成功の気学的定義

成功の気学的定義は自分の本命又は月命が中宮に同会する時の未成就エネルギーの現実化である。中宮は未解決のエネルギーが精算される。その精算は成就の形となって思いが現実化することもあれば、思いや行動の矛盾が破綻の形をとって表面化することもある。成就と破綻。このように明暗がはっきり顕現する時空が中宮である。人は成功の定義を夢や希望の成就と考えているが、これと並行して夢と希望ではなかったことが破綻するという裏の側面もある。つまり縁のあることは法則通り成就し、縁のないことは法則通り破綻する。これが中宮の気学的な作用である。

 気学が捉える現実化には未精算エネルギーの成就と破綻という双方の側面があるが、この場合の破綻は決してマイナスの意味だけに留まらない。破綻とは縁のないことがその人から離れ、精算されることを意味する。これは気の世界の計らいであり、浄化の一環である。

夢の現実化とは高次の波動領域にある思いや意識が物質次元に顕現することである。気学では月命で描いたことが本命世界に現れる状態と捉える。本来、月命の希望は月命のリズムで成就し、本命の希望は本命のリズムで成就する。月命は非物質の世界にあり、主として精神性を担う。精神が求めていることが成就することである。この成就は月単位で顕現する。これに対し本命は最も低い次元に位置し、主に物質世界の物理変化とともに動く。このため月命の希望が本命の次元に反映するには時間を要する。この成就は思考の内容によって月命と本命の次元に分かれ、双方の法則に従って顕現する。

現実化とは次元の転換を伴い、未成就のエネルギーが形になることである。本命が志向する現実化は本命世界の中での形の変化となる。これは次元転換を伴う現実化ではない。それ故、本命世界の中での現実化は物質的な形の変化や移動になる。これは譲渡、権利移動、場合によっては争奪という形になる。物質世界の希望の現実化は創造ではない。ゼロから物事を創るという行為は、非物質的な構想が物質次元に転換されることであり、気学的には月命の思いが本命世界に顕現することを意味する。気学が考える真の現実化はゼロから新たなものが生じてくる創造の過程で起きることと定義できる。

人は精神性を軸として人生を組み立てる。人は月命を軸とし本命世界との関係性を築く。この関係性は月命が本命世界に制約を受ける形ではなく、精神性が物質世界からバックアップを受けるという形が本来の在り方である。物質世界の気学的な位置づけは最終目的ではなく、月命の生きがいを現実化するための物質的支えであり物質環境からのバックアップである。気学は本命世界の物質化が本質的な成功ではないと考える。月命が中心軸である限り、月命の望みが成就の本当の中身となる。ではなぜ人は本命世界の物質的成功に引かれていくのか。

気の世界は安定を目指す。波動の低い本命世界は波動の高い月命世界の土台となる。エネルギーは常に不安定状態から安定状態への移行を目指す。このため、月命は本命の安定状態に引かれ、安定状態を志向する。おそらくこの流れが重力的作用となって月命を本命に引き付けているものと考えられる。

けれども命運は月命が軸となった時はじめて三つの命運のバランスがとれる。その三つの命運とは本命、月命、日命である。この三つの命運を月命が軸となって束ねる。易は中を貴ぶ。気の世界は中に位置するものが軸となる。人は生きがいを軸にして生きているときに本当の充足感を感じる。本命の物質世界が軸になるのではなく、日命の感覚世界が軸となるのでもない。月命から出てくる精神性こそが、物質世界の低い波動と高次の波動を束ね、バランスを取るのである。

成功の定義は形あるものを得ることではない。地位、名誉、財産に裏付けされるものではない。それは精神性の充足感が得られるものであり、本当の自分が望んでいることを共有できる人間関係と空間を持つことである。精神が望むことが中宮においてエネルギー的に成就し、それが本命環境に形となって現れ、その本命環境を土台にして精神的安定を得ることである。これは本命環境と月命環境のバランスによってはじめて成しえる。本命は月命を支え、月命は本命にモティベーションを与え続けているのである。

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修