チャイコフスキーと三合音

チャイコフスキー 1840年5月生まれ

本命 子 七赤金星 月命 巳 五黄土星

 

交響曲はある種の意図を持つと、必然的に調性が決まるのかもしれない。一方比較的自由な発想のもと、自然な意識の流れに従って調性を決めている曲もあるかもしれない。チャイコフスキーは最後の大作である交響曲第6番「悲愴」をなぜロ短調にしたのだろうか。組曲『くるみ割り人形』を聴くと、楽曲の繋がりと物語的な流れを感じさせられるのはなぜだろうか。その答えを十二支十二音の繋がりから探ってみたい。

     

 

交響曲第6番「悲愴」      

第1楽章 ロ短調         B (巳)         

第2楽章 ニ長調         D (申) 

第3楽章   ト長調                           G (丑)

第4楽章 ロ短調         B (巳)

 

第1楽章ロ短調はチャイコフスキーの月命巳の波動。第2楽章D(申)は本命子(F♯)の三合音。Dに当たる申は浮足立つ感覚が出るためワルツに適する。第3楽章のG(丑)は月命巳(B)の三合音。丑は運気の変化をもたらし、繋ぎの要となる。丑には不安、罪の意識、トラウマを抱えながら、ここから脱し、変化と自立を模索する意味がある。第4楽章は1楽章と同じ月命巳(B)の波動

 

ロ(B)という音は十二支の巳に当たるが、巳は神経過敏で用意周到。信頼、忠誠、規律を重んじ、帰属意識が強い。この巳の対冲(たいちゅう)に位置するのが亥。亥はパトロン的存在で”思うようにやってみなさい”と応援する気質。巳と亥の対冲関係は忠誠に対する報いがある限り続く。但しこの関係は利害が絡むと疑念と不信感が募り、終には決裂する。第1楽章と第4楽章のロ短調の響きに、巳の強い信頼と忠誠が破綻したことを予感させる

 

 

 

組曲『くるみ割り人形』    

1:小序曲 変ロ長調    ⇒B♭(辰)は本命子(G♭)の三合音。

2:行進曲 ト長調     ⇒G(丑)は月命巳(B)の三合音。

3:金平糖の精の踊り ホ短調⇒E(戌)は唯一本命月命の三合音ではない。

4:ロシアの踊り ト長調  ⇒G(丑)は月命巳(B)の三合音。

5:アラビアの踊り ト短調 ⇒G(丑)同上。

6:中国の踊り 変ロ長調  ⇒B♭(辰)は本命子(G♭)の三合音。

7:葦笛の踊り ニ長調   ⇒D(申)は本命子(G♭)の三合音。

8:花のワルツ ニ長調   ⇒D(申)同上。

 

ニ長調は弾む感じがあり、浮足立つ感覚があるから舞踏に向く。申は気分転換を促し外に出たくなる気質。同胞とのスキンシップがテーマとなる。この組曲はB♭(辰)から三合音であるD(申)に繋がり最後を締める。申子辰の三合効果により、新たな人間関係の構築、自己アピール、創造した世界の表出が可能となる。そして巳酉丑の三合効果により、コミュニケーションが活発化し、交流が深まり、仲間の結束力が強まる。調性の三合により『くるみ割り人形』の演出効果がより一層高まる。

 

                    

 

上記の通りチャイコフスキーも代表作において、本命月命の十二音またはその三合音を調性に使っている。作りたい曲のイメージと調性の一致は、作曲家にとって必須の条件となろう。作曲家は和声の特徴とその法則性を熟知している。調性は意図的に決めることもできるが、むしろ感覚的であり本能的であるかもしれない。楽章の調性に三合音が並ぶと強い繋がりができ、エネルギーの流れを作り、曲全体に説得力と完結性をもたらすことができる。大家の代表作を見ると概ねこの意図が読み取れる。

 

最後にチャイコフスキーの月命である巳の五黄土星について述べておきたい。この九星を一目見て分かることはエンターテイメント性を持つということ。芸術的センスに優れ、一つの分野におけるパイオニア的存在となる。パイオニアと言えばチャイコフスキーにおいてはバレエであろう。『くるみ割り人形』は巳の五黄土星らしさが現れた作品である。世界中から様々な民族が集まり、独自の音楽と踊りを披露する。こういった多文化多様性はチャイコフスキーの本命である七赤金星の特徴となる。チャイコフスキーは月命においてこの七赤に特別なエネルギーが入っており、このエネルギーを通して巳の五黄土星のカリスマ性が発揮されている。 

 

 

 

(浅沼気学岡山鑑定所監修)