36年で転換される本命と月命の波動周期
〔母体としての地球〕
気学は人と地球の波動構造が同じであることを明確に示している。人のみならず地球から誕生する生命体はすべてその誕生時の地球の波動と磁場環境を写し取って誕生する。人の場合は地球の年月日の波動を受け取り、これを命運すなわち波動の型として受け持ち、母体である地球とともに生きていく。地球は太陽の周りを回転しており、太陽も銀河を回転している。宇宙はすべてこの回転周期を作り、回転周期からもたらされる波動の変化が生命体の命運として現れてくる。
命運はこの波動の周期リズムによって形成される。この時、地球の波動構造の性格から、他動的なものと自動的なものに区別されるようになる。つまり他動的に外部の波動を身に受けて変化していく運気と、自ら意思を発揮して形成していく運気の二つに分かれていく。
我々の認識の仕方は常に2次元的な見方になる。自分という存在を常に自分と自分以外のものという2つの次元で考えるのである。我々の感覚は自分という世界と自分の外にある世界のように二極構造の世界を作り上げる。そして自分の意思が作る世界と自分が生まれる前から既に存在する世界があると認識し、既成の物質世界は自らが欲して作られたものではないと認識している。
この認識はどこから生まれてくるのだろうか。気学はこの世界構造を命運の違いとして捉える。それが本命、月命、日命である。本命は年単位で移り変わる波動環境であり、月命は月単位で変わる波動環境、日命は日単位で変わる波動環境である。この三つの波動環境は別々のリズムで動き、人という生命体の中に重層的に組み込まれ、実質的には年月日の波動環境が重なりながら同時進行している。従って年の波動環境、月の波動環境、日の波動環境が交差し、互いに干渉しながら日々の運気が形成されている。
我々が動かしがたいと思っている世の中とは主として本命環境からもたらされる。本命は年単位で形成され、変化に最も時間を要する波動環境である。従って本命の環境は3次元世界において法則通りに物質化し、いったん物質化されると容易に動かせないという特徴が現れる。これは実質的な物質に限らず、例えば法律、規律、しきたり、常識、地位、名誉、肩書というものも本命環境に属するものとなる。これは長い年月を通して人間が社会秩序を作るために形成してきたものである。従って自分の思惑では動かせないものとなる。本命の大きな特徴はこうした個人の思惑で動かせないという性質が現れる。
これに対し月命はまだ物質化していない波動環境である。具体的には人が持つ精神性、志向性、思い、希望などの心の動きが月命の波動を構成する。月命の波動は非物質世界の波動領域を捉え、3次元環境と3次元以上の高い波動環境を繋ぐ。物質になっていない波動は当然我々にとって目に見える共通認識の世界とはならない。
本命の波動環境を3次元の物質世界と位置づけすると、月命は3次元世界とそれ以上の次元世界を繋ぎ、日命は月命よりさらに高い次元世界を捉えることになる。日命は非常に高い周波数となるため、直感、ひらめき、本能の感覚をもたらす波動領域となる。人においては6歳ごろまでの幼児に日命の波動が強く現れる。そして年齢を積み重ねるにつれ、人が持つ波動の軸は日命から月命に軸をシフトしていき、成人年齢に達するころには本命の波動を基盤に人生を歩めるようになる。この構造的変化には一定の規則性がある。
〔36歳から始まる波動環境の転換〕
人生を前半と後半に区分した際、人は波動の使い方を変化させ、人生全般の陰陽のバランスをとる。この法則は人の意思によるものではなく、地球という生命体の持つ波動環境に準じて展開される。宇宙はすべてにおいて陰陽のバランスをとる。前半の人生で本命環境を重視すれば、後半の人生では月命環境を重視し、前半の人生で月命環境を重視すれば、後半の人生は本命環境を重視するようになる。その転換点が36年目に訪れると考える。
地球は人と同じ生命体である。人が生命体であるにはその母体も生命体である必要がある。この視点は運勢学において極めて重要であり、共通認識として捉える必要がある。人に成長の段階があるならば地球にも成長の段階がある。人に意識があるなら地球にも意識がある。これは本来逆である。地球に意識があるからその分身である人にも意識が宿るのである。
地球は朝昼晩という一日のリズムを作り、成長においても生旺墓という成長と衰退のリズムを作る。このように生命体にはすべて地球からもたらされる波動の周期リズムを受け取り、これに準じた成長のリズムを形成している。
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気学が用いる年盤月盤の根拠となる理論図は易の後天図からもたらされる。この後天図は生命体が地球に生まれた後の波動環境を示している。これに対し生命体が生まれる前の磁場環境は先天図によって示される。これは意識を生じさせる電子が磁場の中で動いていない世界と捉えることもできる。後天世界とは意識が動く世界、波動が生じる生命世界である。
後天図は地球の波動環境を理論的に構成する。この波動環境は地球の自転と公転により複雑な波動の入れ替わりと循環を形成する。後天図はこの波動が変化し循環する動きを九星の遁甲で現わし、固定化して動かない波動環境を十二支の配置によって現わす。この波動環境の変化を年月で捉えたものが年盤と月盤である。
後天図における八つの宮は波動環境の違いを示す。この宮を遁甲することによって、地球の自転公転によって生じる規則的な波動環境の移り変わりが示される。この循環の中で波動の特徴的なパターンが生まれる。これが成長(生)・旺盛(旺)・衰退(墓)のリズムである。
年盤月盤は生旺墓によって波動環境の推移を示し、同時に陰陽の転換が起きる構造を表す。気の世界は極まれば転ずる。易の基本原理である。この原理に従えば、人が持つ命運も同じようにどこかの地点で陰陽の逆転が生じる。人生の前半が陽であれば後半は陰となり、人生の前半が陰であれば後半は陽となる。その境界を36歳と定めるのである。
36歳という歳は後天図における成長リズムの中で最も大きな節目となる。この節目は後天図の中央であり南天である離宮において現れる。36が節目となる根拠は数学的視点によって提示することができる。気の世界は3のリズムで連続性を作り、4で完結性を作る。この原理によって3のリズムと4のグループが合わさり十二支は形成される。地球の季節である春夏秋冬はこの原理(3か月×4季節)に則り形成されている。さらにこの原理を九星の循環に当てはめると、9(九星)×4(完結)=36となり、36年が人生における最初の完結数となる。
人生を前半と後半に区分けすると、前半は36歳で終わり、ここから6年をかけて後半への移行期間を設け、42歳から実質的な後半人生が始まり、72歳をもって人生の一つのサイクルが終わる。この前半から後半への移行期間の6年において、本命と月命の波動転換が起きると考えるのである。
〔年齢によって推移する波動環境〕
本命は物質環境が現れ、常識、しきたり、習わしによる大人の社会構造が強く表れる。従って本命環境は個人の力では動かしがたい世界となる。これに対し月命は未だ形に現れない非物質世界であるから、ここに人生の意欲、モティベーションが強く宿る。人は生まれると自意識を持つに至り、三つの波動構造によって自分という存在を形成し位置づけしていく。
6歳までの幼年期は日命波動が強く表れ、本能的、感覚的反応となり、情動が強く表れる。この段階では未だ本命世界に属する常識を明確に認識するには至らず、親を通して自分の外の世界を認識する。6歳を超えると親以外の人との関わりが実質的に始まり、自分という存在をより強く持つようになる。これによって自分以外の人や外界を認識するようになる。ここに月命の波動が現れ、自分の思いを通して外界と関りを持つようになる。
高校から大学に入学する頃、すなわち18歳を超える頃には、大人の社会に帰属するための準備を始める。ここに至ると自己の思いと希望を強く押し出せるようになり、月命の波動環境が一つの判断基準として、また自分のあり方として整えられていく。但しこの段階では未だ人生の目的を明確化し、自分の価値観に目覚める段階には至らない。つまり月命波動の確立にはいましばらく時間がかかるのである。
月命はその人の精神性、志向性、人生の目的意識を顕現させる。この意識は18歳になるまでに芽生え、就職すると実質的に本命環境の大人の社会に身を乗り出す。18歳までに体験する本命世界は親の庇護下における間接的体験であり、未だ完全に独立した状態における本命世界の体験とはならない。従って気学での実質的な自立は親の庇護から離れ、就職または自活し始めた時と捉える。ここで初めて本命と月命の波動は表と裏の関係性で統合され、人生を歩むための仕組みとして整えられていく。
〔生き方によって変化する命運〕
ここにおいて人はいずれの命運を軸にして生きていくかを決める。この軸の用い方は一つの傾向は現れるものの、最終的にはその人の生き方や職業によって変化する。人において本命と月命の使い方は様々な形で変化する。つまり場面によって本命と月命を使い分けするのである。どの人に接する時、あるいはどういう状況に接する時、本命あるいは月命を用いるかという、極めて複雑な波動の切り替えを行っているのである。
本命環境は常識的世界であるから、建前を必要とする社会や人間関係では人は本能的に本命に波動のスイッチを切り替え振舞うようになる。また自らの意思や思いを正直に出せる人間関係や環境であれば、人は月命を表に出し、自分の意思をきちんと相手に出せるようになる。人にはこの二面性が必ず現れる。つまり本命の自分と月命の自分である。これを人によっても切り替え、また場面によっても切り替えしていくのである。
本命と月命の波動環境の違いを人は本能的に把握している。この使い分けは瞬間的にも行うが、日々の生活のリズムにおいても切り替えする。1日であれば家族と過ごす時の自分と働きに出ているときの自分にも違いがある。振舞い方がしきたりや社会常識で決まっているところでは、人は必然的に本命波動に切り替え、仲間と打ち解けて交流する時は必然的に月命波動に切り替え、さらに打ち解けてくると日命波動に瞬時に切り替えることもある。波動の切り替えは日常レベルでも頻繁に切り替えしており、また人生という大きなサイクルにおいても陰陽の転換によって切り替えしていく。
〔人生の前半と後半で切り替える本命と月命〕
人生を前半と後半に分けると、ここにも宇宙の陰陽の法則が現れる。つまり前半と後半の命運の使い方を入れ替えするのである。ならば人は人生の前半と後半において、本命と月命をどのように切り替えしているのだろうか。その一つの事例を掲げてみたい。これは先ほども示した通り、生き方や仕事内容によって違いが出る。但し概ね共通する傾向はある。
人は人生の前半においては本命環境を基盤にし、本命社会に合わせて月命人生を組み立てようとする。なぜなら月命環境は本命環境の下支えがなければ成り立たないからである。従って前半は一定期間学校に通い、就職後も既成の常識とルールに従い、社会に適応するための知識を学ぶ。ここでは社会への適応が主眼となるため、自分が本当にやりたいことを表に出さず、生きがいよりも社会への適応と生活の安定を確保するための仕事を優先するようになる。
これに対し始めから自分がやりたいことや生きがいを主眼として仕事を決め選ぶ人も出てくる。この場合は月命を軸(表)とし、本命環境は従属(裏)に回すようになる。本命という物質環境を活用しながら自分の生きがいを実現していく生き方である。地球における波動環境は生活のためという物質環境の充足をより強く意識すると本命環境が強く押し出され、自分のやりたいことや生きがいを強く意識すると月命環境が強く押しだされる。
ここに生きがいと生活のためという相容れない世界の対立が生じてくる。一方、地球における三つの波動環境は月命を軸として本命と日命世界を繋ぐ。従って月命から出てくる自分の本当の思いと希望そして生きがいが本来の主軸となる。これはすべての人に共通する波動構造となる。
ところが物質と形式が基盤となる現実世界で社会に適応する意識を強く持つと、本命世界を表にして生きていくこととなり、生きがいは後回しにされてしまう。これは波動構造として本来の形ではない。このため本来の形ではない波動構造を36歳で逆転させ、月命を軸とした波動環境に戻すのである。36歳は人においては覚醒の年となり、ここで人は目覚め、本来の自分に戻る。36歳とは自分が何のために生まれてきたのかに気づき、自分本来のスタンスを取り戻す年でもある。
本命波動を軸に生きるということは人間社会へいち早く適応するための一つの手段である。生活のために働くということは人生において守りを固める生き方でもある。但し波動環境の本来の軸は月命である。つまり物質基盤は本命が司り、物質基盤を作るためのモティベーションは月命が司り、モティベーションにヒントを与える直感は日命が司る。月命はこの両極の波動を束ねる軸となる。それ故、本命波動を軸とする生き方はいずれ転換せざるを得なくなる。それが36歳に訪れる波動転換の意味である。
〔生きがいを生きるということの気学的な意味〕
人生の歩み方を気学的に分析すると、以下のように二つの側面が現れる。一つは本命環境において常識、しきたり、習わしを学び、ここで苦労と失敗を通して社会の仕組みを学ぶ。もう一つは自分のやりたいことを通して持てる才能を伸ばし、人生を学び楽しむという生き方である。この二つの傾向は互いに交差するという見方もできる。本命環境において苦労と失敗を通して学びながら、月命の自分のやりたいことを模索していく。この生き方はむしろ最も多いパターンと言ってもよい。
人生における本命環境と月命環境は表裏一体となって動いており、どちらか一方の環境に偏るということはできない。宇宙はすべてにおいてバランスをとる。従って前半で本命環境を強く意識すれば、後半では月命環境を軸とし、強く押し出すという形に切り替わる。
例えば前半人生で組織への帰属を強く意識し、生きがいを前面に押し出せなかった人は、後半人生は生きがいに重点を置き、転職あるいは独立し、自分の価値観に基づいた生計を組み立てるようになる。また前半人生で家事に関わらず生きてきた人は、後半人生において自ら率先して家事に関わるようになる。または関わらざるを得ない状況が出てくる。
これはその人が前半で作り上げた人間関係や仕事環境によって必ずしも完全には切り替わらない場合もある。但し波動環境は宇宙の法則に従って切り替わる。それ故、この波動環境の切り替わりに反すると、思いのほか人生全体のバランスが崩れ、動きがかみ合わなくなるということも念頭に入れておく必要がある。
〔本命と月命の偏りは人生のアンバランスを生む〕
本命と月命は前半と後半で使い方が逆転し、生き方そのものが大きく変化する。このバランスは表と裏という関係性で統合的に進行するが、いずれの命運を表にしても裏の命運とのバランスが重要性を帯びてくる。前半人生において本命を軸にして生きていても、その裏の月命人生をなおざりにして生きていくことはできない。生活のための仕事をしていても、人はどこかに月命の生きがいを求めて生きていく。またやりたいことをはじめから仕事にして生きていても、本命の実家や親との関係、地域社会との関係をなおざりにして生きていくことはできない。
ところが本命と月命のアンバランスな関係はよく見受けられる。本命環境でもまれることなく月命人生を主眼に生きてきた人は、往々にして本命の地域社会との関りが薄くなり、中年あるいは晩年になって、常識、慣習、しきたり、習わしについていくことができず、思わぬ躓きをし、孤立してしまうこともある。あるいはやりたい仕事で成功し名声を得ても、社会の落とし穴にはまり、月命環境で得られた幸運を台無しにしてしまうこともある。
本命環境には社会の常識が強く現れるが、これは束縛の波動環境と捉えられると誤りになる。本命は確かに物質環境によって成り立ち、一度決まれば変更が容易にできず、閉塞性を生み出す。その一方で本命環境は国、行政、地域、実家、親など、自分の身に何かあった時は保護され援助を受けるという仕組みが整っている。何かあった時、具体的な形で助けてくれるのは本命環境である。物質環境は束縛されもするが、守られるという決定的な強みがある。
気学が示す本命環境の本質は月命環境のバックアップである。すなわち人生における基盤は本命環境から得られるのである。この物質的基盤がなければ人は生きがいの実現も得られない。物質基盤には本籍地から得られる法律、行政のバックアップ、国および地域のインフラが含まれる。また相続による財産的支援も本命環境に属するものである。
本命と月命の波動環境はたとえ人生の前半と後半において軸が入れ替わっても、一方に偏りすぎるとバランスを崩し、表と裏の統合が得られなくなる。本命と月命の本来の関係は表裏一体であり、いずれを表にしても裏にしても、常にバランスを取る必要がある。
生活のために働くばかりではなく、生きがいの仕事を持つこと。各地を飛び回るばかりではなく、拠点を設けて自分の居場所を定めることもバランスを取る形となる。人生の前半において親元を離れて自分の生きがいに邁進してきたものは、人生の後半において拠点である故郷に戻り、地域社会との関りの中で自分の経験を生かしながら生きていく。これもバランスの取れた人生である。前半人生で企業に人生の限りを尽くした人は、後半人生において自分の才能を生かし、他人を助け導くことにエネルギーを注ぐ。これもバランスの取れた人生の歩みとなる。
本命と月命のバランスは前半と後半という大きな枠組みで取っていく形と、その都度調整していく形もある。本命環境に重心を置いている人は、時に月命環境に気持ちを振り向けてみるのである。仕事にすべてのエネルギーを注ぐ一方で、自分のやりたいことにエネルギーを注いでみる。また組織の決められた仕事の中でも、些細な形でもよいから自分のやりたいことを仕事の中に取り入れていくのである。このことにより本命環境と月命環境のバランスがとれるようになる。
自分がいずれの命運を今大事にして生きているか。時間的にどちらの命運を重視しているか。あるいはいずれの命運で挫折しているか。いずれの命運が行き詰まっているか。このように本命と月命の波動環境を具体的に認識し、二つの波動環境のバランスを常に意識して調整していくのである。
本命と月命の人生は表裏一体である。表裏一体であるから、いずれかの命運にエネルギーを傾けすぎると、もう一方の命運に偏りの反動が生じ、人生全体の流れに支障をきたすのである。これは意識の持ちようによっていつでも転換できる部分がある。偏り過ぎた生活パターンをその都度自分の意識の持ち方で調整していくことは可能である。
〔巽宮と乾宮の気学的な意義〕
人は就職するとその組織の動きに合わせた人生を歩み始める。ここで気学から見た組織という波動環境の由来と特徴を説明しておく。気学では組織の関係を巽宮と乾宮の関係で表す。この二つの宮の関係性は組織のみならず、国、企業、取引関係、取引にまつわる人間関係、場合によっては夫婦関係にも反映される。さらに踏み込めば利害に絡む関係もこの宮に属し、また契約が生じる関係性もすべてこの宮の関係に属する。
この二つの宮においては主従関係が構成され、乾宮の主人に対し、巽宮の従属が生じる。二つの宮の関係は契約により長期的な生活の安定を確保できる。その一方で契約に沿った義務が生じ、主従関係、従属関係によって、生活全般が縛られ、時に強い束縛とストレスを受けることになる。
巽宮と乾宮における主従関係はすべての人が何らかの形で経験する。いわゆる社会に出るということは気学的には巽宮の波動環境に入り、社会人としての規律と法を守り、組織の規律に従って動き、その責任を負うことを意味する。
従って巽宮と乾宮の関係に属すると、命運は必然的に本命環境を重視することになる。もちろん組織に従属して生きがいを実現することもできる。但し、この場合も物質基盤は本命環境にある。月命が軸となるには従属から自立する必要がある。この自立独立をもたらす宮が中宮であり、自立のための覚醒をもたらす宮が離宮である。
36歳は本命が生まれた年の地球の波動形に回帰することを意味し、ここで前半人生の集大成を迎える。この時、人は自己の価値観に目覚め、決意決断を促される。この仕組みによって初めて人生の大きな方向性の転換が可能となる。
九星遁甲の一巡によってもたらされる波動の大きな転換は、後天図の波動環境の移行と同時に起きる。後天図の八宮は波動環境の推移を生命の成長リズムとともに表し、南天に位置する離宮に頂点があることを示す。36歳とはこの離宮のエネルギーによって自己覚醒に至ることを意味する。
〔36歳より始まる波動環境の入れ替わりと移行期間〕
本命環境と月命環境は36歳をもって入れ替わる。これは波動の軸が切り替わることを意味する。この移行には6年という期間が設けられる。人は前半人生で作り上げた人間関係を36歳で一旦清算し、この年を機に自分が生まれた意味、人生の意味を改めて問い直す。これによって必要な人間関係のみが残され、自己本来の価値観が形成されていく。ここで命運に定められている新たな縁との出会いがもたらされ、生まれながらに持つ才能が開花していくのである。
但し36年間身に置いた本命環境の重心を短時日で月命環境に切り替えることはできない。このために気の世界は6年という移行期間を設ける。この36歳から42歳までの6年間に本命の九星が同会する宮を見ていくと、それぞれの宮が持つ意味とこの6つの宮が波動の移行に果たす役割が見えてくる。その6つの宮は以下の通りになる。
中宮36歳→
①乾宮37歳→②兌宮38歳→③艮宮39歳→④離宮40歳→⑤坎宮41歳→⑥坤宮42歳
本命九星は生まれて36年目に中宮に同会し、6年後には坤宮に同会する。坤宮は長く続いたことに終止符を打つ終着点の宮である。そして7年後に震宮に同会し、後半人生の新たな局面が始まる。この流れを鉄道に例えるならば、中宮はターミナル駅。坤宮は終着駅であり、震宮は新たな目的地へ進むための始発駅となる。
36歳から42歳の6年において気学が提示していることは、人生の目的を改めて問い直し思い出すことである。それは本命の常識やしきたりの世界から一旦離脱すること。巽宮の従属の人生と依存の人生から自立すること。離宮が意味する自己の価値観を確立すること。これらすべての意味がこの6年間の移行期間に含まれている。そしてこのテーマに真摯に向き合ったもののみが離宮の覚醒を得、自立を獲得し、本命人生から月命人生への切り替えを成し遂げるのである。
この6年のなかに6つの宮への同会があり、それぞれの宮を通過することによって、自己変性と自己覚醒がもたらされる。中宮で得た成果および決意したことは乾宮で基盤を固め、固めた基盤は兌宮で人との交際を経て変化変容し、艮宮において人間関係や物質環境の方向転換が生じる。離宮に同会すると内面の覚醒が生じ、既成のものとは異なる自分の価値観に目覚める。坎宮に同会すると自我意識が高まり、自分の原点に戻り何が自分の本意であるかを知り、自分の価値観に基づいた長期ビジョンを打ち立てる。そして坤宮に同会すると手放しと諦めの気が浮上し、長く続いた生活パターンがここで終わる。これと同時に坎宮で打ち立てた計画を実行するため、新たな取り組みの下準備を始める。
本命と月命環境の入れ替わりに用意された6年間の移行期間において、6つの宮はそれぞれの宮の特徴に応じた役目を果たす。この方向転換の流れで最も重要なポイントは艮宮の環境変化を経て、離宮と坎宮の内面の自立を獲得することにある。つまり本来の自分に戻るということである。
本命は自分以外のものが構築した世界という側面が強く現れる。一方月命は自分の精神性が打ち立てる内面の世界である。この世界は自分の価値観が打ち立てられなければ核となるエネルギーが得られない。従って本命環境から月命環境に軸を移すには、自分が志向していることの本質を見極め、自分の才能を導き出し、自分しか持てない独自の価値観を打ち立てておく必要がある。それがこの6年間の移行期間の本当の意味である。
〔八宮の波動と人の成長過程〕
後天図の八宮は時計回りで坎宮・艮宮・震宮・巽宮・離宮・坤宮・兌宮・乾宮と巡り、再び坎宮に戻る。この八宮は地球の波動環境の特徴を八つの区分で示す。我々が目にするあらゆる現象は必然的に後天図の原理に従う。この原理からもたらされる現象は多岐にわたる。地球の気象はもとより、一日の時間区分、12か月の区分、植生の成長過程、人の成長過程、人体の構成、社会の進化、さらには文明の進化と衰退の推移をも示す。
そこで八宮の役割を地球の波動環境とともに説明する。植生は地球の波動環境を最も忠実に現わし、人間は植生と同じ成長過程をたどる。これは極めて重要な視点であり、八宮によって作られる年齢階層の意味を解読するために、多くの示唆を提供してくれる。
坎宮
十二支 子
子の月(12月)
子の刻(午後11時から午前1時)
坎宮の象意:発生・誕生・自我・回帰・記憶・統合・結合・指揮・計画・引力
成長過程と環境:幼年期(6歳まで)
波動環境:日命波動が旺盛。
植生:土中の種
艮宮
十二支 丑・寅
丑の月(1月)・寅の月(2月)
丑の刻(午前1時から3時)・寅の刻(午前3時から5時)
艮宮の象意:接続・継承・転換・交代・抑止・教練
成長過程と環境:丑は少年期。こちらに繋ぎとめておく。自我の芽生え。
寅は思春期。繋ぎとめられた手を振り切って進む。
技術と知識の習得と継承。
波動環境:日命波動から月命波動に軸が切り替わる。
植生:発芽前。
震宮
十二支 卯
卯の月(3月)
卯の刻(午前5時から7時)
震宮の象意:進展・行動・体験・自由・挑戦・振動・驚き
成長過程と環境:就学から就職へ。親からの自立。社会体験。
波動環境:本命環境への適応と月命の生きがいの模索。
植生:発芽。新芽が勢いよく出る。
巽宮
辰の月(4月)・巳の月(5月)
辰の刻(午前5時から9時)・巳の刻(午前9時から11時)
巽宮の象意:従属・依存・忠誠・信頼・主従・契約・拡張・遠方・選択
成長過程と環境:就職。組織従属。社会契約と主従関係の構築。
波動環境:本命環境(社会)の仕組みを学び、月命環境を切り開く。
植生:新芽が伸び枝葉が旺盛になる。辰は枝が定着するに至らず取れやすい。
巳に至り枝が定着する。葉が増え、枝が太くなる。
離宮
午の月(6月)
午の刻(午前11時から午後1時)*離宮の中央は正午
離宮の象意:頂点・離合・斥力・覚醒・価値・発見・理想・真理・道義・美
成長過程と環境:昇格。自立。独立。覚醒。地位名誉。評価。指導的役割。
波動環境:本命環境と月命環境の軸の切り替え。
植生:開花。
坤宮
未の月(7月)・申の月(8月)
未の刻(午後1時から3時)・申の刻(午後3時から5時)
坤宮の象意:解体・再生・終了・継続・忍耐・地道・支え・堅実・母性・養育
成長過程と環境:中年期前半。後半人生の実施的始まり。
または前半人生の継続。仕事と家事の両立。
生きがいの現実化。
波動環境:月命環境が本命環境において現実化し、本命の物質環境に
加わりはじめる。
植生:花が一旦散り、その後結実する。
兌宮
酉の月(9月)
酉の刻(午後5時から7時)
兌宮の象意:安楽・休息・交際・緩和・簡素・利便・妥協・趣味
衣食住の安定
成長過程と環境:中年期後半。生活安定。収入安定。交際の活発化。
波動環境:月命環境と本命環境との協調と調和。
植生:収穫最盛期。
乾宮
戌の月(10月)・亥の月(11月)
戌の刻(午後7時から9時)
乾宮の象意:主人・管理・権力・支配・所有・資本・財力・家督・守り
成長過程と環境:高年期から老年期。定年。社会貢献。相続。世代交代。
波動環境:月命環境の完成と本命環境への回帰。
植生:実が熟し落ちる。落葉。実の種を残す。
36歳という年齢は運気の頂点を意味し、ここに依存の巽宮から自立の離宮への波動環境の転換が行われる。植生は離宮において開花し、人は離宮において覚醒する。巽宮は社会人として組織に入り、既存の社会環境に適応することに重点を置く。それは必然的に本命環境に従属し縛られることを意味する。そして離宮の波動環境に入ると、人は自分の価値観に目覚め、自立と独立を果たし、地位名誉肩書を得る。ここでは必ずしも組織から自立を試みる人ばかりではないが、離宮の覚醒エネルギーはすべての人に影響を及ぼし、自分が何のために生まれてきたかという人生の意味を改めて問い直させる。
離宮の自立とはまず精神の自立であり、既存の社会が形成した価値観からの離脱でもある。離宮が坎宮と対冲関係にあることの意味は、誕生の宮である坎宮に対峙し、もう一度自己の原点に戻るということである。36歳という歳は前半人生の集大成であると同時に、後半人生を自分の価値観で生きていくための関門となっている。
人生の前半が36歳で終わると考えると、人生の後半は72歳をもって終わる。以後、人は余生を生きていくことになる。これに準じて波動環境は再び陰陽の転換を行う。つまり月命から本命へ再び軸が移るのである。本命環境へ軸が戻ることの意味は人体の波動の推移に合わせるという意味もある。人は年を取るとともに波動が落ち着き、60歳を過ぎ72歳に至ると本命の低い波動環境に体がなじむようになる。
本命は物質次元の波動であり、守りと安定を意識すればするほど本命波動に回帰していく。72歳以降月命から本命に軸が戻ることの意味は、内に守りを固め、外に月命の生きがい求めて生きるということでもある。これは本命環境に精神的充足感を感じるようになるという、本命環境と月命環境の融合と共生の姿でもある。
定年後に地方に戻り、農に親しむようになる姿は本命環境への帰還と見てよい。波動の切り替えは個々人によって多様な現れ方をする。このように本命と月命の波動の切り替えは、人生の偏りをなくすために地球の波動環境が自然に整えてくれる仕組みである。これは人生のバランスを取る上で極めて大きな役割を果たしている。36年という周期は人生におけるもっとも大きな陰陽転換のリズムとなる。
〔物質環境から創造環境へ移る〕
前半人生において社会に出たての頃は社会への適応と生活基盤の構築のために、人は本能的に本命の波動を軸(表)に置き、まずはここに拠点を置き、そこから生きがいの人生を探し求めていく。本命環境は物質環境に特徴的に現れるが、これは元来月命から出てきた思いと希望が時間を経て制度、法律、規律、しきたりとなり、仕組みとして確立され、物質化してきた環境である。
これを物理学的に規定すると本命環境は3次元世界、月命環境は3次元世界と非物質世界の高次元を繋ぐ波動となる。我々が生まれながらに持つ地球の波動環境は成長とともに使い方が変化していく。先に示した後天図は成長・旺盛・衰退の変化リズムを表し、波動環境を八つの宮で区切り、波動環境の移り変わりを平面に現わす。
震宮は挑戦と試行の意義をもって社会を体験する宮。巽宮は組織への従属と社会の規律を学ぶ宮。そして離宮は巽宮の従属から精神的自立を果たす宮である。離宮は南天に位置し、ここに至り人は覚醒し、誕生を意味する坎宮と対峙し、自分は何のために生まれてきたかを再確認し、何を一番大切にして生きていくかという価値観を定める。この覚醒をもたらす宮において、前半人生と後半人生の波動の切り替えが促されるのである。
本命の物質環境は固定化したのち、時代とともにいずれ変化し崩壊していく。これに対し月命は思いと希望によってまだ見ぬ世界を生み出していく創造の波動である。既に築かれた物質世界とこれから創造していく世界。人は二つの波動世界の中でいずれかの命運に重きを置いて生きていく。月命は本命と日命を束ねる中心軸となる。この波動が軸となって初めて物質次元の世界と感覚次元の世界が束ねられる。
月命は創造のエネルギー体である。地球における波動環境は月命を軸とし、創造を軸として生きていくことを明確に示している。本命を軸にする生き方は物質環境への適応という基盤づくりの意味がある。一方で人生の本来の軸は月命にある。どのような人生を歩みたいかというビジョンは月命を通して現実世界に現れる。気学は自らが創造する人生が本来の人生の形であることを説いている。
〔伝統を守る本命と未来を築く月命〕
物質環境が強く現れ、一度決まると容易に変更できない世界が本命世界である。この性質だけを取り上げると、本命は非常に堅苦しく行動が制限される命運であるとの印象を受ける。改めて本命の本来の役目を鑑みると、むしろ世の混乱を避け、秩序を保つための最終関門のような働きがあると捉えることができる。月命は非物質世界の波動であり、思いや希望がそのまま現れる世界である。但しその目に見えない思いや希望が既成の世界に映し出されたとき、既存の秩序にどのように反映されるかは不明である。月単位で変化する月命は年単位で推移する本命に対し、意思決定が数段速くなる。その判断がどのような影響を及ぼすのか。その結果は形になって初めてわかるのである。
月命の思いと希望は人において過ぎると強欲となり、全体の調和を欠く独りよがりなものとなる可能性もある。そのためには目に見える形になるまである程度長い期間を経て検証していく必要がある。このことによって短慮で独りよがりな思考が既存の秩序を崩すことを防ぐのである。ここに本命のもう一つの存在意義がある。本命は月命の急速な変化を抑制する役目としても働く。たとえ革新的なアイディアであっても、いったん形になれば容易に変化できないのが本命世界である。従って数十年数百年先までを見据えた本命の判断は混乱を抑制する最後の砦となる。
本命と月命はバランスがすべてである。時代の変化スピードが求められる場合も、それが生活基盤にどのような影響を与えるかを鑑みると、月命は本命の築き上げた秩序と安定とのバランスを取らなければならない。
本命は長い年月を通して秩序を形成していく。これは数十年、数百年、数千年と時代を経ることにより、その土地やその国の伝統として確立する。伝統は人々に引き継がれる必然的要素がなければ後世に続いていかない。つまり長い間引き継がれているものは技術にしても知識にしてもバランスが取れていることを証明しており、その秩序が生活基盤に根付いていることを示している。これが本命世界の秩序であり、安定性の所以である。
月命は精神性を引き継ぐ核となるエネルギー体である。本命が築く伝統は月命が放つ精神性によってはじめて中身が継承される。物質的なものは時間を経るごとに消耗しいずれ消滅していくが、精神性は形と融合することにより、民族性や国民性として長く引き継がれていく。これを引き継ぎ生き続けさせる役目を月命は持っている。長く引き継がれる伝統と社会の安定性は本命環境と月命環境との表裏一体の関係性とバランスによってはじめて可能となる。
この宇宙では物質という存在は初めから形成されたものではない。思いという非物質次元の波動が段階を経て低周波次元である物質次元に転換されてはじめて現れたものである。思いが次元を経て現実化しているのであり、月命世界が本命世界を作り上げているのである。本命環境が過去のものと位置づけすると、月命は今後の世界を創造するエネルギー体である。
月命は過去よりも未来を見る。月命は物質ではなく心を見る。月命に生きがいが強く現れるのはこのためである。本命環境に根付く伝統が過去に習い過去を振り返るのはこのためである。本命世界を絶対的に優先するのではなく、月命世界を絶対的に優先するのでもない。宇宙はバランスがすべてである。
〔日命の超感覚を月命が繋ぐ〕
地球の波動環境を改めて考えてみると、今後の世界は月命が人生における主要な軸となり、本命と日命世界のバランスを取っていく形になる。この形が基本であるが、人の運気は本命と月命の軸を人生の前半と後半で入れ替えながら進んでいく。そして日命の役目も今後の世界ではより重要性を増していく。
人間が築く文明がより高度な技術を発展させる過程には、必然的により高い次元への転換、より高い波動への転換が必要になる。世の変化スピードが速くなるということは、地球全体の波動が高くなることを意味する。これは月命波動が軸となり、本命の低い波動と日命の高波動を束ね切ることを条件とする。
今後は生活のために働くのではなく、生きがいのために生きる世界になる。それは地球の意識が本命から月命波動に切り替わるからである。これは言い換えれば物質重視の社会から精神性重視の社会に切り替わること、また効率・成果・成績のために我が身を捧げる社会からアイディア・創造・意図・心の中身そのものに関心が向いていく社会へ切り替わることを意味する。これに準じて地球の波動環境は従属と依存の巽宮から自立と覚醒の離宮へ成長過程を移行する。これにより人は必然的により強く生きがいを重視する方向へ進むようになる。
月命が人生のモティベーションの軸となれば、当然本命と日命世界は確実に繋がることができる。本命が軸となれば、日命は次元が離れすぎ、現実的にはほぼ交流のない世界同士となる。大人が幼児の感覚的世界を日常で露わにすると違和感を覚えるのは、本命世界の常識が我々の身に沁みついているからである。日命の直感と本能をまるで非現実的な世界と遠くに追いやってしまっているのである。これは我々の社会が未だ本命環境の常識と価値観を軸にして生きていることを物語っている。
日命世界は月命よりさらに高い次元を捉える波動世界である。感覚や本能で生きる世界は人間よりも動物や昆虫の営みにより多く見ることができる。但しこれは人が日命感覚を捨てたということを意味しない。人は日々日命波動を用いて暮らしている。危険をとっさに回避する時、痛みに反応する時、喜怒哀楽を表に出す時、直感とひらめきを得る時、このように瞬間的な反応は日命の波動を用いている。
日命は理性を超えた領域にある。ここでこのような判断をすればどう周りから思われるかという人の目を気にしない。それ故大人げないという印象を受けるのである。月命はこの違和感を調整する役目を果たす。今後月命がしっかり命運の軸となれば、日命の反応は意味のある反応として受け止められるようになっていく。
日命の感覚世界は常識を超えた世界を掴む。今後世界に求められることは、日命がとらえる高次元世界を柔軟に受け入れていくことである。目に見えない世界感覚は日命がアンテナとなり時々刻々と掴んでいる。我々はこの膨大な情報を今まで見逃してきたといえる。
月命を軸とした時代とは常識の本命世界と異次元の日命世界をきちんと繋ぐという意味がある。子供が見ている世界を大人が上から目線で捉えるのではなく、インスピレーションとして受け入れていく必要がある。
〔AIは命運を持たない〕
AIが人間社会に本格的に導入されると、人間がどのような仕事をし、生活を営み、人生を歩むかという根本の問題に直面することになる。これは我々の人生が本来の形に戻るということを意味する。気学は人間の営みが地球の波動環境に準じて動き、宇宙の法則に従って動いていることを客観的に示す。暦は運気の動きを年月日のリズムで捉え、人の運気の方向性の道案内をすることができる。
人間は生まれると同時に三つの命運を持つ。本命月命日命という波動環境を母なる地球から享受し、地球の気象変化とともに人生を歩む。これは人間だけではない。地球に生息する生命体はすべて地球の波動環境に準じて動く。一方地球の波動環境に影響を受けず、我々の生活環境に溶け込みつつあるものがある。その一つがAIである。
人間とAIの生物学的な最大の違いは水を持つかどうかである。さらにこのテーマを気学から捉えるならば、AIは命運を持たないという点が決定的な違いとなる。
水を持たないということは情を持たないということを意味する。感情、感性、思い、希望を生み出す波動によって、人間は自分の意思というものを持ち、独自の発想や創造が可能となる。こうした独自の発想と創造も、そのもとになるエネルギーは地球の波動構造からもたらされている。それが本命月命日命である。人はこのエネルギー体を地球という母体から写し取り、このエネルギー体を用いて生命活動を営み、文化文明を築き上げている。
命運にはそれぞれの次元世界の特徴が備わる。本命は物質環境、月命は精神環境、日命は感覚環境である。本命は既成の形に添って動き、月命は思いと希望によって世界を創造し、日命はひらめきや直感によってまだ見ぬ世界を先取りする。
AIは決められたプログラムの中で分析統合を行いながら問いに対する答えを出す。この形式は本命環境を基調とした分析統合に最も親近性がある。本命環境は総じて決められたとおりに動き、その時々の状況に柔軟に応じない。つまり個人の思いに柔軟に反応しない。その意味でAIは本命世界には適応できるが、心と精神を担う月命世界と直感とひらめきを担う日命世界を正確に捉え切ることができない。
AIは人が抱える悩みに対し一定の答えを出すことはできるだろう。但しその答えはその人の今の気持ちに寄り添い、その人の表情を読み取り、その人の心の動きを察し、その時にしか出てこない言葉を紡ぎだすことはできない。心を察するにはその人の姿とその動きを読み取る目が必要であり、心の動きを読み取り共感するには情すなわち水が必要になる。
今後AIは人間がかつてやってきた仕事を替わりに受け持つようになる。ここにおいて人はもはや今までのような定型の仕事を行う必要がなくなっていく。ここに至り人はどのようなモティベーションで生き、生活を行い、仕事をし、人生を歩んでいくかという根本の問題に直面する。気学は既に明確な答えを出している。
人は月命の精神性を軸に生きていく。物質的な形に現れるものではなく、形に現れない精神の充足に価値を置いて生きていく。これが地球の波動環境の本来のあり方である。そのために本命がもたらす物質環境が支えとして必要になり、これが人生の基盤となり安定性をもたらす。月命は思いと望みを形にしていく波動である。生きがいは月命に強く宿る。日命は理屈、常識を超えた目に見えない感覚世界を直感とひらめきによって掴む。日命の感覚的世界は月命の精神性にインスピレーションをもたらす。そしてとっさの判断、危険回避、体調の把握など、本命世界が形として掴むことのできない状況を正確に読み取り、感覚反応として表に提示する。
月命を軸にして生きていくということの意義は、日命世界をより身近な環境として受け入れ、同時に本命環境がもたらす生活の安定性を確保することにある。そして三つの命運を持つということは地球の波動環境とともに生き、宇宙の法則とともに生きることを意味する。これは人間にしかできない生命活動であり、今後人が形成していく社会の基本形になると気学からは言及できる。
〔本命と月命の協調関係〕
本命の安定性はその波動構造からもたらされる。本命環境は物質環境が基盤となり、制度、法律しきたりなど、物質以外の生活様式も本命環境に含まれる。本命環境は家に例えると、家を取り巻く地形地盤などの自然環境、そして家の構造そのものである。これに対し家の中の住環境、インテリア、人の営み、満足感は月命環境と日命環境に現れる。
本命環境が人間生活にもたらすものは制限ではなく秩序と安定である。ところが本命環境は時に我々の生活を制限する環境として目に映ることがある。例えば既存の制度、法律、しきたり、習わしは社会秩序に欠かせないものであるが、時代の変化とともに古くなり、現状の問題への対応が難しくなる。物質環境は時間とともに劣化するため、その都度新しいものに入れ替えていく必要がある。
暦は3か月、3年という3のリズムで変化をもたらす。これに準じて気の世界は本命環境が作ったものを3のリズムで交換、解体、再生していく必要がある。これを怠った時、やりにくさ、生活の不便、行動の制約という状況が目の前に現れるのである。
月命は思いと希望を司る。本命環境に現れているものは、元来月命の思いや希望が次元転換を経て本命環境に沈着したものである。こうして月命と本命は作る主体と作られた客体の関係性を持ち、相互の協調関係によって動的秩序を作り上げている。
月命の思いは時に非生産的なものや秩序を崩すものを生み出す恐れがある。これを本命環境は既存の秩序から検証し、時に抑制する。月命は崩れ行く物質次元の現象を見ながら、その都度再構築し、時に大きな変革につながる新たな方向性を提示する。このように本命と月命は時に対立し、時に相補性をもって互いの弱点を補い合う。
本命は総じて地に足をつけて生きるための基盤となる。本命環境は何十年、何百年先の安定を踏まえ、守りに傾く。これに対し月命は創造と革新に目が向く。月命の精神性は時間制限のない悠久の視点を持った発想ができる。精神は物質的な損得で物事を見ない。だからこそ本当に価値のあるものを創造し、伝統を創り上げることができる。
〔地に足をつけて生きる〕
地に足をつけて生きるということは、本命環境を基盤に据えておくということである。理想や夢を追いかけ、生きがいに邁進しているときでさえ、守られる環境を作っておくということである。それはよき伝統は守り、上手くいっていることは受け継いでいくという心構えでもある。これが基盤にあってこそ月命の思いと希望は形になっていく。本命環境は既に終わった構築物である。従って本命環境は時代とともにいずれ劣化し消滅していく。この伝統と秩序を再構築し維持していくエネルギーが月命の精神である。
植生は地面の下に根を張る。根を張るまでには一定の時間がかかる。そしていったん根をしっかり張ると、幹が太くなり、勢いよく枝が伸びていき、いずれたわわに実を実らせるようになる。土と根は本命環境。幹と枝と実は月命環境。食べることの喜びは日命環境。三つの命運は常に繋がり離れることはない。
月命の生きがいは本命環境を基盤として初めて実をつけることができる。二つの波動環境は表裏一体の関係であり、時と状況に応じて表裏を転換し軸を切り替える。これは宇宙が常に陰陽のバランスを取るからである。36年という周期は人生の前半と後半、陰と陽のバランスを取る節目となる。そして地球が三つの波動環境を保持するということは、三つの波動の間に位置する月命が中心軸を担うということである。思いと希望は月命から生まれ、思いと希望が成就したのちには、人は再び本命環境に回帰していくのである。
〔傾斜が切り替わることの意味〕
本命と月命は人生の前半と後半で軸の使い方が切り替わる。この切り替わりは人生の大きな方向性の転換として現れる。気学は本命九星と月命九星の関係性によって人生の大きな方向性を捉える。これは一方の九星を中宮に据えたとき、もう一方の九星がどの位置(宮)に在るかによって決まる。これを気学では傾斜という。
気学の傾斜は月命九星から見た本命九星の位置(宮)によって決まる。例えば本命五黄土星、月命三碧木星の人の傾斜は兌宮傾斜となる。月命の三碧木星が中宮に同会するとき本命の九星は兌宮に同会していることを示す。すなわち精神性を志向する月命の九星は物質環境を表す本命九星が同会する宮に人生全般の方向性が傾斜していくと考えるのである。
これを物理学的にとらえると、周波数の高い波動域は周波数の低い波動域に意識が傾き、その意識はこの宮の特徴に沿って物質化していくということである。心は物に引力を受ける。月命は本命環境に引力を受け、物質化した本命環境の制約を受けると言い換えてもよい。
傾斜は月命と本命との関係性であるから、人生の歩み方の中では最も影響力が大きい。例えばこの傾斜が乾宮傾斜である場合、いずれこの命運の人は実家に戻り家あるいは家督を継ぐという傾向が現れる。あるいは親の面倒を見る人も出てくる。いずれにしても家督を引き継ぎ、地元、郷土、国、伝統を守る意識が強くなる。また仕事においては経営者の立場に傾き、事業の進め方も非常に慎重で保守的になる。
人生の前半と後半すなわち36歳を起点として本命と月命の使い方が切り替わるということは、傾斜が逆転するということを示している。仮に人生の前半を本命環境に軸足を置いて生きていくと、生きがいが存在する月命同会の宮に意識と意欲が傾いていく。そして36歳に至り月命に軸足を置き換えると、本命九星が回座する宮へと傾斜が切り替わる。この切り替わりには6年という移行期間が設けられる。人生全体のベクトルの切り替わりは6年すなわち6つの宮を一つ一つ通過することで自己の内面を変性させ、自分の価値観に目覚めさせる。
この関係性を月命と日命に置き換えてみる。日命波動は6歳頃までの波動に強く現れ、7歳つまり小学校という社会環境(本命環境)へ乗り出すと、急速に表の世界から裏に押し隠されていく。月命は本命との関係だけではなく日命とも関係性を築く。
この理論に基づくと、月命波動が未だ確立していない6歳までの期間は、日命九星が中宮に据えられ、月命九星への傾斜が現れるものと考えられる。例えば日命九星が一白水星、月命九星が五黄土星の場合、傾斜は離宮傾斜となる。幼児期の離宮傾斜は目に見えない世界観が髣髴として現出し、日常的に幻想と夢を語り、現実との境界線があいまいな振る舞いが目立つようになる。この傾向は月命から見た本命九星の離宮傾斜においても同じく現れ、理想を追い求めるあまり、現実をよく見ない生き方や振る舞い方が出てくる。
地球に現れる三つの波動は生命体の成長過程によってその用い方が変化する。傾斜とは波動の高低差によって現れてくる物理現象と言ってよい。より高い波動エネルギーはより低い波動エネルギーに引き寄せられ傾いていく。生命は成長とともに波動を高い状態から低い安定状態へと沈静化させていく。人生は36歳までを上昇気流とし、以後は緩やかに下降気流に乗りシフトダウンしていく。
この過程において若い時の身体波動は日命波動から月命波動へ移行し、頂点を経て月命波動から本命波動へと移行する。この身体が高波動域から低波動域に移行していく過程に36歳という節目が現れる。
身体波動である体力年齢は36歳を超えると本命波動に落ち着いていき、本命波動の身体が低波動域に移行しながら月命波動の精神が中軸に据えられていく。こうして本来の物理法則に準じた月命から本命への傾斜が完成する。
就職後に要求される社会への適応は、必然的に本命環境への従属が求められる。ここで人は本命環境の価値観を仮に軸に据え置き生活を組み立てようとする。この形は低い波動エネルギーがより高い波動エネルギーに向かっていくという傾斜の逆転を生じさせる。現実を重んじる本命は形のない月命の思いと希望に容易に傾いては行かない。この形は波動関係を逆転させ、エネルギーの自然な流れに逆行する。本来の形ではないものはいずれ本来の形に戻る。36歳という年齢は波動の高低バランスを取ると同時に、月命と本命の波動関係を本来の形に戻すという極めて重要な役目を果たしている。
これは宇宙の永遠普遍の法則である。陰陽転換の法則はあらゆる場面において適応される。表と裏は一体でありながら、回転する運気のリズムに合わせ陰陽を逆転させる。こうして宇宙は陰陽のバランスを取り、本命月命いずれの局面にも偏らない運気を築き上げるのである。
浅沼気学岡山鑑定所監修