次元の繋がりと三つの命運
〔次元の繋がりと三つの命運〕
私たちが今生きている世界は物理的には3次元にあると言われる。2次元は平面世界。3次元世界は立体世界になり、時間という変化が加わると4次元になると考えられる。
これを易から捉えると、2次元は陰と陽または四象によるエネルギー上昇と下降の世界となる。3次元は八卦すなわち乾兌離震巽坎艮坤の八つの特性を持った気の世界であり、これにより現象世界を形作る原型が整う。八卦は後天図に配置され、ここに動のエネルギーが生じて循環が始まり、光の構成原理によって地球の波動環境が形作られる。さらに八卦が上下に重なると易の六十四卦が出来上がり、宇宙の森羅万象を現わすようになる。易の六十四卦は爻変による多次元世界の動きと変化を現わすものであり、物質世界のみならず精神世界さらに上位の感覚世界をも捉えた気の形となる。
私たちが生きる3次元世界では物が形として明確に現れ、八卦の循環により物質の増減が生じ、これを五感で捉えることができるようになる。例えば貨幣は3次元世界の典型的産物である。3次元世界の貨幣は物質次元の法則に従うため、物質的価値に変換され、最終的に物質との交換を前提に動くことになる。このため私たちが今日常で使用する貨幣が高次元世界に移行すると、そのままの形では通用しなくなる。私たちは日常生活においてほとんどのやり取りをお金で対応することが可能であるが、お金に変わる手段で価値の交換が可能となる世界に移行するならば、それは3次元世界を超えた次元に遭遇していると考えてよいだろう。
気学が捉える気の世界には本命・月命・日命という命運の階層がある。これを物理次元に置き換えると、本命は最も低い次元で3次元世界の物質的特徴を最もよく捉えた命運、月命は物質世界の3次元と非物質世界の5次元以上を繋ぐ命運、日命は5次元以上の高次の世界を捉えることのできる命運と考えられる。本命は物質次元の波動領域、月命は精神領域の波動領域、日命は感性や感覚世界の波動領域をよく捉える。ここで月命の波動を繋ぎの次元と仮定したが、月命は実質的には非物質世界の波動領域にあり、物質世界と非物質世界を繋ぐ要となっている。
例えば月命世界の価値に知識がある。この知識にアクセスすることにより共感を得、心が動かされたとする。この場合、知識は物質次元で用いられていても、知識からもたらされる精神的充足感は月命次元にあり、知識によって得られた喜びの感覚は日命次元にあると考えられる。
〔貨幣の次元転換〕
今後、本命世界の価値観から月命世界の価値観へ軸が移行していくと、私たちの生活環境は劇的に変化していくことが予測される。その影響をいち早く被るものとして、貨幣すなわちお金という存在がある。月命世界は物質的価値の形には現れず、精神的充足感を価値基準に使う。従って月命世界に軸が移行すると、貨幣という物質は月命の波動に準ずる形に転換されるようになる。では月命世界におけるお金はどのような形に移行するのだろうか。その典型例は既に日常生活に現れており、我々はこれを当たり前のものとして利用している。
一つは電子マネーのようなデータ上のお金、そしてポイントというサービス形態である。電子マネーは非物質世界の形態になるが、物質世界の法則上に載っているため、完全な形で月命波動のお金にはなっていない。一方ポイントはお金ではないが、既にお金に変わる価値形態のものとして機能している。但し現在のポイントは発行するものが一部の権限者に限られている。また使用範囲も限られており、すべての人が平等に普遍的に用いることのできるサービス形態となってはいない。私は将来的に、ポイントはすべての人が発行できる形態に移行し、使用範囲も個々人が決めあるいは選択できるようになると予測している。なぜならそれがポイントの気学的な本来のあり方になるからである。
ポイントサービスは気学的には七赤金星という気に属する。七赤金星の本来の働きは日常でいつでもどこでも誰でも交換できる利便性にある。さらに七赤金星は衣食住に必要な程度の利用に限るものであり、必要以上に貯めることに意味を持たない。ほとんどの場合はポイントに期限が付くが、これも七赤金星の気質に準じた形態であると理解できる。このように日常的に頻繁に使うこと、交換できることが七赤金星の基本的特徴となる。この七赤金星の働きは物質的価値と精神的価値と感覚的価値を繋ぎ、それぞれの次元が持つ価値を交換するポテンシャルを持つ。
本命世界の物質を月命世界に生かすには物質的価値を精神的価値に変換する必要がある。例えば本命世界における物質的価値は月命世界における情報価値あるいは知識的価値へ変換できる。そしてさらに上の波動世界である日命においては、月命世界の情報価値は日命世界の喜びに変換される。日命の価値とは喜び、励み、癒しのような感覚的価値である。
こうして本命世界の物質は月命世界の精神的価値に置き換えられ、最終的には日命世界における喜びのような感覚的価値に変換されるようになる。逆から見ると、喜びに繋がらない情報や知識、さらに情報や知識のような精神的価値を持たない物質は、高い波動世界においては価値を持たないということになる。物質は精神的充足に変換され、さらに喜びや感動に変換されていく。これが3次元⇔4次元⇔5次元世界の連結した今後の世界像になる。
〔価値観の次元転換〕
私たちが今生きている世界は最終的に本命からもたらされる物質的価値を根拠にして動いている。もちろん月命に価値の軸を置いた人生を歩んでいる側面もあるが、最終的な価値の担保は本命世界が握っている。この価値観の軸が本命から月命に移行すると、次元世界の繋ぎが同時に移行することになり、今まで関わり合いを直接持つことのなかった5次元という高次元の世界が日常生活の波動域に入ってくる。すなわち本命の3次元を軸においた2・3・4次元の繋ぎから、月命を軸においた3・4・5次元の繋ぎへと変わっていく。
日命は人においては6歳頃までの幼児期に旺盛に現れる波動体である。この波動環境により、幼児は短い時間で気分や思考が変わり、常識から離れた高次の感覚を持つようになる。また日命はひらめきや直感を軸にして動くため、その様子は本命の常識世界から見ると、衝動的かつ本能的で根拠がない振る舞いと見られるようになる。逆に日命から本命の世界を見ると、喜びから切り離された無機質で硬直化したおかし気な世界に見える。大人の常識的世界において、日命の波動はあからさまに表に出さないようコントロールされているのである。
本命から月命へ価値観の軸が移行すると、それが物質次元の形として現われなくとも、物事が今までとは比較できないくらいの速さで現実化していくようになる。それは物事を決める決定権が本命から月命へ移行し、月命が日命に属するひらめきや直感をより強く取り入れるようになるからである。
本命の波動は3次元世界を基盤とし、月命は3次元と5次元の世界を繋ぎ、日命は5次元以上の世界に繋がるポテンシャルを持っている。気学では命運の中心的働きをするのは月命と考える。今後月命が本来の中軸の役目を果たすようになると、日命が掴む高次の波動が実質的に稼働するようになり、目に見える物質世界と目に見えない非物質世界が我々の意識の中で融合し、常識外で非日常的であった世界が認識の範囲に入ってくるようになる。
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〔周波数の高低差と運気の安定〕
波動が高い人、波動が低い人という区分けをよく見る。これについて気学から論評してみたいと思う。例えば低い波動を比較的多く持つ人と、高い波動を比較的多く持つ人では、明らかに挙動に変化が現れる。但し低い波動を即不機嫌で不安定な状態あるいは運気の悪い状態と見なすことは気学的には誤りと考える。運気は元来良し悪しで見るものではなく、その安定度、バランスで見るものだからである。気学的な見解では運気が安定した人とは、本命の波動と月命の波動が安定していて、双方の動きの整合性が取れている状態である。さらに日命の安定度も加われば尚バランスは取れる。これは言い換えるとそれぞれの命運に刻まれた固有の才能がバランスよく発揮されており、良縁の人や良縁の出来事に沿って生きている人と言ってもよい。
一方運気が不安定な人とは、本命月命日命の波動に乱れがあり、体と精神のバランス、理性と感情のバランスが取れていない人である。気学的な見解ではエネルギーの過不足がある部分にはその人の執着、こだわり、不安、恐れが表出する。この状態では考えや行動に偏りが生じ、判断力が衰え、立ち回り方を誤り、周囲からの理解や協力も得られない。このようにエネルギーの安定が得られない状態では希望することの成就は見込めない。これが運気の不安定状態であり、運気の落ちている状態と気学では判断する。
周波数の基本原理から判断すると、周波数は低いほど安定度を増し、高いほど不安定度を増す。これは物理法則であり、気学から見ても同じ原理が働いている。気学が用いる後天図では南天にある離宮は波動エネルギーが最も高く、その分運気は不安定度を増すことを示している。また最も低い位置にある坎宮は波動エネルギーが低く、その分運気は安定度を増すことを示している。これは電子軌道のエネルギー状態に準ずる。
気学が示す気の一つは電子が示す波動の状態であり、電子軌道の原理は気学においても基本的に成り立つ。但し本命や月命の九星および十二支が暦に従って循環し始めると、一定の法則のもとにエネルギー的欠けが生じ、この欠けが特定の宮のエネルギーバランスを崩す。これは波動の安定的な坎宮においても生ずる。また逆に離宮はエネルギー的に不安定でも天道による高次元のエネルギーを伴うとエネルギーが安定し、離宮の本来持つ良き性質を発揮できるようになる。
上記の事例は地球の波動環境による実質的な気の動き方になるが、電子軌道の基本原則は後天図の波動環境においても成り立つ。この波動の基本原理は最も低い本命がより高い月命や日命の運気を物質次元に繋ぎ、安定化を図っていることを証明する。地球が持つ土の低波動は植物を生み、生命を育み、人においては地に足をつけた地道な営みを可能にする。
〔波動の安定とは月命を軸に生きるということ〕
波動の安定は地球独特の陰陽五行の循環によって可能となる。そこではそれぞれの人が持つ本命月命日命という命運の反応によって運気の浮き沈みが生じる。気学が捉える運気の安定とはこれら3つの命運が個々に安定するということ。そして3つの命運相互がバランスを保つという2つの視点がある。そして後者の3つの命運のバランスが最も重要なカギを握る。ここにおいて月命の役割が問われることになる。
月命は最も低い波動域の本命と最も高い波動域の日命を繋ぐ。つまり月命が軸として確立すると命運の連結が生じ、精神性を担う月命が物質界と感覚界を束ねるようになる。これが物質世界と感覚世界いずれにも偏らない波動の均衡を作る。波動を上げると運気が安定するとはこのことを言う。これが月命の波動を軸とすることの意義である。こうして月命は本命の物質界に支えられ、また日命の感覚感情に導かれ、高い波動を維持しながらも地に足をつけた歩みを行っていけるのである。
〔地球におけるエネルギー環境〕
地球でのエネルギー的な揺さぶりは主として十二支および五黄土星によるエネルギー的強弱から生まれる。十二支はその旺盛なエネルギーによって破という反動エネルギーを生み出し、五黄土星は土の旺盛なエネルギーによって五黄殺およびその反作用エネルギーである暗剣殺という凶作用を生み出す。
十二支の波動は地のエネルギーからもたらされるものと考えられ、地球環境では比較的低い周波数帯に属するものと考えられる。従って低周波数の環境においての破は物質環境に最も特徴が現れやすく、障害も目に見える形で現れる。破は本命月命日命において命運の持つ波動的性質に応じて、影響範囲や作用時間に差が生じる。また五黄土星および暗剣殺を伴う九星は陰陽の混淆による成就と破綻を繰り返すため、運気は常に不安定化する。同じく十二支においても土の気を持つ丑辰未戌は不安定化する要素を持つ。
波動を上げると運気が良くなるという見方は、気学からさらに正確な補足が必要と考える。気学的な運気の良い状態とは、天道のような高次元のエネルギーによって波動のバランスが完全に整う状態である。すなわち破や五黄土星がもたらす気の揺さぶりがなく、天道によってエネルギーの筋道が明確化しており連携が得られている状態である。
これは暦を見ることによってそれぞれの命運の状態を判別することができる。命運の波動環境は地球の正確な自転と公転軌道によって生じる波動の循環によって決まる。これは他動的でもあり自動的でもある。波動は同じ波動同士が結びつき、その波動に応じた特徴が現象化する。運気は地球の波動環境によって日々刻々と移り変わり、一定の法則のもと内外の波動の共鳴によって吉凶が現れる。運気の吉凶は地球環境においては、個々人が持つ命運の状態によって決まる。従って地球環境においては、波動が高いから運気が良くなるという表現ではなく、地球および宇宙がもたらす環境に準じ、自らの波動が安定することによって運気の本源性が発揮されるという理解のほうがより正確である。なぜなら最も高い波動域を持つ日命も破のもたらすエネルギー障害によって運気を乱すことがあるからである。
〔日命における低周波数障害と高周波数との関係〕
日命は高周波数、高次元世界に属する波動と位置づけできる。ところが日命の破は極めて日常的な障害に結びつき、簡易ではありながらも私たちに様々なトラブルを起こす。その障害はその日のうちに終息するものがほとんどであるが、中には月命本命の破との同期によって中長期に及ぶこともある。周波数の原理から鑑みると、周波数の高い現象は瞬時に機能して瞬時に完結し、周波数の低い現象は漸次的に変化し、微細な力が長期的に作用するものと考えられる。従って最も長期に影響する波動は年単位の本命にあり、次に月単位の月命、次に日単位の日命となる。これら異なる命運は次元が異なるものの、ある一定の条件によりその障害は互いの次元の境界を越えてリンクし、影響を及ぼすことがある。
地球におけるこうした破の障害は気のバランスが欠けている所として発生する。これは周波数の高低によって生じるものではなく、周波数の強弱と連携の乱れから生じているものである。これは気学的には時間軸と空間軸のエネルギーが同期しない状態であり、それが思いと結果との不一致となって現実化する。一方で破の障害は3次元世界特有の障害として現れているようにも見える。それは障害が最終的に形に現れやすいからである。十二支がもたらす破は本命月命日命それぞれに暦通りに発生し、それぞれの命運の特性に従ってあるいは目に見える形あるいは目に見えない形で現れる。
十二支がもたらす破という障害は命運が持つ特定の波動に同会したとき、すべての人に確実に影響を及ぼす。但しその範囲はその人の波動状態によって現れ方が異なる。人が持つ波動は限られた周波数で構成されるものではない。様々な波動が身体及び精神に宿り、どの波動が強く放出されるかによって引き寄せるものも変わる。破の障害に大なり小なり繋がるということは、その波動を自分が旺盛に持っていることを証明している。これは人格の優れた人にも及ぶことがある。但しその反応によって破のもたらす意味は変わってくる。波動の安定している人にとっては、破がもたらす出来事は生活の大きな障害になることはなく、また破の出来事に遭遇したとしても難なく対処できる。人格の安定とは月命の精神性が命運の軸に据えられているということであり、このことによって破の障害をコントロールしているということなのである。
破はすべての命運において障害を及ぼす。その背景には十二支と九星とのリンクがあることも気学から指摘しておかなければならない。十二支が持つ破の影響は特定の九星に同会する時、その九星を命運に持つ人に影響を及ぼす。本命月命日命の九星は十二支と同様に周波数の高低差がある。その中で三つの命運が波動のリンクによって繋がるならば、たとえ日命の破の影響であっても、何らかの形で月命及び本命の九星に影響を及ぼすことになる。
〔三つの命運が繋がる条件〕
本命月命日命という異なる次元の波動体が繋がるためには一定の条件が必要である。その条件には二つのパターンが考えられる。一つ目は本命月命日命の九星が暦のタイミングで特定の宮において同会する時。二つ目は音楽の倍音の原理が働く時である。
気学には同会被同会という仕組みがあり、本命月命日命の九星が年盤月盤日盤において遁甲により同じ宮に入り重なることがある。この状態の時、異なる次元の波動が重なり合うことによる干渉が起きる。同会被同会は時空が一致することによる現象と推察でき、異なる次元の波動を一定条件のもとにリンクさせる機能がある。
また音楽における倍音も異なる波動を繋ぐ。例えば528hzのCの倍音は1056hz,その倍は2112hzとなり、倍音が同じエネルギー作用を持って共鳴する。弦楽器ではある音を鳴らすと元の音の倍音が生じ共鳴する現象がある。このようにある特定の低周波数が倍音となり、異なる命運の高い波動と共鳴する可能性がある。すなわち最も低い波動の本命がより高い月命の波動にリンクし、月命の波動がさらに高い日命の波動にリンクするのである。また逆に最も高い日命の波動がより低い月命の波動にリンクし、月命の波動が最も低い本命の波動にリンクすることが考えられる。
〔月命が軸となることの意義〕
私たちが生きる地球環境は高次元に繋がったとしても、2次元世界と3次元世界との関係性は残る。私たちが持つ三つの命運は2次元、3次元、4次元、5次元以上の世界を繋ぐ運命体として今後も機能する。その中で価値観の軸が本命から月命へ移行すると、今までと異なる波動環境の連結が生まれる。これに準じて本命という低次元の波動環境と日命が持つ高次元の波動環境が間接的ではあっても、今まで以上に強く繋がるようになる。この違いは想像以上に大きなものとなる。
この移行のポイントは月命であり、月命が本命と日命を繋ぐ役目を果たすことが根幹の条件になる。ここにおいて人は本命からもたらされる価値観から脱却し、生活のためではなく生きがいのために働き、物質的価値ではなく精神的価値を重んじるようになる。これを果たすことによって、月命を軸とした上位次元との繋がりが可能となる。
月命が命運の中心軸に据えられるようになると、本命及び日命との関係性が本来の形に回復し、今までとは全く異なる次元でバランスが取れるようになる。そこでは月命が思い描くことが主要な形で本命環境すなわち物質環境に現実化するようになり、既定の本命環境に縛られることが印象の上でもなくなっていく。また月命が中心軸に据えられると、日命が破によって揺さぶられることが少なくなっていくことが予測される。それは日命が受けた波動の揺さぶりが月命において制御され、本命環境に影響を及ぼしにくくなるからである。
このように精神性を意図する月命が波動の軸に座ると、本命環境と日命環境とのバランスがより安定的になり、些細な出来事に揺さぶられることが少なくなっていく。その人の人となりは月命の安定によって確立すると言ってよい。精神性がしっかり軸となっている人の言動には統一性があり、外界からの揺さぶりに容易に動かされることはない。また様々な壁が壁として見えなくなる。この壁は自分自身が持つ波動が本来作っているものである。本命世界の壁は物質の形となって現れるが、月命の波動から見るとその壁は月命の価値観によって重要な意味を持たなくなる。月命の不安定波動が縁起として現実化した壁は、月命の安定化によって浄化され消滅してゆくのである。
〔月命が精神性を現わす根拠〕
月命は精神性を現わす命運である。では精神性とは何か。その気学的定義が必要である。気学が捉える精神性とは後天図における縦軸からもたらされる。すなわち離宮と坎宮を繋ぐ縦軸に精神性が宿ると考える。物理学的には後天図の縦軸を磁力線と捉え、離宮をN極、坎宮をS極と考える。磁力線はN極からS極へ伸び、途切れのない閉じた世界を形成する。離宮からは斥力が生じ、坎宮からは引力が生じる。離宮および九紫火星には分離の働きがあり、坎宮および一白水星には引力と結合の働きがある。後天図は気の成り立ちを示し、同時に光の生成を現わす。地球は光のエネルギー体であるから後天図の仕組みは地球の成り立ちと物理環境をそのまま現わす。
離宮は理性を現わし、価値判断、解決、真理の見極めを行う。坎宮は心情を現わし、発生、創造、統合を行う。離宮は異質なものを分離し、坎宮は異質なものを統合する。離宮は客観性を現わし、坎宮は主観性を現わす。離宮は理をもって決断し、坎宮は情をもって差配する。離宮と坎宮の対極的エネルギーが月命波動を生み出す回転軸となる。二つの宮は対極性を持って陰陽のバランスを取る。気学が捉える精神性は理知と人情のバランスがとれており、主観と客観という対極的視点から判断できる状態と定義できる。これが自我の根源と私は捉えている。
月命の精神性は本命の物質世界と日命の感覚世界を繋ぎ、本命の固定観念と日命の超感覚を繋ぐ。精神性は本命世界において物質の用途を決め、制度を築き、日命世界における直感を理論化し心情表現に転換する。精神性は形ある世界と形に現れない世界を束ねる。これは中心軸の月命のみが成しえる。
月命時代への移行とは精神性の時代、知性の時代への移行を意味する。そして月命の最大の役目は物質世界と非物質世界を繋ぎ、その命運のバランスを築くことである。気学が人生の目的や方向性を見極める際、月命を最も重視する理由はここにある。本命は月命の物質的基盤であり、月命が志向するものを形に現わして安定化させる。日命は月命で捉えきれない感覚世界を捉えるアンテナであり、月命はこの感覚世界を言語化して意味づけし、価値に置き換える。易は中を貴ぶ。中に位置するものは調和に貢献し、バランスが保たれるものは永続する。
以下、離宮と坎宮に現れる象意の事例を三つの命運に分類して紹介する。同じ離宮や坎宮でも三つの命運に分類することにより象意に変化が現れる。
本命における縦軸 離宮:制度、行政、官僚、学校、教師、美術作品
〔物質次元〕 離縁、採決、裁判、肩書、地位
坎宮:文書、創作活動、計画表、設計図、処方箋
師匠、指揮者、司会者、監督、リーダー
形質遺伝
月命における縦軸 離宮:真理、理性、理念、理想、ビジョン
〔精神次元〕 正義、誇り、希望、決断、価値判断
解決、解放、美意識
坎宮:心情、思い、創造、信念、計画、統合
統帥、リーダーシップ、指向性、戦術
知識、記憶、言語化、自我、気性遺伝
日命における縦軸 離宮:高次意識、啓示、予見、予知、予感
〔感覚次元〕 坎宮:自他融合、本能的情感、感情移入
以心伝心、言霊
浅沼気学岡山鑑定所監修

