百四話
〔2024年9月の運気〕
9月は七赤金星が暦の中宮に入り、世界の動きが無秩序化します。さらに十二支の酉(9月)は卯とともに気象を激しく動かします。9月は2024年の中で最も注意を要する月となります。三碧木星年は世の中の動きが不透明で予測が立ちにくいという特徴があります。その三碧木星と同じく七赤金星も世界の秩序を乱す傾向があります。そのエネルギーは五黄土星の動きにあり、酉の七赤金星は特に五黄土星に破という障害をもたらすエネルギーが付くため、気象も人の動きも乱れます。
その一方で9月は世の喧騒とは別に、変化を抑制し、体制を維持するエネルギーが強くなります。9月は新たに取り組むことまたは個人で企てることは総じて通らず、むしろ周囲を混乱させます。一方既に軌道に乗っていることを計画通りに進めていくと成就の道が開かれます。9月の一白水星は天道を伴い、変化を意味する艮宮に同会しますが、これは変化を試みるのではなく、体制維持のために人と人を繋ぎ、交渉力によって混乱を抑制し乗り切っていくことを示しています。この一白水星の力は10月にさらに力を増し、その実力が世間に認められるところとなります。混乱騒乱の時こそ立ち回りと冷静な決断が求められます。
〔創造性と特殊性が貴ばれる時代〕
人には天道という特殊能力が備わっています。天道はその九星の力を活性化し、その人が生まれながらに持つ天賦の才能を発揮させます。天賦の才能はすべての人が持っており、命運のスケジュールに従ってその才能は開花します。
七赤金星は2022年から天道に導かれながら好調運気に入っています。この運気は2027年まで続き、その後一白水星に引き継がれ、さらには四緑木星に引き継がれていきます。一白水星、四緑木星、七赤金星は交互に6年間、持てる気質を発揮し、時代の潮流を作る好運期が巡ってきます。この6年間はほぼ天道を伴い、三つの九星の活動を活発化させると同時に、他の九星もこれらの九星が活発化したエネルギーの影響と恩恵を受けることになるのです。
2022年から2027年に訪れる七赤金星の天道はその特徴である自己変容を後押しします。自己変容は個々人の価値観の転換を推し進め、意図的に形成していた既存の社会の価値観を崩壊させます。この変容は価値観の多様性を促します。ここから一つの価値観で社会を形成することに限界が訪れ、私たちは自分の内面から打ち立てた価値観で物事を考え、世の中の出来事を捉え直すようになります。七赤金星の天道は最終的に私たち一人一人の才能に気付かせ、独立心を芽生えさせます。
作られた価値観で世の中を見なくなると、私たちは世間の意図的な誘導に乗らなくなり、生活においては同じ傾向のものを消費しなくなり、同じ生活の保証を求めなくなります。企業に有利な大量生産は今までのようには成り立たず、個別生産、受注生産が増えていきます。こうして組織有利の社会構造は終わり、個人が持つ知識と技術、精神性と感性優先の社会構造へ変わっていくのです。
自己変容の流れは七赤金星から一白水星へと引き継がれます。一白水星は自己回帰をさらに促します。一白水星は内面、情緒を意味し、見えるところではなく見えないところでの意識活動に重点を置きます。一白水星には独りの意味がありますが、その本質は結びの力であるため、人間関係はむしろ広がり、より深くより堅固な結びつきになっていきます。そして個々人が持つ天賦の才能は個々人の独立を後押しし、共通の能力や知識を必要とする社会からその人しか知らない知識、その人しかできない技術、その人固有の世界観が貴ばれるようになります。
固有の才能開花は“いったいそれは何の役に立つのか”という既成概念を打ち消します。何の役に立つのかという視点は旧来の利害優先の社会構造から生まれてくる価値観です。その価値観は一白天道の流れにはもはや通用しません。その人の内面から出てきた創造的なものが貴重であると見なされるのが一白水星時代の特徴です。そういう時代がもうすぐやってきます。七赤金星は次にやってくる一白水星時代の環境整備を行っています。多様性の先には創造性、特殊性がやってきます。
我々が今見なければならないのは自分自身の内面であり、その内面に隠れている創造性と特殊性なのです。天道はその人にしかない特別な才能を引き出す手助けをします。暦はその才能が開花する時を明らかにします。時代は暦通りに動き、人の運気も暦通りに展開していくのです。
〔六白金星の重要性を問い直す〕
高潔さを持つ六白金星という気がいかに重要な役目を果たしているかということを、私たちはここ数年の世界の変化の中で感じとることでしょう。六白はその純潔さを保つ限りにおいて力を発揮します。六白金星を代表とするものにダイヤモンドがあります。ダイヤモンドには輝きがあり、高い強度があります。ダイヤモンドに永遠性が宿る理由には簡単に変化変容しない物質的性質があります。高い強度を持ち、その輝きが失われないものはいずれも六白金星の気質を体現します。
その六白が弱体化した状態に穢れがあります。六白の気は与える一方であり、太陽のように無限のエネルギー源を現わすからです。穢れは気枯れであり、エネルギー欠乏状態です。気学的には一白水星の過剰によって坎宮(かんきゅう)に閉じ込められた六白金星の状態と見ます。六白は私的なものを本来的に持てないため、自分を優先するとその本来の力を発揮出来なくなります。気学では六白金星のこの状態を六白金星暗剣殺と記します。
六白金星の定位となる乾宮(けんきゅう)は物事の拠点を意味します。拠点とはそこから動かないということであり、そこから離れない、そこを守り切るという気です。六白金星の概念を生み出す八卦の乾は父性を意味します。父性には守りとそこから動かないという気質があります。それ故、乾宮には責任感が生じ、財の蓄積をもって家族を守り、家督を子孫に継承する働きが生じます。ここから六白金星には国家という意味が加わり、公共の利益に与するものはすべて六白の気を背負うことになるのです。
六白金星の気を安易に捉え六白の気を侮ると六白の穢れとなり、一家においては家督にひびが入り、国家においては災禍を招き、政治においては政治家や官僚の不正、腐敗を招きます。今、六白金星という気がいかなるものかということを改めて問い直してみる時が来ています。六白を侮るものはいずれ窮乏します。六白を侮る国家はいずれ破綻します。六白を軽んじると、いかに財を築こうとも最終的には無に帰すという運命をたどります。
2025年巳の二黒土星年に六白金星は離宮(りきゅう)に同会し天道を伴います。この六白金星が持つエネルギーはひときわ強く、世界の隅々まで浄化のエネルギーをもたらすものと思われます。2025年は真正の六白金星が降臨し、本当の公共性とは何かを知らしめ、中宮に同会する二黒土星すなわち国民を導きます。そしてこの年、俗世の六白と真正の六白は篩(ふるい)にかけられ、翌年には俗世の六白は破と暗剣殺の障害に陥り、衰退と消滅を余儀なくされます。その後真正の六白は国民によって堅固に守られ、新たな国造りに乗り出します。真正の六白は2028年から真の平等性の実現に向けて歩み始めるのです。
〔六白金星が体に及ぼす影響〕
健康においても六白金星の果たす役割は非常に大きいものがあります。六白金星は一白水星と特に強く連動して動きます。病気の多くは一白と六白がもたらす酸化ストレスから生じます。体における六白の機能にはエネルギー生成と免疫力があります。ミトコンドリアから生成されるATPは六白のエネルギーを体現しています。
ATPは太陽エネルギーすなわち六白金星のエネルギーを取り込むことよって生成されるのです。六白は熱エネルギーとなり、体温を上げ免疫を活性化させます。また酸素と鉄は六白の気質を代表する元素であり、いずれも体内においてはエネルギー源として活用されます。
一白水星と六白金星とはエネルギー生成の面でも対立と相補性を持ちます。代謝を活性化させる震宮(しんきゅう)に一白が同会すると、エネルギーは活性化と不安定化を行き来します。この時の一白は解糖系を現わし、急速なエネルギー供給と消失に揺さぶられます。一白の過剰は六白の熱を失わせるため、体は低体温に傾きます。一白の解糖系が低体温の環境で働く所以です。一方ミトコンドリア系は酸素(六白)を使用し、高体温(六白)の環境で働きます。ミトコンドリアは解糖系の18倍の効率でATPを生成し、安定的なエネルギーを作り出します。従ってミトコンドリア系は六白金星のエネルギー形態に属すると考えられます。低体温、低酸素、高血糖の組み合わせが癌細胞を特に誘発することはよく知られているところです。
免疫は体を守る最大の防備機能であり、ここが崩れると外敵から身を守ることもできず、また体の異常を感知し、自己治癒力をなくしてしまいます。真正の六白金星は劣化せず、増殖せず、安易な変容を許さず、拠点を動かないという性質があります。六白のエネルギーは異常細胞の発生・増殖・変異・転移を抑制する力があります。
安易な変化を許さない、いったん拠点を構えるとそこを動かない、そして劣化しない。この六白金星の特徴が外敵から身体を守り、与えても尽きない気質によって、年齢を重ねても劣化しない強靭な体づくりに貢献しているのです。
浅沼気学岡山鑑定所監修