百十二話
〔5月の運気〕
5月は八白土星が暦の真ん中に入ります。八白土星は方向転換や方針転換を成すエネルギー体です。この方向転換は上手くいく道筋と上手くいかず問題点が浮上し決裂する道筋があります。方向転換が上手くいく道筋とは個々人が公益、すなわち皆のことを考えて動く道です。自分の利益ではなく全体の利益になること、人助けになることは天の助けを得てスムーズに通ります。一方利害に絡むことや自分の利を優先しようとする動きは互いの言い分が一致せず決裂に至ります。このやり取りの経緯で力任せに相手をねじ伏せようとすると、自ら規律と規範に違反することになります。その結果、自ら失態を認めざるをえなくなり、失墜を余儀なくされるという結末に至ります。これは今年から起きる俗世の六白の崩落による付随現象でもあります。
5月は人間関係を作る最も重要な一白水星に天道が降臨し、一白水星の向かう和合の気を後押しします。不特定多数の人が集まる場や交流の場で今までにない良縁との出会いも見込めます。この一白水星は人助けに与する人の繋がりであり、同じ志や気持ちを持つ人同士を繋げます。この一白水星は西の兌宮に入ります。西は謙譲の気、自分が一歩下がって話をまとめる気です。
5月の岐路において、天道は二つの道筋の違いを明らかにしています。傲慢なものは利害にしがみ付いて道を塞がれ、人の思いに寄り添うものは人の輪を広げ結束力を強め、難局をすり抜けていくことを示しています。
〔147の時代 月命の時代 自分軸の時代へ〕
147の時代、月命の時代、自分軸の時代、これら3つの時代は現時点で進行する宇宙の運気をよく現わしています。2025年から時代の運気が変わっています。この変化は非常に重要な変化であり、また巨大な変化になります。それは個々人の気付きによってその重要性が現れます。
本命は物質世界を代表する命運であり、地位、名誉、肩書、収入、財産は本命環境において重要な位置を占めます。月命は精神性であり、非物質世界の波動です。月命の波動は精神の充足のために生きがいを求めて動きます。人々の意識の軸が本命から月命に切り替わると、物質的成果ではなく精神的成果を求めるようになります。形に現れるものに今までのような価値を感じなくなるのです。この流れは既に昨年より顕在化しています。
147とは九星の一白水星、四緑木星、七赤金星を現わします。この3つの九星に共通することは協調性、柔軟性、調和性、持続性です。この九星は家族性を豊かに持ち、気心の知れた人同士が集まりチームワークで動いていく気質を持ちます。月命時代ではこの3つの九星が重要な基軸となり、私たちを引っ張っていきます。その中で2022年から既に七赤金星の時代が始まっています。七赤金星の時代のテーマは喜びに基づく仕事をすること、気心の知れた人が集まることによって様々なコミュニティを形成し衣食住の安定を図ることです。その後、個々人が強固な繋がりを形成する一白水星の時代に切り替わり、次に良縁を遠隔に広げていく四緑木星に切り替わり、再び七赤金星の時代へと入れ替わりながら月命時代の機軸を作っていきます。
自分軸の時代では自分が持つ価値観が基軸となります。本命が主導権を握る今までの時代は他人や社会が作る価値観が基軸となっていました。この世界では国の方針、行政の方針、法律、規律、しきたり、慣習が世の中の価値観を決定します。地位、肩書はこれら外部で形成された権威によって保証されます。この保証が生活の安定と安心に繋がっていたのです。
この流れは2025年から切り変わっています。価値観の軸が他人軸から自分軸に切り替わると、自分という中心がなければすべての価値判断ができなくなり、自分に合致した選択ができなくなります。なぜなら今まで保証されていた肩書や地位は月命の価値観から外れていくからです。この変化は2025年以降、様々な形で顕現していきます。社会との関わり方、自然との関わり方、人間関係そしてあらゆる学問の価値が根本から問われるようになり、今まで通用した知識やノウハウが発揮されなくなる世界を目の当たりにすることになります。
自分軸は月命を軸として成り立ちます。精神性を現わす月命を自分自身の中心軸に据えるのです。精神が喜ぶもの、精神が求めるものが価値ありとなります。形に現れるものではなく形に現れないものがモティベーションの柱となります。
自分軸は今あるがままの自分を生きます。今ある生活が当たり前と思い、今までと同じように外に望むものを求めようとすると足元は崩れていきます。今ある生活は非常にか細い均衡によって成り立っています。自分軸が定まっていなければ、ほんの少し外に目をやるだけで、今ある生活の機軸はふらつきます。常に自分自身の内側に目を向けていなければなりません。駒は自分という軸がぶれなければ綺麗に回り続けます。
2025年の転換は自分の内面の変容から始まります。それは他人軸から自分軸への転換によって成し遂げられます。私たちは今まで何かを決める際の価値基準を常に外に求めていました。他人がどう動くか、世の中がどう動いているか、権威がどのような結論を出しているかを見ていたのです。物事を損得で見るある種の癖が根付いていました。損得は物質次元の見方の典型です。これに対し自分軸に判断基準が転換されると、周囲の動きは気にならず、自分にとっての精神的価値を見るようになります。月命の精神性が充足感の有無を判断するようになるのです。
2025年からの価値判断はすべて自分に求められるようになります。価値の判断材料は自分が本当に求めることの流れの中で目の前に現れてきます。自分自身が求めるものに準じて、ものや情報や人が現れてきます。本当に向き合わなければならないものは外からやってくるものではなく、自分自身であり自分の内側から湧き出てくるものだけなのです。
〔組織から自立する時代へ〕
気学が利用する年盤月盤の原型を後天図または後天定位盤と言います。年盤月盤は九星が規則的に循環します。この原型である後天図は気の生成の仕組みを現わしています。従って地球上のあらゆる仕組みに応用することができます。例えば後天図は十二支を配分して季節の循環や時間の動きつまり時計として見ることができます。また後天図の八つの宮は人生の成長段階として捉えることもできます。すなわち生誕の坎宮(かんきゅう)、養育と自立の艮宮(ごんきゅう)、自由と社会経験の震宮(しんきゅう)、組織へ従属し規律に従う巽宮(そんきゅう)、そして精神的自立と自己覚醒に至る離宮(りきゅう)へと成長を遂げていきます。
巽宮は組織との契約・従属を意味し、ここで社会の仕組みを学び、組織の規則に従い、組織の活動に従事することによって報酬を得ます。人の成長段階に置き換えると巽宮の時代は大学を卒業して就職しベテラン社員になるまでの段階です。巽宮は時刻に置き換えると午前7時から11時。朝日がぐんぐん上って気温が上がっていく段階です。この時代は社会システムへの適応と組織への忠誠と貢献がテーマとなります。この時期は自分の考えを前面に出すことを抑え、組織の意向に従うことを優先します。気学が捉える組織とは主従関係、取引関係、契約関係を結ぶ有機体すべてを含みます。学校、行政、市町村などの自治体、法人と名のつくところはすべて組織体に入り、国家も組織の運気の中で動くことになります。巽宮はまず習い、組織の目的に従い、社会人としての責任を果たしていきます。巽宮の気学的な位置づけは従属関係を結び、組織の規律と目的に沿って動くことであり、その最大の報酬は従属することによる生活の安定です。
巽宮の次の段階は離宮になります。離宮は方位では南、つまり太陽が最も高い位置にある状態が離宮です。生誕を意味する坎宮と対冲(対極)に位置する宮です。この宮の意味は理念、理想、真理そして覚醒です。巽宮から離宮へ移行すると本当の自分自身に目覚め覚醒します。自分が本当にやりたいことは何か。自分の本当の才能は何か。これを探し始めるのです。そして同時に世の中の真実に目覚めていくのです。
巽宮から離宮への移行とは本来の自分自身に戻ることです。それぞれの人が生まれながらに持つ唯一無二の才能に目覚めることです。それは生活のための仕事ではなく、生きがいのための仕事の発見になります。それが離宮の精神的自立の意味です。
2025年は我々の意識が巽宮から離宮へ移行する境界の年となります。この移行は組織依存からの脱却と捉えることができます。我々は自分が本当にしたいことを見つけ、それを何らかの形で実行していくことになります。それはすぐに仕事として成立するとは限りません。生計に直結するとは限りません。離宮は元来利害に絡みません。離宮は価値に関する宮であり、自分の理想を追い求める宮です。そして離宮が南天に位置することの意味は、それが最も高貴で価値が高いと考えるからです。南天とは神聖なるものが位置する宮です。それが天性であり、その天性を自分の人生の中で現実化していくのです。
浅沼気学岡山鑑定所監修

