルギー形態であるが、この背景には対冲の十二支の過剰なエネルギーがある。欠乏を生み出す裏には何かに対する過剰なエネルギーすなわちこだわりと執着がある。
気すなわちエネルギーはすべてバランスで成り立っており、破はそのバランスの崩れを明確化する。369の破においても258の破においても、それはエネルギーバランスの崩れを明確に知らせるサインである。地球は気象によって気のバランスを図り、そのバランスを調整する過程において現れるものが様々な神経症状であることを改めて認識しておく必要がある。
浅沼気学岡山鑑定所監修