バーンスタインと三合音

クラシック音楽界は60年代から80年代に一つのピークを迎えたと私は感じている。それはこの年代に傑出した指揮者と演奏家が数多くの名演を残したからである。

 

バーンスタイン:本命 午の一白水星 月命 申の二黒土星

 

午の一白水星は離宮の状態に特徴があり、強い固定観念とともに現実離れした観念を持つ傾向が出る。自らが作曲したかのような譜読みの独自性は午の一白より生まれ、指揮棒と体全体を使ったパフォーマンスは申の二黒より生まれる。名演と言われるものの実態は言葉で表現することは難しい。作曲者の魂が指揮者に乗り移り、指揮者の直感、情感がオーケストラ団員に乗り移る。何か得体の知れない力に取りつかれた状態。こうした憑依性は名演を生み出す一つのキーワードとなっているかもしれない。

 

命運は同じ十二支と九星でも本命と月命によって特質の現れ方が変わる。本命申の二黒土星はより大衆性を帯び、時代の変化に柔軟で一般大衆の嗜好性を上手くつかむことが得意。一方月命申の二黒土星は自意識が強く、バラエティーに富んだ企画、司会、創作など多彩な才能を発揮する。カラヤンは本命に申の二黒土星を持ち、バーンスタインは月命に申の二黒土星を持つ。申の二黒土星を持つ指揮者に共通して言えることは大衆を引き付けるカリスマ性であろう。その才能は音楽、芸術、エンターテイメントなど様々な方向へ伸びていく。

 

 

                     

 

 

バーンスタインの本命と三合音:午(C)・寅(G♯・A♭)・戌(E

        月命の三合音:申(D)・子(F♯・G♭)・辰(A♯・B♭)

 

 

ブラームス交響曲第1番

バーンスタイン指揮・ウィーンフィルハーモニー管弦楽団

 

 

第1楽章:ハ短調       C(午)

第2楽章:ホ長調       E(戌)

第3楽章:変イ長調      A♭(寅)

第4楽章:ハ短調-ハ長調    C(午)

 

ブラームスがこの交響曲に特別なエネルギーを注いだことは既に述べた。ハ短調とその三合となるホ長調、変イ長調という構成にブラームスの意図を読み取ることができる。このハ(C)と同じ波動を本命に持つバーンスタインは第1楽章、第4楽章に親近性がある。特に第1楽章では譜読みの哲学的な深さが際立ち、オーケストラは「運命」の3連符に暗示をかけられたかのように脈打ち始める。午は十二支の中で離宮という頂点に位置する波動で、理想、天性、超越性を目指す。午の一白は自我意識の強い気質であるため、この曲の解釈はこうあるべきと他の解釈を許さないほどの自信が現れる。

 

 

 

マーラー交響曲第2番「復活」

バーンスタイン指揮・ロンドンシンフォニーオーケストラ

ソプラノ:シェイラ・アームストロング

メゾソプラノ:ジャネット・ベイカー

 

第1楽章:ハ短調      C(午)

第2楽章:変イ長調     A♭(寅)

第3楽章:ハ短調      C(午)

第4楽章:変ニ長調     D♭(未)

第5楽章:へ短調-変ホ長調  F(亥)-E♭(酉)

 

マーラーは本命申の五黄土星。月命未の六白金星。第1楽章は悲観的運命を予感させるハ短調C、第2楽章はその三合音A♭、第3楽章は再びハ短調Cに戻る。第4楽章からはマーラーの月命音D♭(未)とその三合音F(亥)に調性が移る。未はあらゆる苦悩からの解放と庇護をもたらし、亥は厳格さを緩ませ自己寛容に向かわせる。マーラーは運命的波動のCを救済のD♭、寛容のFに向かわせ、安息をもたらすE♭へと導く。

 

 

バーンスタインがとりわけマーラーに親近性を持つ背景にはマーラーと共通する十二支を持っていたことがあるかもしれない。マーラーは申を本命に、バーンスタインは申を月命に持つ。第1楽章終盤に現れるバイオリンのとりわけ美しい旋律F♯からC♯へのグリッサンドはマーラーのテーマ音と言ってもよい。申の三合音F♯(子)は生誕、無垢、幼子を現わす。マーラーの月命音C♯はF♯を受けての母性、庇護、苦からの解放を現わす。バーンスタインの指揮とロンドンシンフォニーの音を聴けば、F♯、C♯に特別な意味が含まれていることを瞬時に理解できる。

 

バーンスタインが持つ午の一白水星は独自の観念を持ち、その観念を天の意思として正当化しようとする勢いがある。ここに憑依性が現れる。何かに取りつかれたかのような状態は指揮者からオーケストラへ移り、聴衆へと伝わっていく。ロンドンシンフォニーと共演したソプラノのシェイラ・アームストロングは本命午の四緑木星。月命は申の二黒土星で、本命月命共にバーンスタインと同じ十二支であり、月命は同じ申の二黒土星。メゾソプラノのジャネット・ベイカーは本命酉の四緑木星。月命申の二黒土星で、バーンスタインと同じ月命。共通する月命は音感、表現性、精神性のベクトルを一致させる。偶然とは思えないこうした演出も実は名演を生み出す欠かせない条件となる。なぜなら歌手の声の波長と旋律との相性を指揮者なら当然気付くからである。シェイラ・アームストロングが発するD(申)の三合音G♭(子)とジャネット・ベイカーが発する本命音E♭(酉)の存在感ある響きを、バーンスタインは決して見逃さなかったと思う。

 

 

 

(浅沼気学岡山鑑定所監修)