『幻想交響曲』と子の一白水星

ベルリオーズ 180312月生まれ

本命 亥 八白土星  月命 子 一白水星

 

幻想交響曲 

第1楽章:ハ短調-ハ長調 夢、情熱                     ⇒C(午)

第2楽章:イ長調 舞踏会                         ⇒A(卯)

第3楽章:ヘ長調 野の風景                        ⇒F(亥)

第4楽章:ト短調 断頭台への行進                     ⇒G(丑)

第5楽章:ハ長調-ハ短調-ハ長調 魔女の夜宴の夢    ⇒C(午)

 

 

『幻想交響曲』は表題に幻想と名がついているように、ベルリオーズ自身の幻覚的体験が作曲のモティベーション、テーマとなっている。『幻想交響曲』はベルリオーズの作品の中でとりわけ有名であるが、何よりも時代をかけ離れた奇抜さに驚きを隠せない。ベートーヴェンが没してわずか3年後にこの曲は完成している。ベルリオーズはなぜ幻想と題し、なぜハ短調に決めたのか。その答えはハ(C)の持つ波動の特徴から推察できる。

 

Cは十二支の午に当たるが、午は後天図という気の配置図の南天にあり、その象意には天、理想、夢、超越性がある。一方ベルリオーズの月命子の一白水星には午が属する離宮に特異性がある。子の一白水星の離宮には五黄土星という成就と破壊のエネルギーが入る。さらに破という気の障害も加わり、これら二つの特徴が理性的判断や思考の統合性を乱す。子の一白水星はベートーヴェンの月命でもある。幻覚、幻聴、妄想そして激しい感情の起伏はこの気質の特徴でもある。

 

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第1楽章と第5楽章はハ短調、ハ長調となり、本命月命の三合音とは異なる調性を使う。最初と最後の楽章をハ(C)にしたのはなぜだろうか。「幻想」を仮に十二音に置き換えるならば私はCを選択する。なぜならCは超越性、天性に繋がる波動だからである。但しベートーヴェンの交響曲第5番「運命」に準じ、ハ短調が選択されることで天との繋がりが不安定化していく。

 

第2楽章「舞踏会」の調性はイ長調(A)。ここで初めてベルリオーズの本命亥(F)の三合音が出てくる。Aは空間によく響く音で、Cが天と結びつく上との繋がりとすれば、Aは偶然性をもって出会う横の繋がりを表す。C(午)とA(卯)は縦と横という全く異なる指向性を持った音であるが、エネルギーの成就という可能性を秘めた波長の組み合わせとなる。

 

イ長調の響きが終わると、第3楽章ヘ長調に引き継がれる。イ(A)とヘ(F)は三合音であり、ヘ(亥)はベルリオーズの本命波動となる。亥は卯のパトロン的存在であり、後ろから背中を押し、気兼ねなく進む動機を与える。亥は一見気難しいところがあるが、情にもろくこれぞと思った人はとことん面倒を見る。恋人への思いがF音に託されるかのように演奏される。

 

4楽章ト短調は再び本命月命の三合音から離れ、幻覚、妄想が頂点に達する。「断頭台への行進」は主人公の音楽家が夢の中で死刑宣告され断頭台へ向かうシーンである。この土壇場、断崖に当たる部分が丑寅の境界に現れる。ト(G)は十二支の丑に当たる。丑は新天地に向かう寅との境界に接する気で、陰と陽の潮目が変わる最も警戒すべき場所となる。それ故に古来の人はこの丑寅の境を鬼門と名付けた。丑寅の方位は艮方すなわち北東に当たり、この方位の働きにより運気が転換する。丑は我が意に固執すると継承者を失い断絶を招く。

 

第5楽章「魔女の夜宴の夢」は再びハ(Cに戻る。ハ、午が属する離宮の世界は元来真善美に人を繋ぐ役割がある。宇宙の真理、神聖なるものとの繋がり、均整の取れたものに対する憧れ。幻想交響曲の奇想天外な世界観は、気学的には離宮の五黄がもたらす典型的作用である。五黄は意欲を生み出すエネルギーそのものであるが、そのエネルギーが両極に激しく動くために理性と感情のコントロールが難しくなる。気学的な見方をすれば、『幻想交響曲』は子の一白特有の気質から生まれたものと言える。それは精神の統合性を失ったある若い音楽家の姿であると同時に、ハ短調の響きがもたらす受け止めざるを得ない運命の形かもしれない。

 

 

 

(浅沼気学岡山鑑定所監修)