百十八話

 

〔11月の運気〕

 

暦では2月3日の節分が年度の変わり目となります。2026年は2月4日をもって始まります。気の世界は3のリズムで動くため、2月より3か月前の11月から翌年の運気が徐々に入ってきます。11月は二黒土星が暦の中央に入り、2月に掲げた六白金星のエネルギーを再び軌道に戻し、六白金星が求める公益性を現実に映し出していきます。その役目を果たすのが天道を伴う九紫火星です。

 

九紫火星は震宮という行動の始まりを意味する宮に入り、九紫火星の理念を世の中に浸透させます。震宮の九紫火星は世直しに取り掛かります。不正を許さない九紫は現場の不正を暴き、誤った考えを持つ人を更生します。九紫火星は11月から12月にかけてこの運気を維持し、1月には一つの成果を出します。

 

二黒土星が暦の中央に入ると、二黒土星の力が増し、その象意とするものが決定権を握ります。二黒土星の象意の一つは国民です。11月は国民一人一人が今後どちらの方向へ進み、どういうスタンスで生きていくのか。この意思表示のタイミングが巡ってきます。すべての決定権を持つのは権力者でもなく有識者でもなく、他でもない我々国民自身なのです。

 

二黒土星と九紫火星は相性の良さで特筆できる組み合わせの一つです。二黒土星は九紫火星の導きによって意思決定し、結論を出します。11月から次年度1月まで続く世直しの動きは言わば世界の浄化と言ってもよいでしょう。その九紫火星は1月に暦の中央に入り、11月から行ってきたことの意味を決定づけます。その成果に賛辞を贈るのは二黒土星、すなわち国民です。

 

2025年は運勢学的には特筆すべき大きな変化の始まりの年であったといえます。2025年の運気の概略に既述したように、今後の世界は国民の意思を尊重しなければ政治も経済も何も進まないと私は申し上げました。2025年はその様相を明白に現しました。そして2026年は2025年で創成したことの流れを引き継ぎ、これを組織に浸透させるという年になります。

 

一方、今年は国や企業その他あらゆる組織の利害が明白化し、利害の対立によって離反が生じ内部分裂するという年でもありました。その形は日本のみならず世界の政界にも既に現れています。国民は世直しにかかる九紫火星の導きによって、この世界を今後どのように組み立てていくのか。その意思表示をするタイミングに遭遇することになります。

 

 

 

改めて2025年を総括する

 

2025年は気学から見ても特に重要な時代の節目となる年です。暦上はあと残すところ3か月となりました。翌年の運気は前年の11月から徐々に入ってきます。従って11月に浮上する出来事は2026年の運気を知る上での注目ポイントになります。

 

 2025年は二黒土星が中宮に入り、年盤の南の離宮には六白金星、北の坎宮には七赤金星が天道を伴い入りました。この配置は国民を意味する二黒土星が天井の六白金星が掲げる理念を目標に動き出し、これを下支えする七赤金星が個々人の内面の変容をもたらすという意味があります。六白金星は公共性、平等性、普遍性をもたらす気であり、七赤金星は癒し、励まし、喜びそして内面の変容をもたらす気です。

 

 気学鑑定士の目から見ると、2025年は暦通りに推移し、国民が世界の方向性を決めるという光景を見ることができました。振り返ると世界の歴史において国民主権は数百年いや数千年の間奪われていたと言えます。まだ時代の転換期の途中であり、いまだ完全に国民が主権を取り戻したとは言えませんが、その最初の一歩を踏み出しているのが2025年という年と私は考えています。

 

 その流れと同時に今年離宮に位置していた六白金星は、2026年には坎宮という最低位、最後方に入ることとなり、暗剣殺という不安定運気を伴うのみならず、午年の気の反動によって破という障害を伴います。六白金星は光のエネルギーが充満した状態を表しますから、光が地下の最底辺に閉じ込められ、六白金星の象意である平等性、公共性、国の光が影を潜めることになります。

 

 この意味を私は真正の六白が姿を隠し、俗世の六白が地底に落ちる形と見なしました。真正の六白は決して暗剣殺や破を伴う波動ではありません。暗剣殺や破を伴うのは俗世の六白です。俗世の六白とは自分の利益を一切求めない真正の六白の精神を捨て、財を肥やし、万民の利益よりも自分の利益を優先するもののことです。

 

 実は2026年という年の本当のテーマは六白金星の振り分けであると私は見ています。六白金星には国柄、国富、最高権威の象意がありますから、これを汚す国は真っ逆さまに衰退し、これをしっかり守り抜いた国は国民の支持を得て地上を照らす太陽の光となって再び戻ってくるのです。

 

 次年度は一白水星が年盤の中央(中宮)に入ります。一白水星は政治の世界では大統領、首相に該当します。その一白水星の実権が過剰になると、六白金星は暗剣殺を伴いそのエネルギーを失います。つまり2026年の六白金星の権威と国富は権力を志向する為政者によってなおざりにされることを暗示しています。

 

 その一方で六白金星の定位である乾宮には国民を意味する二黒土星が回座し、六白金星の国富をしっかり守っています。国というものは国民のもとにあり、国民によって支持されない国は滅ぶ。このことを気学は如実に示しているのです。

 

 我々が2026年に見極めることは、真正の六白金星を体現した人は誰であるか。また俗世の六白金星を露わにするものは誰であるかということです。また国富を失わせる人や国富を失わせた出来事の本質を見極めることです。六白金星の本質は公益であり、自分の利益は一切追い求めません。そうであるからこそ六白金星は国民の二黒土星に全面的な信頼を得、六白金星に国富を預けるのです。

 

 2026年の年盤において天道は家族や仲間との連携を維持する坤宮艮宮に入り、破は外には見えない坎宮に入ります。次年度は水面下で大きな国富の犠牲が出るとの見方ができます。一方、この犠牲は真正の六白金星ではなく俗世の六白金星だと達観することもできます。なぜなら真の富はいかなる状況においても喪失することはないからです。

 

真の富とはその国の精神性、国柄であり、国民の精神性です。精神性には誰も手を加えることはできません。今地球規模で起きていることは物質次元から精神次元への価値観軸の転換です。そういう意味でも2025年から2026年への移り変わりは、数千年あるいは数万年に一度という、まれに見る歴史の転換点になると言えるでしょう。

 

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修