百十六話
〔9月の運気〕
9月は四緑木星が月盤の中宮に入ります。四緑木星は風を象意とします。中宮はエネルギーの生成を司るため、その力の調整が必要とされます。その力が大きすぎれば周囲を牛耳ることとなり、その力が弱ければ周囲の秩序が乱れます。風の力が過剰になると台風のように猛威を振るい、周囲のものを壊しながら進みます。また四緑木星は情報を現わします。従って今まで隠れていた情報が表になり、世界が混乱すると読むことができます。
9月の特徴の一つは国民を現わす二黒土星がしびれを切らし、言わざるを得ないことを言い、やらざるを得ないことをやり始めるということです。その背景には物価上昇による生活の苦しさがあります。その不満が具体的な行動に現れる気配があります。
一方良性の四緑木星は物事の秩序化の働きます。秩序化の流れは先月に打ち立てられた長期計画をもとに動くことによって成し遂げられます。8月には米ロ首脳会談が開催され、世界の潮流が180°変わったことを世界に知らしめました。この流れをくむと世界は秩序化に向かい、この流れに逆らうと国民の貧困化は進み、国民の不満はさらに募ることになります。
また9月は七赤金星が天道を伴い、交渉と繋ぎを意味する艮宮(ごんきゅう)に入ります。七赤の本来の役目は人を癒し、励まし、喜ばせること。つまり和(なごみ)を周囲にもたらすことです。この七赤金星による和の交渉は10月に至りようやく結実します。9月は和と安らぎに流れていく道とさらなる貧困貧窮に流れていく道があり、どの道を選択するか、国民一人一人の見識が問われることになります。
〔言葉は通貨である〕
言葉を九星に置き換えると、視覚化された文字、記録された文字、記憶された文字は一白水星に該当し、話し言葉は七赤金星に該当します。2022年より時代の大きな潮流は七赤金星に切り替わっています。それは天道が七赤金星を後押ししているからです。天道は高次の宇宙の気であり、地球においては法則に適う気に降臨し、そのエネルギーを最大化させます。
七赤金星は今後の世界を作る中心的テーマとなります。それは既に始まっており、様々な分野で七赤の力が発揮されてきています。但しその心を明確に理解しておかなければ、次のステージに進むことはできません。本命世界の七赤金星と月命世界の七赤金星は意味合いが違いますが、いずれも喜びに向かうもの豊かさに向かうものが七赤金星の象意です。
お金を現わす九星には六白金星と七赤金星があり、日常生活で用いる少額のお金は七赤金星、投資や設備購入そして公共のために動かす貨幣はすべて六白金星に該当します。二つの九星が現わす貨幣量は一概には言えませんが、個人が日常生活で必要とする額は七赤金星に留まり、個人が日常生活で用いる額を大きく超えるものは必然的に六白金星に属することになります。
七赤金星は癒し、励まし、喜ばす気です。ですからこうした思いを現わすことのできるものや行為が七赤金星のお金に変換されます。六白金星は与える一方の気で、常に公益の立場に立ちます。六白金星は太陽光に準えることができ、太陽光は万物に等しく届きます。太陽光は与える一方のエネルギーであり、見返りを求めず、利害にも関わりません。これが六白金星の本来の姿です。六白金星を意味する大きなお金というのは、元来自分の自由に使えるお金ではないのです。つまり六白金星のお金をわが身の欲に用いると、その反動が暗剣殺という反動エネルギーとなってわが身の損失となって返ってくるのです。
七赤金星は喜びをもたらすものであり、幸福感の本源です。最終的に生命は衣食住の安泰と楽しみ喜びをもたらす七赤金星を欲し、これが最大のモティベーションになります。その七赤金星の恵みの最初にあるものは、目の前の人を励まし、癒し、喜ばす言葉です。これは誰でもどこでもできることであり、お金のやり取りを必要としません。これは言葉が本来的に人の心と心を繋げ、心を動かし、物と物を交換し、物を動かす通貨の機能を持っていることを示しています。
気学的な見解では言葉は本来的に通貨の機能を持っています。七赤金星は日常に使用するお金を意味します。日常でやり取りするすべてのサービスは七赤金星の気によって可能になります。その七赤金星の気を今すぐ誰でも持てるものが言葉です。人を励まし癒し喜ばすことは人に幸福を与えることです。七赤金星はあらゆる場面で簡単に用いることのできる利便性があります。私たちが買い物で良く利用するポイントも七赤金星のサービス形態に入ります。それ故に交換が可能となり、支払に用いることができるのです。
七赤金星は富の原点ですから、言葉は富の原点と言ってもよいのです。私は将来的にサービスや物と物の交換にお金を必要としない世界がやってくると考えています。なぜならそれが七赤金星の本来的な用い方だからです。気学はこのことを証明しています。
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私たちが使う言葉がサービスの交換に用いられる世界は、今私たちが生きる世界とは異なる世界に見えます。私たちの目は物質世界の非常に制約された価値観の中で動いており、どうしても形式と規則、法律、システムがなければ認めないし安心しないという傾向があります。気学的には本命世界の次元はこうした形式を重んじます。一方、波動世界には月命、日命という非物質世界の高い波動世界があります。この次元に至ると物的証拠を必要としない世界になります。二つの次元世界では精神や感情の共鳴が何よりの説得力となり証明となるのです。ですから七赤金星の喜びが相手に伝わったならば、それはお礼の形でその喜びのエネルギー量に匹敵するサービスが返ってくるのです。これが七赤金星の本来的なやり取りです。
この話は一見空想的に思えるかもしれません。けれども歴史を振り返ってみれば、人類史の大半は貨幣を必要としない時代を維持していました。また今でも家族内では貨幣を使うことなく共同生活を行っているのです。
気学はこの話を裏付けています。貨幣を必然的に必要とする空間は巽宮(そんきゅう)と乾宮(けんきゅう)です。この空間はしきたり、習わし、社会契約の空間です。この中にあらゆる組織そして国家が含まれます。この社会契約を現わす二つの宮において、七赤金星のエネルギーは不安定化します。一方個人が自由に生きる空間では七赤金星が生活の基盤を常時サポートし、物と物の交換、お礼の交換、言葉の交換が人間関係を取り持っているのです。七赤金星というエネルギーはいつでもどこでも誰でもが自由に用いることのできる空間で本領を発揮するのです。
言葉がお金になり得るならば、波動の高い言葉、文化レベルの高い言葉、微細な感情の起伏をも捉えることのできる裾野の広い言葉が高い価値を持つことになります。日本語は今後高次の世界における情報と価値交換の手段として最も注目される言語となるでしょう。
高次の世界では物と物の交換ではなく情感、情報、精神性の伝達に価値を置きます。そこでは言葉そのものが交換価値となり、言葉がお金の機能を全て担うことになります。ですから表現豊かな言葉が生活や社会の豊かさを作っていくのです。ここに至ると物は価値の判断基準から外れ、終には支払いという行為そのものが社会からなくなっていくことになるでしょう。それが言葉そのものを価値とする未来世界の姿だと私は考えています。
浅沼気学岡山鑑定所監修

