三つの始まりと九星の特性

 

物事が始まる運気には三つの宮がある。一つは坎宮。二つ目は震宮。三つめは中宮である。それぞれの宮には特有の働きがあり、その働きと九星の気質が合致するとき規則的に天道が付き、この始まりは力強く後押しされる。天道はその九星の持つエネルギーを活性化させるが、それだけではなく天道が付く九星は特定の九星と協調して物事が成就する流れを作る。天道は暦に従い中宮以外の八宮に規則性をもって現れる。どの宮の始まりにおいても天道の力を得ることのエネルギー的意義は大きい。

 

 

 

〔坎宮始まり〕

坎宮からの始まりは構想し長期計画を立てる意味がある。これは個々人の内面から発するものであり、形に現れず外からは見えない。月命が坎宮に同会する時は自分の意思で切り替え可能なことを計画するとよい。また本命が坎宮に同会する時は長年に及ぶことで、自分の意思だけで進められないことや人生の大枠に関する計画を立てるとよい。坎宮に天道が付くと九星の持つ能力が活性化し、その九星の気質に応じた援助が得られる。坎宮に天道を伴い同会することのできる九星は一白水星、四緑木星、七赤金星、二黒土星、五黄土星、八白土星である。一方三碧木星、六白金星、九紫火星は坎宮との相性が合わず、坎宮同会に際しては障害を伴うことが多い。三碧、六白、九紫が坎宮に同会すると、それぞれの持つ熱エネルギーが減退し能力を発揮できない。また三碧、六白、九紫は利他性が強く、坎宮の持つ自利の気質に合わない。

 

 

 

〔震宮始まり〕

震宮からの始まりは震宮の前の坤宮の役割から理解することができる。坤宮は物事の終わりを司る。永く続けてきたことが終わる宮である。ここで様々な関係性が終焉する。従って震宮に入ると新しい運気が始まる。震宮は旧来とは異なる環境へ出向いていく新たな運気を呼び起こす。震宮においてはその人の変化した行動が外から明確に確認できる。震宮に天道を伴い同会することのできる九星には一白水星、四緑木星、七赤金星、三碧木星、六白金星、九紫火星がある。一方二黒土星、五黄土星、八白土星は震宮との相性が合わず、震宮同会に際しては障害を伴うことが多い。震宮は不確定要素が強い反面、方向性は直進的一方的である。土は不確定要素が強く方向性も不明確である。従って土は震宮を不得手とする。

 

 

〔中宮始まり〕

中宮からの始まりはすべての九星に共通して一大決心、独立の意味が強く現れる。中宮は他の九星の中心に立つため、自分の決断次第で方向性が決まり周囲にも影響を及ぼす。中宮同会においてはすべての準備を自分が取り仕切らなければならない。ここに責任と覚悟が生じる。また中宮は五黄特有の成就・破綻という両極の状態が同居する。中宮から始まることは未経験のことをゼロから始める意味が加わるため、形が定まるまでは様々な混乱が生じる。中宮から始まることを成就に導くには周囲の九星から力を得ることである。その道筋は天道に現れる。天道を持つ九星を軸にし、吉神を持つ九星と連携することで、混乱の道筋を避け、成就の道を選ぶことができる。

 

以上のことはそれぞれの九星がどの位置から始めればスムーズなスタートを切れるかを示している。本命月命が暦の中でどの位置にあるかによって取るべき行動は決まる。スタートを意味する場所には三つあり、その中で自分の九星に合ったスタートラインを選ぶことが目的の成就の鍵を握る。

 

          

 

二黒土星・五黄土星・八白土星を命運に持つ人

・坎宮始まりに適する。坎宮の基本は一人且つ水面下で始めることである。

   長期に関わること、準備期間を要することは坎宮始まりがよい。

・震宮始まりに適さない。震宮は不安定要素が多く立ち回りに苦労する。

・中宮始まりは自己調整が必要。家庭の生活環境や組織の人事に影響を及ぼす

 ことは難航する。独力で始める形がよく、人との連携を要する形に適さない

 。

・艮宮は完全な始まりではなく現状の行き詰まりの打開、方針転換、ノウハウ

   の変更に留まる。この場合も中宮同様に自己調整が必要である。

 

一白水星、四緑木星、七赤金星を命運に持つ人

・坎宮始まりに適する。独力且つ水面下での始まりとなる。長期に関わること

   、準備期間を要することは坎宮始まりがよい。

・震宮始まりに適する。但し一白水星のみ暗剣殺が生じるため、目的を一つに

   絞り明確化する必要がある。環境変化に伴い新たなことに挑戦するとよい。

   いずれの九星も後ろ盾を得ることがポイントである。

・中宮始まりは注意を要する。独力でゼロから始めることはまとまりにくい。

   中宮同会より始めることは家族や気心の知れた仲間と始め、組織と協力し、

 既存の流れに乗る形がよい。

 

三碧木星、六白金星、九紫火星を命運に持つ人

・坎宮始まりは障害多く適さない。協力が得られにくい。

・震宮始まりに適する。旧来の環境を脱し、新たな環境へ身を乗り出す。

・中宮始まりは独力で始め、不特定多数の人から協力を得る形が良い。家族、

 仲間、組織の力を要する形に適さない。

 

 

 

〔変化ラインと三つの始まり〕

気の世界は定期的な変化を作る。その変化は艮宮、中宮、坤宮という変化ラインに現れる。従って物事の始まりは変化ラインに現れると考えることもできる。この場合艮宮は方針転換、人事交代、仕事内容の変化などに現れ、環境の全面的変化にはならない。坤宮は長く続いたことを終える宮であり、この締めくくりによって次の新たなスタートラインに立つことができる。中宮はゼロから始まることの意が強く、独立機運が高まる。但し中宮特有の混乱と成就が並行して現れる。

 変化ラインに即して見ると、坎宮のみ変化ラインの位置から外れた始まりとなる。坎宮は秘匿の象意があり、水面下での始まりとなる。それだけに用意周到となりしっかり構想したことを始める意が強くなる。坎宮は後天図の中でもエネルギー的に最も安定した位置であり、このことが物事を長期化させる原動力となっている。坎宮で構想したことは全体に浸透するという気の流れがある。

 変化ラインから始まったことは変化ラインで展開し終わるというのが気の世界の流れである。坎宮から始めたこともいずれ暦の流れに従い、変化ラインで終わりを迎える。それは坎宮に同会した九星も変化ラインに同会することによりその気運に従うからである。

 気の世界には”始まりは途中及び終わりを作る”という法則がある。この理に従えば始まり方が正しければその途中及び終わりも正しく終わり、始まり方が中途半端であれば途中及び終わり方も中途半端になる。さらに始まりの宮と事を為す方位との整合性も途中及び終わり方に決定的な影響を及ぼす。気の世界には理があり、理に自然な形で寄り添う限り、他の条件との整合性が上手く取れるようになっている。

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修