東という方位の特性

改めて東という方位を気学で捉えておきたい。当然吉方位で移転した場合と凶方位で移転した場合では方位作用の現れ方に違いが出るが、東方の気を取り入れると以下のような方位作用が何らかの形で現れると予測できる。

 

〔プラス面〕

・ チャレンジ精神、競争心が旺盛となる。

・ 恐れ、不安を減じ、鬱を解消する。

・ 隠れた才能が開花する。

・ 短期間で成果を出す。

・ 短期間で様々なことが経験できる。

・ 思いがけないチャンスが巡ってくる。

 

〔マイナス面〕

・エネルギーの消耗が早い。

・当初の目標あるいは目的を見失う。

・周りの空気が読めなくなり、人の善言を聞かなくなる。

・誤った人、本来の自分に合わない人に結び付く。

・現場、現役に拘るようになり、管理職に縁遠くなる。

・築いたキャリアが次のステップに繋がりにくい。

 

 

                       

 

 

上記のメリットとデメリットは東方の方位作用の代表例である。東は後天図の中で震宮(しんきゅう)に属する。三碧木星は震宮を定位とするが、三碧木星が中宮すると震宮に一白水星が暗剣殺という不安定運気を伴い同会する。東に上記のような方位作用の欠点が生じる理由の根源には、この一白水星の気があると推察する。これは東の一白水星暗剣殺を使わなくとも、東に行くと何らかの形でこの不安定運気の影響を被ると捉えたい。なぜなら三碧と一白は非常に強い相補関係があり、三碧木星の気が過剰になると必然的に一白水星の気も過剰となり、互いの欠点が出やすくなるからである。

 例えばキャリアアップを求めて東に移転した場合、短期間でタイトなスケジュールをこなし、取り急ぎ不足する知識や技術を習得することができる。但し東は現場、現役にいつまでも拘る傾向があり、次のステップである教える立場にはなかなか気が向かなくなる。本人の意思がそうならないこともあるが、東特有の影響により指導者、教師の縁から遠ざかってしまうという局面もある。また東に行くと仲間が増え、賑やかさを好むようになる。自分一人の時間を不安に思うようになり、往々にしてあらぬ人と結びつくようになる。

 また東は一つの目的を達するとそのことに飽きる傾向が出る。それ故同じことを続けようとしても次のステップへ移りにくくなる。東は短距離走でエネルギーを使い切る方位である。それ故、一つのことに集中してエネルギーを使い果たすと、その後の目標を一時的に見失ってしまうのである。監督、指導者、教師という気は一白水星もしくは九紫火星の気である。一白水星は組織の統括を行う気であり組織長に向く。九紫火星は規範の気であり、教師に向く。東に行くと一白の不安定運気を間接的に受けると指摘したが、一白あるいは九紫の運気をいかに吉作用として取り入れるかが指導者へのステップアップの鍵を握るといってもよい。

 東という方位は短期で成果を上げ収穫を得る魅力的な方位である。その反面モティベーションの維持が難しく、経験の活かし方が分からなくなるという傾向が出る。但し東には東の良さがあり、八方位には八方位それぞれの良さがある。人生を通しで観た場合、自分がどこでエネルギーを使い、どういうステップを踏んで最終目的地へ達するか。このことを熟考する必要がある。

  

 

                           

   

 

気学が示すことは短期で収穫を得る道は遠大な目的地へ達する道ではないということである。その人にとって何が最終目的なのか。いつまでも現役で現場に拘るのか。優れた後継者を育て、教育者として成長していくことを目指すのか。それとも専門技術、専門知識の習得をとことん目指すのか。東という方位は才能を開花させ華々しい活躍が期待される方位ではあるが、目的を明確に持たなければ思いのほかキャリアを早期に閉ざしてしまう恐れのある方位でもある。

 東へはどういう志をもって行けばよいか。それは気の形がそのまま答えを示している。三碧木星以外で、東に天道を伴い同会する九星は九紫火星、六白金星、七赤金星、四緑木星、一白水星である。この中で東方特有のデメリットを抑え、且つ東のメリットをよく引き出すのは九紫火星であろう。このことは東に行くものがどういう心がけを持てばよいかを指し示している。東の九紫には良き先生との出会い。目的意識の明確化。意識改革。更生などの意味がある。先天の震宮は八卦の離。すなわち九紫火星である。九紫は三碧木星と相生でもあり、木の成長を火の地位名誉に着実に繋ぐ。震宮の九紫が意味するところは優れた九紫の指導者の導きを得ること。また新たな自分の目標を発見することにあるだろう。

 一方、一白水星は水の気を持つが故に震宮の動を得ると四方八方に動き始める。この一白の流転が様々な人との交流を生み出し、心を揺さぶり、気持ちの変化変容を起こす。天道はこのメリットを確実にし、暗剣殺はこのデメリットを炙り出す。一白のメリットは人を引き付け誰とでも親密になれること、デメリットは感情を揺さぶられてあらぬ方向へ流されることである。気の世界は一白の気質を通して、東のメリットとデメリットを着実に浮かび上がらせる。こうして当初から抱いていた一つの思いが揺らぎ、あるいは思い込みが解かれ、他者と外界の刺激によって自己変容していくのである。自由闊達を意味する震宮のエネルギーが九紫・一白の統制のエネルギーとぶつかり、未知の可能性と新たな才能を開花させるのである。

 

 

 

浅沼気学岡山鑑定所監修