2025年12月
〔12月の運気〕
12月は一白水星が月盤の中央に入ります。一白水星はまとめ役、国においては為政者のトップに該当します。12月はその国のトップ、その組織のトップの真の力量が試され、今年行ってきたことの成果が問われます。3・6・9・12という月には、前月から始まったことを引き継ぎ、その流れを仲間や組織に浸透させ、継続のリズムを作るという意味があります。
12月は先月から運気を上げてきている九紫火星が引き続き重要な役目を果たします。世直しを進め覚醒をもたらす九紫火星の気が今後は組織に具体的に入っていきます。今年うやむやにしていた組織の不正や所業の矛盾は九紫火星の光によって露わとなり審判を受けることとなります。その九紫火星の審判は国民の意思の反映であると暦は示しています。
12月の運気は離宮の五黄土星の動きに大きく左右されます。12月の五黄土星は離宮という理想理念の宮に入り、破を伴います。破はその九星の欠点を旺盛に引き出し、物事の成立に障害を来たします。離宮における五黄土星の破は、為政者、権力者による独りよがりで現実離れした構想を引き出します。それは時に誇大妄想になり、世の秩序をかき乱すこととなります。その誇大妄想に六白金星が煽りを受け、公私の混同を来たすのです。公は公益。為政者のトップ、組織のトップが公益のため、すなわち国民のためにそれを決定するのか、それとも私欲のためにそれを決定するのか。その真相が見えてきます。
真に公益のために動くものは、国民の信頼と信任を確実にし、いかなる事態にも揺るがずその基盤を強くしていきます。一方、私欲に流れ見かけの損得に動くものは、世界の大きな変化の荒波に飲み込まれ基盤地盤を失います。12月は次年度の運気が見えてくる段階に至ります。2026年のテーマである俗世の六白と真正の六白の振り分けが今始まろうとしています。
〔全ての人は芸術家である〕
すべての人は自分にしかない才能を表現する芸術家です。それは自分の命運が持つ独自の才能を表現するからです。独自の才能はその命運の中に初めから納まっています。それを気学鑑定士は読み取り、その才能が掴む良縁、適性環境、チャンスの到来時期をお伝えしているのです。
芸術家は一般的には音楽家や画家、陶芸家などを思い出しますが、何かの技芸を極めようとしている人はすべて芸術家と気学からは捉えられます。芸術は創造の過程において最も優れた自分の才能を表に出すことと定義できます。その人しかできない技術やその人しか持てない見識、感性、精神性を素直に表現することは芸術です。すべての人には固有の才能が顕現する特定の環境とタイミングがあるのです。
気学鑑定士は暦を読み、その人の命運を測定し、抱えている悩みや問題に対するアドバイスを行います。そのアドバイスは命運を読み取る力、暦を読み込む力、そしてその見識と自身の経験が土台になります。一方でその見識や経験をどう伝えるかという表現そのものも問われてきます。どのように知っていることを表現するか。その伝え方はその時しかできない言葉になることもあれば、何十年経っても変わらない表現もあります。そのすべての過程に見識と直感と精神性が合わさり、その時しかできないアドバイスになるのです。それは創造の作業です。いかなる形であれ、その人しかできない表現を行うこと。それはすべて技芸の術であると私は捉えたいのです。
〔知性のあり方を九紫火星に見る〕
気学において知性の働きは九紫火星を第一に見ます。これをさらに奥深く見ていきたいと思います。九紫火星の本質はその中宮とその周囲の九星との関係性を見ることで掴むことができます。
九紫火星が暦の中央(中宮)に入ると、モティベーションと行動を意味する震宮(しんきゅう)に七赤金星が入ります。七赤金星は癒し、励まし、喜びの気です。また七赤金星は話す行為を現わします。さらに七赤金星は話をかいつまんで分かりやすく伝えること、要点をまとめる役目があります。ここから九紫火星のモティベーションの第一はすべての人に分かりやすく伝えることと判断できます。さらに七赤金星は謙譲の気です。それは知識を振りかざさないという姿勢です。そのために九紫火星のそばには二黒土星が宿っているのです。
中宮の傍ら、話し相手の位置にあるのが兌宮(だきゅう)です。九紫火星が中宮に入ると兌宮には二黒土星が入ります。二黒土星は一般庶民、特に年配の方、お年を召された方を表します。つまり九紫火星は不特定多数の一般庶民そして年配の人によく話が通じ、慕われることが分かります。さらに兌宮は飲食を意味する宮でもあり、二黒土星は質素を代表する気です。従って九紫火星は食事を質素に、衣食住も質素に過ごすことになります。賢者の佇まいは一般庶民、年配の方を大事にし、質素であるということです。
中宮の南に位置する離宮(りきゅう)には四緑木星が入ります。四緑木星は風の象意を持ち、風は広く行き渡るがゆえに情報に繋がっていきます。九紫火星の知性はすべてこの情報の選別から始まります。知性とは当然知識からもたらされますが、その知識が誤った情報であったならばどうなるでしょうか。離宮の四緑木星には暗剣殺というその九星の働きを歪めるエネルギーが入っています。この意味は九紫火星が誤った情報を受け取ると知識も知性も完全に歪められるということです。そして四緑木星の天道は、知識が正しければ正しい判断ができ、九紫火星の本来の役目である正誤の判断、正義の裁決ができることを示しているのです。
中宮の北に位置する坎宮(かんきゅう)には五黄土星が入ります。五黄土星はエネルギー生成を司る根源のエネルギー体です。そして坎宮は誕生、発生、創造、統括の役目を持ちます。従って坎宮に入った五黄土星はゼロから創造性をもって周囲に指示し、統括することになります。坎宮の五黄土星はエネルギー的に非常に安定し、その力を大いに発揮します。つまり九紫火星は五黄土星の創造のエネルギーを大元締めのエネルギーとして使っているのです。
九紫火星の知性とは何か。その答えは九紫火星を取り巻く周囲の九星の配置にすべて現れています。本当の知性とは何か。ここに記憶偏重の形はありません。物知りが知性ではなく、頭の回転が知性の本質ではないのです。九紫火星はまず七赤金星の力を借りて誰にでもわかる表現を用いて説明し、二黒土星の質素な気に寄り添い、佇まいを質素にし、年配の人や立場の弱い人に寄り添うことで声援されます。さらに情報をよく選別し、正しい情報と誤った情報をしっかり選別し、正義に基づいて判断裁決します。そして自分しかできない創造性をもってコミュニケーションを図り、思いを伝え、意図を指示し、人々をまとめます。これが知性を代表する九紫火星の本当の姿なのです。
〔AIの知能と人間の知性〕
昨今話題となっているAIは人間の知能を上回る勢いと評価されてきています。よくAIと人間の違いが論じられますが、気学ではどのように考えるかをここで示しておきたいと思います。
機械と人間の最大の違いは水を持つかどうかです。水とは物理的な水であると同時に水気から出てくる感情、すなわち一白水星の有無です。つまり一白水星があるかどうかが機械と人間の最大の違いになります。感情は動きます。データの中に知識の蓄積と分析と精査はありますが、感情の動きとやり取りはありません。感情とは相手が持つ波動との共感、共鳴がなせる業です。相手に感情がなければ波動の共鳴はありません。一白水星(水)の本質はコミュニケーション力、意思の伝達、気持ちを伝えあうことです。従ってAIがいかに進化しても人間のように感情という共鳴共感を持つことはありません。
人間がなせる仕事の基本原理には坎宮の働きがあります。坎宮とは感情と自我が宿る宮です。脳の神経伝達もこの坎宮の鼓動(パルス)、指令から始まります。坎宮の気がなければ思考もまとまりませんし、行動することもできません。坎宮には感情、思いがあります。坎宮には自我、自分の本当の気持ちがあります。自分の本当の気持ちが動かなければ、エネルギーの整合性は得られません。AIがいかに進化してもAIを動かす機械に一白水星の気が入らなければ、永久に人間のなせる技を超えることはできません。人間と同じ能力を持つためにはこの一白水星の水気を使わなければならないのです。
知性は九紫火星の形から学ぶことができます。その隠れたところに坎宮の五黄土星があります。いかなる知性でも元締めには自我があり、自分の気持ちがあり、自分がどうしたいかという創造の意思があるのです。九紫火星の形は他人が既に作った知識を学び、記憶し、これを上手く使うことが知性の原点ではないことを示しています。知性の原点は創造すなわちゼロから新しいものを創ることなのです。自分という存在からしか出てこない、オリジナルの気、オリジナルの思いが、坎宮に湧き、これを九紫火星の情報識別力、話術、振舞い方を用いて、表現していくことが本来の知性であると気学は教えています。
浅沼気学岡山鑑定所監修