坤から派生する二つの道

 

易の坤は無の形であり無限の形でもある。ものを生み出し、育て、介抱し、あるいは粉々に砕き、分解し、さらには再生する力もこの中に備わる。

 

坤は無でありながら無限大のエネルギーを持つ。その裏は光の乾。光は無窮のエネルギーを放出する。この坤から派生する形には二つの道がある。一つは坎。もう一つは震。水を表す後天の坎は先天の坤より生じ、新しく生命を生み出す。坎の形は上下の陰爻に一陽を含む。この陽爻がパルスとなり、生命最初の信号を発する。何もない状態から何かが生まれる。無から有が生まれている。未だ形にならない思、情、感が世界の一切を創造している。

 

後天の世界では気が坤宮から震宮へと移行する。何もない止まった状態の三陰に下から突き動かすような一陽が生まれ、一気呵成にエネルギーが噴出する。これが震。震は気学の三碧である。震は雷を象意とし振動を現わす。坤の無限大の力は坎という極めて微細なパルスと震という荒々しい振動を生み出す元となる。

 

坤は気学の二黒である。二黒の性質は従質で、何事も後からついていく。新しく生み出されるものはすべてこの坤を母体とし坤を通過する。無限大のエネルギーは一見、何も特徴がなく、動きがなく、静かで、陰に潜み、地味、地道であるが、新しい生命の息吹である坎と成長の原動力である震を生み出している。乾爲天、坤爲地の次に水雷屯が来る理由にはこうした背景がある。

 

無の坤から自生する。真ん中の爻が陽に変爻し、無から有が生じ、個が生じる。この形の変化が最も自然で最もバランスが取れ最も安定する。坎は水を表し、水の分子H2Oはの形をそのまま象る。Oは真ん中の陽爻。H2は上下の陰爻。易の形はミクロからマクロ世界の物質や現象の形をそのまま象る。

 

は無の坤から発生する。坤の初爻が陽に変爻する。初爻の陽は上昇する形。生命の震は重力に抗して上に伸びていく。

 

 

 

 

(浅沼気学岡山鑑定所監修)