ブラームス交響曲第1番

ブラームス 18335月生まれ

本命 巳 五黄土星  月命 巳 八白土星

 

交響曲第1番

第1楽章:ハ短調       C(午)

第2楽章:ホ長調       E(戌)

第3楽章:変イ長調      A♭(寅)

第4楽章:ハ短調-ハ長調    C(午)

 

この交響曲は完成までに20年を超える年月を費やしたと言われる。それだけ用意周到に作り上げた作品であるから、4つの楽章の構成と調性の選択もブラームスの明確な意図が現れているはずである。

 

交響曲第1番を第1楽章から第4楽章まで見ると、ブラームスの本命月命の十二支である巳(B)あるいはその三合音である酉(E♭)と丑(G)の調性はない。ブラームスはこの大曲に本命月命の十二音ではなく寅(A♭)午(C)戌(E)の三合音を調性に選んだ。やはり作曲家にとってハ(C)は魅力のある調性なのであろう。あるいはCという調性は交響曲として理想の調性なのかもしれない。Cに該当する午、気学でいう離宮(りきゅう)には理想を追求し地位名誉を得るという意味がある。さらに離宮は天と繋がる意志を表し、物事の正しさ、あるべき姿、真善美がここに備わる。午戌の三合はこの午の理想をかなえるために最も有効な波動の組み合わせとなる。

 

寅午戌の三合は寅が新しい運気を「生」み、午でそのエネルギーが「旺」盛となり、戌に決着する「墓」という流れになる。これを気学では生旺墓という。この流れからエネルギーが旺盛となる午にエネルギーの頂点が来る。このことは第1楽章、第4楽章を聴けば容易に理解できる。ブラームスの大作においては楽章の調性に寅(A♭)午(C)戌(E)の三合音がすべて揃う。これによって循環性、完結性、説得性をもたらす三合の強みが完全な形で生かされる。ブラームスのこの大曲から十二支三合と十二音との関係、そして三合が作曲者に与える影響が読み取れる。

 

ブラームスは本命月命双方に巳の気質を持つ。巳は神経過敏、用意周到、徹底的、執念深いという特質を持つ。この気質が交響曲第1番を生み出す基盤となったはずである。ブラームスの本命である巳の五黄土星はチャイコフスキーの月命と同じであるが、本命の波動において理知・観念を表す九紫そして創作力を表す一白に天道という力強いエネルギーが入る。ここから交響曲のような緻密な構成を必要とする作曲でその才を発揮することが分かる。月命巳の八白土星は交友関係の幅広さと社交性が特徴。ここでも一白の才気が光っており、特に歌詞を作る能力として発揮される。ブラームスの作品に声楽曲が多い理由がここに見て取れる。

 

1番目の交響曲は完成までに20年を超える歳月を要した。そうではなく、交響曲第1番は”20年以上完成させなかった”のではないだろうか。それだけの用意周到さと執念がこの曲には詰まっている。そういう意味ではこの交響曲第1番は第5番をも兼ねた存在でもある。長い年月をかけなければとうてい作り出せない価値と輝きがこの曲にはあるように思う。 

 

 

 

(浅沼気学岡山鑑定所監修)