百三話

〔2024年8月の運気〕

 

 2024年の後半に至り、8月から10月は一つの試練を経過していきます。特に9月の混乱は今年の勝負どころとなり、我々がいかに知性をもって冷静に世の中の動きに対処できるかが問われます。何度も言うように、世の中の真実は表に出てきません。易は常に裏を見よと教えます。このような流れの中での8月の位置づけは体制の転換に際してのぐずつきです。転換を意味する八白土星が中宮に入りますが、これに対し二黒土星と五黄土星が歩調を合わせて動きません。変えようとするのに変わらないという状況が現れてきます。組織における人事では人手不足や引継ぎの混乱で特定の人に負担が覆いかぶさるということが起きます。この混乱のもとには本来の仕事以外のことに手を出すという背景があります。気の世界は段階を踏み、協力体制を維持しながら変化を試みます。従って仲間や家族の同意を得ない環境変化は混乱を招き、必ず誰かの犠牲を強いることになり、ひいてはお金の無駄遣いが生じることになります。8月の五黄土星の無理強いは9月に世情の混乱を招き、10月にはあらゆる組織に混乱と負担を強いることになります。その一方で本来の自分に戻っていく人は安定します。良縁と調和をもたらす四緑木星が坎宮に入り内面の安定をもたらします。その心は縁でしっかり根を張るものは盤石な体制を築き、世の喧騒に関わることなく心の平安を保つということです。

 

 

〔巽宮から離宮の時代へ〕

 

 時代は人の成長過程と同じように転換していきます。人は生誕から幼少期、少年期、青年期を迎え、身体的成長とともに精神的成長を遂げていきます。これと同じように地球における文明も人と同じ成長過程をたどり、変化し進化していきます。地球の成長過程を気学で捉えると、今は巽宮と離宮の狭間にあるといえます。巽宮は何かに従って動く宮であり、国家、企業、その他組織体に従属し適応して人生を歩むという特徴が現れます。ここでは自分がどうしたいかよりも、社会の規範に従い組織の赴く方向に従って動くことを求められます。この帰属期間もいつかは終わりを迎えます。その基準点が36歳にあると私は考えています。

 人生は36歳をもって前半の人生を終えます。気学的には36歳から後半の人生が始まると考えますが、実際は36歳から6年間の移行期間を経て42歳以降に本格的な後半人生が始まります。その移行期間である6年間に、人は本来の命運の筋道に戻り、自分の本当の価値観に目覚めていきます。

 離宮とは価値観の宮であり、自己覚醒の宮です。従ってこの段階に入ると、人は自分固有の価値観に目覚め、これをもとに自分の人生を組み立てるようになります。それは外の世界に尋ねるのではなく、自分の内面に眠っていた価値観に繋がり、本来の自分に戻っていくのです。これが離宮に入ることの本当の意味です。

 今時代は巽宮から離宮の時代へと移行しつつあります。この地球の成長過程に合わせて既に離宮に入った人もいれば、未だ巽宮の従属の宮に留まっている人もいることでしょう。この移行は徐々にあるいは急速に今後進んでいき、離宮へ移行した人は自分の価値観に目覚め、精神的自立を果たし、巽宮に留まる人は自分以外の価値観に依存して生きていくことになります。時代が巽宮から離宮へ移行するのは宇宙における進化の過程です。この宇宙の成長の流れに乗るかどうかは個々人の決断次第になります。

 

 

〔2025年は富の概念の転換点となる〕

 

 これに伴い、富の概念も巽宮から離宮の概念に移行します。巽宮は物事の拡張拡大を目指し、競争原理と物質的価値の指向を震宮より引き継ぎます。組織においては利害を追求し、前年対比のアップと利益追求を指向します。これに対し離宮は物質的価値の指向から離脱し、精神的価値のあるものや真理が現れているものを価値ありと考えます。二つの宮の特徴は特に生活や仕事において明確に現れます。巽宮における仕事観は奉仕に応じた物質的見返りで動き、有限の契約関係が生じます。これに対し離宮の仕事観は精神的充足や生きがいに基づき、個々人の才能を生かした創造的仕事を目途とします。離宮はすべて自分の意思によって出処進退が決まり、何に従いどこに所属するかも自分の価値観で選択します。この違いにより、離宮への移行は生活の営み全般が変化します。

 2025年という年はこの分岐点になる可能性が非常に高いと考えられます。なぜなら2025年は価値観を意味する離宮に六白金星が天道を伴い同会するからです。離宮は価値観の宮であり、その価値観の宮に個人の利益を追い求めない六白金星が入るからです。これは地球全体の方向性が離宮の六白金星を意味するところに向かうことを意味します。これは2025年だけの方向性ではなく、時代の転換を図る方向性として表れていると私は見ています。このため人の指向性も六白金星の価値観に目覚め、目先の利益を求めず、精神的充足感と一体になる六白の精神を指向するようになります。真正の六白は平等性と普遍性と公益を指向します。損得勘定から離れ、与える側に立ち続けるエネルギー体なのです。

 2025年が離宮への転換点となるならば、我々の富に対する概念も物質的価値から精神的価値へ移行します。離宮における富は精神的価値と結びつきます。個々人においては生きがいです。それはお金で買うことはできず、他の物質に換算することもできません。この時代の転換は気学から見ると、本命的価値観から月命的価値観への移行と並行しています。本命は物質基盤から成り立ち、社会規範や常識を基盤にし、生活基盤の物質的充足を指向します。これに対し月命は精神的充足感をもたらすものを指向し、これを生きがいにします。

 気の世界における時代の転換は宇宙規模で起きている出来事であり、人類のみに起きる狭い範囲のものではありません。その流れは必然的であり、成長の自然のリズムでもあります。令和という時代は物質的価値観から精神的価値観への転換を果たす時代になるでしょう。それは外部の何かに転換を強いられるのではなく、すべてにおいて自然に個々人が変容することによって実現されます。

 今文明は36歳を迎え、精神的自立を選択する人は自分の価値観を打ち立てて生きていくことになり、創造のサイクルに入っていきます。気学から見ても2025年は時代転換として極めて重要な分岐点になると私は見ています。

 

 

〔才能を発揮する場が完璧に与えられる〕

 

 時代が巽宮から離宮へ移る時、問われることはそれぞれの人のオリジナルの才能を発揮する場所の提供です。今まではそういう場所が特定のものに限られていました。自分をアピールするものだけが特権的な空間に入っていけたのです。それが今年から来年にかけて変わっていきます。それは離宮の価値観とともに変わっていきます。離宮時代は個々人の才能を発揮することが当たり前になる時代です。その才能を発揮する場が今後無数に現れてくるでしょう。スキルや知識の有無は一切関係なく、それぞれの人が漏れなく脚光を浴びる空間が提供されるようになるのです。

 こうした環境は既にSNSを通して始まっていますが、今後はその人の適性に最も合致した表現手段や発信手段が整い、その表現を共有する空間が公的に拡散していくことが気学的に予測できます。こうしてすべての人は自分が必要とする才能に必ず出会い、すべての人は自分の才能を発見してくれる人に必ず出会うようになります。離宮時代に入ると、すべての人が等しく才能を発揮できる場が完璧に与えられる世界を見ることになります。

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修