百十四話

〔7月の運気〕

 

 暦の中では7月は前半の終わりの月となります。7月は暦の土用の期間を含み、運気の転換を起こし、8月の改革・革新の流れに繋げます。1、4、7、10の月は369すなわち三碧木星、六白金星、九紫火星が月盤の中宮に入り、妥協を許さない鋭角的な運気の転換を起こします。これが人事に及ぶと、重要ポストの交替が起き、組織は大きな方向転換を余儀なくされます。この流れに従い、7月は今までの体制の行き詰まりを正すタイミングとなります。7月は六白金星が中宮に入り、六白金星が意味する公の概念があらゆる分野で問われることになります。政治においては国益にそった政策と国民のための政策への転換、また企業においては公益に沿った企業理念の見直しと投資の転換が起きます。また今年の7月はモラルの乱れが浮上し、組織内ではハラスメントや詐称が増える懸念があります。

 一方、世界は正常化に向かう大きな流れがあり、これを四緑木星が先導します。四緑木星の役割は情報拡散、流通や取引関係の正常化です。関税もその一つに入り、政治的決断次第で貿易の正常化が見込めます。政治家、官僚、資本家、大手企業が既得権益を優先すると事態はますます混乱し交渉は決裂します。総じて既得権益を押し通すと破断し、自由と公平性の旗を掲げると物事はすんなり通るという気運に変わります。

 2025年以降は公益を無視した組織の運営は行き詰まり、国民の健康を守り国民生活を豊かにすることは、衆望を集め拡散するという方向性が明確化します。今年の宇宙的テーマとして六白金星の力を世界に浸透させることがあります。六白金星は公益をもたらす気です。国家も企業も資本家も、六白金星の気を体現します。すなわち国家も企業も資本家も、最終的には公益に奉仕するようにできています。この法則から外れるものは何一つありません。それ故、この道から外れようとするものは、暦の通り、非常に厳しい宇宙の反動エネルギーに晒されることになります。

 

 

 

 

 

 〔組織の利害で動こうとするとことごとく行き詰まる〕

 

組織の利害が個人の自由に優先する時代は既に終わっています。これは本命の硬直化した波動から月命の価値観を重視する時代に移り変わったからです。それが米の現状にすべて現れています。なぜ日本国の主食の米が庶民の手に入りにくくなっているのでしょうか。根本的な原因は組織の利害で動いているからです。組織の利害を優先する時代、一部の者の利害で動く時代は既に終わっているのです。終わりの合図は終わりの形を全体に分かるように見せ、その諸問題を皆の前に顕現させます。そうして何が問題であったのかを手に取るように明らかにします。それが昨今のコメ問題であると気学からは考えられます。

米は六白金星のエネルギーを持ち、二黒土星の働きによって生育します。六白金星は太陽光であり、無限かつ無償のエネルギー体です。二黒土星は土であり、無限且つ無償のエネルギー体です。六白と二黒いずれも利害と私欲から最も縁遠いエネルギーなのです。米は利害と私欲によって動かない。これが本質であり結論です。

農の事業化が成功する気学的条件は、農を営む者が公益に結びつく方向性をもって事業化する時です。農を意味する二黒土星は公益のために動くと、行政を意味する九紫火星のバックアップが得られ、事業が軌道に乗ります。一方二黒土星は組織の利害に従う立場になると、事業の公益性は失われ、経営面も作業面も持続力がなくなり、中途挫折を余儀なくされます。

二黒土星は食生活を意味する兌宮に入るとエネルギーは非常に安定し、理想的な環境を整えます。このバランスには自給自足の形と、分かち合いによる安心と喜びが現れます。また仲間との会食によってコミュニティーが活性化し、食費の軽減、自然食と粗食による健康への良い影響も現れてきます。これは気の世界の法則です。

米の問題は六白と二黒の気を軽んじることによって生じています。六白も二黒も見返りを求めないエネルギー体です。このことの意味が分からない限り、農は業の利害によって衰退していくだけです。農の真の意味に気付いたものは、自分が育てたものを自分で食べ、これを分かち合う喜びを知るのです。こうして農は無限と無償の気によって先祖代々引き継がれていくのです。

 

 

 

 

〔物質の力は世界を先導しない〕

 

 今後価値観の軸が本命から月命に切り替わると、世界の様相は一変します。力が強いものが弱いものを支配下に置く時代は2025年を境にして終わったと暦からは判断できます。この価値観の軸の移行は宇宙の進化の流れの中で起きていることですが、同時に地球に生まれた我々国民の意思であると言及することもできます。価値観の軸が変わるという現象は簡単に起きることではなく、数千年あるいは数万年に一度のレベルで起きうることです。

 我々が今後目にする世界は物質の量が差配する世界ではなく、精神の質が差配する世界になります。なぜならそれが月命を価値の軸とする時代だからです。地球が生命体である以上、地球も宇宙の進化の過程で波動環境を変えていきます。これまでの地球の波動環境は巽宮の波動がとりわけ強く長く支配していたと言えます。その巽宮は辰と巳の部分に分かれます。辰は競争の中で脱落していくものと残るものが選別されます。巳は従順性と忠実性を貫いた人が身に着ける気で、人生のすべてを主(あるじ)と見定めた人あるいは特定の組織に身を捧げ、社会・組織・国家に貢献するという傾向が出ます。その巳がさらに進み午との境界に至ると極限の忠誠を求められるようになり、組織の中に自分の存在価値を見出すようになります。人はここで疑念を抱くようになるのです。いったい私は何のために生きているのだろう。何のために生まれたのだろう。何のために働いているのだろうかと。この根源の問いが午の離宮に近づくと意識に浮上してくるのです。

 人は離宮の波動空間に至ると自分本来の価値観に目覚めます。自分にとって本当に一番大切なことは何かということに気付くのです。この気付きによって今まで自分が置かれていた依存の姿に気付き、自分ではない価値観に合わせて生きてきた自分に違和感を感じ、本当の自分はこうではないと自分に宣言することになるのです。これが離宮の覚醒です。離宮の覚醒は気学的に生誕の坎宮に対峙することによって生まれてきます。

 離宮の価値観とは精神の価値観です。離宮は物質世界から最も縁遠い宮です。この離宮を定位とする九紫火星が物質世界の充足を意味する兌宮に同会すると暗剣殺という不安定エネルギーを伴います。その背景には精神性の価値観は物質世界の価値観と相容れないという真理が現れています。

 月命時代の価値観の軸は物質ではなく精神性です。世界はこの切り替わりによって政治と経済の仕組みを根幹から切り替えていくことになります。物質量は今後優位性を持たなくなり世界を差配する力とはなりません。物質量ではなく精神性の豊かさが人や社会や国のモティベーションを引き出し先導していくことになります。その先頭に立つ国として日本は非常に大きなポテンシャルを持っています。それは精神性を主体とした文化の蓄積が長く保存されているからです。

 今後の世界における日本の役割は精神性による先導となります。精神性は社会の調和を貴び、物質世界特有の競争と争奪に関わりません。精神性を重んじる世界では国は交易を行っても自国の特徴を失うことなく、むしろ自国の特徴をさらに磨き、独創性を打ち出していきます。企業は利益のために作るのではなく、公益のため、国民の健康と生活向上のために物を作ります。なぜなら精神性が先導するからです。月命の時代とは独創性の時代、創造の時代です。ゼロから新たなものを作り、また良きものを維持し、磨き上げていくのです。これに準じて人の生き方も独創性と創造性に軸が移ります。同じものを作り、物を奪い合い、競争にさらされる時代はもう終わっています。

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修